この記事では「玉の輿に乗る」について解説する。

端的に言えば「玉の輿に乗る」の意味は「お金持ちと結婚する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「玉の腰に乗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で、慣用句を分かりやすく説明していく。

「玉の輿に乗る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「玉の輿に乗る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「玉の輿に乗る」の意味は?

「玉の輿に乗る」には、次のような意味があります。

女性が、身分の高い人や多くの財産を所有する人の妻になる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「玉の輿に乗る」

「玉の輿に乗る」とは、社会的に身分の低い女性がお金持ちの男性と結婚して高い身分を得るということを指す言葉です。

大切なポイントは、高い身分は男性の方だということ。現代では女性も一人の力でお金持ちになることの出来る方法が増えてきていますが、経済力の低い男性が高い経済力を持った女性と結婚して自分の地位を上げるという方向の場合においては「玉の輿に乗る」とは表現しません。あくまでも「玉の輿に乗る」と表現するのは、女性が自分よりも身分や経済力の高い男性と結婚してその高い身分を獲得した時のみになります。

自分で経済力をつけたいと思う女性が増えている現代においても、女性ならばやはり一度は皆「玉の輿に乗りたい」と夢見るのではないでしょうか。

「玉の輿に乗る」の語源は?

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「玉の輿」という言葉自体の意味を問われると、意外と謎が多い表現ですよね。語源を知れば、言葉の意味が想像しやすいかと思います。それでは「玉の輿に乗る」の語源を見ていきましょう。

平安時代の日本には、人を乗せて人力で運ぶ「輿(こし)」という乗用具が存在しました。現在ではお祭りなどで見ることが出来ますが、神様を担ぐ「御神輿(おみこし)」がその名残なので、それを想像していただけると分かりやすいかと思います。平安時代においてこの「輿」は、天皇皇后や貴族など限られた高い身分の人のみが乗ることの出来る移動手段でした。そしてその高い身分の人が乗る「輿」は宝石や金銀が沢山あしらわれて大変豪華だったことから、美しい宝石のことを意味する「玉」を用いて「玉の輿」と表現する様になります。低い身分の女性が貴族の方に見初められて結婚した場合、この「玉の輿」つまり美しい輿に乗って移動することが出来るようになりますね。

以上のことから現代でも低い身分の女性が経済力の高い男性と結婚して高い身分を得ることを、実際には乗らなくても「玉の輿に乗る」と表現する様になりました。

\次のページで「「玉の輿に乗る」の使い方・例文」を解説!/

「玉の輿に乗る」の使い方・例文

「玉の輿に乗る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.玉の輿に乗るために婚活パーティーに参加したが、マナーをわきまえず職業や年収ばかりを聞いて回ってしまったので誰にも相手にしてもらえずに終わってしまった。
2.女の子は誰もが一度は玉の輿に乗って、セレブな専業主婦になったりブランド物をたくさん買うわがままな生活を送ってみたいと思うものである。
3.医者や経営者の集まる合コンに呼んでもらったが、ライバルは玉の輿に乗りたい美人がほとんどであり、平均的な幸せを望む私にとっては場違いで失敗だった。

合コンや婚活パーティーなどで女の子が最も重要視しているのは年収や職業だということはよく聞く話ですよね。恋愛だけであれば気にする必要はありませんが、結婚をして一生一緒に住んでいくということを考えるとやはり現実的になって経済面のことを考えてしまうものです。

現在では女の人が一家の大黒柱となって男の人が主夫をするという家庭も増えてきていますが、まだまだ女の人の働く環境が十分に整えられていない職場環境はたくさん存在します。よって女の人が自立できる社会制度が完璧に浸透するまで、この「玉の輿に乗りたい」という女性の夢は途絶えることはないでしょう。

一方で、女の人が男勝りに、男の人が女々しくなっているという傾向も進んでいるようなので、玉の輿に乗る立場が逆転する未来もそう遠くないかもしれません。

「玉の輿に乗る」の類義語は?違いは?

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「玉の輿に乗る」の類義語とその違いを見ていきましょう。

「格差婚」

「格差婚」とは、学歴や収入、家柄などの社会的地位に差のある二人が結婚すること。近年では芸人さんと女優さんや女優さんと一般人など、芸能人の相次ぐ「格差婚」でこの言葉が話題となっています。昔でいえば「禁断の愛」というところでしょう。

「玉の輿に乗る」は、女性がお金持ちの男性と結婚して地位を上げることを指しましたが、「格差婚」は男女のどちらが身分的に下でも構わずに広い意味で用います。よって、「玉の輿に乗る」と全く同じ意味を指すというよりは、「格差婚」の意味の中に「玉の輿に乗る」が含まれるというように捉えると分かりやすいでしょう。

昔こそ身分に格差のある人同士の結婚は本当に「禁断」であったのかもしれませんが、現代では多少周囲で話題になったとしても猛烈に批判されるというケースは少ないですね。格差自体を無くすために尽力しているような現代ですから、「格差婚」という言葉自体がなくなる日もそう遠くないかもしれません。

\次のページで「「玉の輿に乗る」の対義語は?」を解説!/

「玉の輿に乗る」の対義語は?

