最近は