それでは、「玉の輿に乗る」の対義語も見ていきましょう。

「逆玉の輿に乗る」

「玉の輿に乗る」の対義語は、「逆玉の輿に乗る」なので簡単ですね。「玉の輿に乗る」は、女の人が身分の高い男の人と結婚して高い身分を得るという意味を表す言葉でした。「逆玉の輿に乗る」はこの逆ということですから、経済的にも社会的にも身分の低い男の人が身分の高いお金持ちの女性と結婚して高い身分を得ることを指します。

今までの説明文でも紹介してきたように、現代では女の人の経済的自立が目立つ時代です。女の人の方が稼いでいるので男の人は家事をして待っているということも珍しくない時代ですね。女の人に稼がせて家事もろくにせず家に居座ってる男の人を表現する「ヒモ」という言葉があるくらいですから、「逆玉の輿に乗る」という言葉も覚えておくと今後使う機会が増えていくかもしれません。

「玉の輿に乗る」を使いこなそう

この記事では「玉の輿に乗る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「玉の輿」の意味が「美しい乗り物」という意味であったことには驚きですが、なぜ「玉の輿」の後に「乗る」が続くのかという意味がよく分かりましたね。これからはお祭りで御神輿を見る時の目線が少し変わってしまいそうです。

美しい日本語を正しく使えるようになれば、マナーが認められて女の人なら「玉の輿」に、男の人なら「逆玉の輿」に乗れるかもしれませんよ。また「玉の輿」や「逆玉の輿」を狙うだけでなく、自分も経済面や身だしなみに対する努力を怠らないようにすると自然と素敵な相手が現れるかもしれないので、まずは自分磨きから始めたいですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「玉の輿に乗る」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「玉の輿に乗る」について解説する。

端的に言えば「玉の輿に乗る」の意味は「お金持ちと結婚する」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「玉の腰に乗る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で、慣用句を分かりやすく説明していく。

「玉の輿に乗る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「玉の輿に乗る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「玉の輿に乗る」の意味は?

「玉の輿に乗る」には、次のような意味があります。

女性が、身分の高い人や多くの財産を所有する人の妻になる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「玉の輿に乗る」

「玉の輿に乗る」とは、社会的に身分の低い女性がお金持ちの男性と結婚して高い身分を得るということを指す言葉です。

大切なポイントは、高い身分は男性の方だということ。現代では女性も一人の力でお金持ちになることの出来る方法が増えてきていますが、経済力の低い男性が高い経済力を持った女性と結婚して自分の地位を上げるという方向の場合においては「玉の輿に乗る」とは表現しません。あくまでも「玉の輿に乗る」と表現するのは、女性が自分よりも身分や経済力の高い男性と結婚してその高い身分を獲得した時のみになります。

自分で経済力をつけたいと思う女性が増えている現代においても、女性ならばやはり一度は皆「玉の輿に乗りたい」と夢見るのではないでしょうか。

「玉の輿に乗る」の語源は?

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「玉の輿」という言葉自体の意味を問われると、意外と謎が多い表現ですよね。語源を知れば、言葉の意味が想像しやすいかと思います。それでは「玉の輿に乗る」の語源を見ていきましょう。

平安時代の日本には、人を乗せて人力で運ぶ「輿(こし)」という乗用具が存在しました。現在ではお祭りなどで見ることが出来ますが、神様を担ぐ「御神輿(おみこし)」がその名残なので、それを想像していただけると分かりやすいかと思います。平安時代においてこの「輿」は、天皇皇后や貴族など限られた高い身分の人のみが乗ることの出来る移動手段でした。そしてその高い身分の人が乗る「輿」は宝石や金銀が沢山あしらわれて大変豪華だったことから、美しい宝石のことを意味する「玉」を用いて「玉の輿」と表現する様になります。低い身分の女性が貴族の方に見初められて結婚した場合、この「玉の輿」つまり美しい輿に乗って移動することが出来るようになりますね。

以上のことから現代でも低い身分の女性が経済力の高い男性と結婚して高い身分を得ることを、実際には乗らなくても「玉の輿に乗る」と表現する様になりました。

\次のページで「「玉の輿に乗る」の使い方・例文」を解説!/

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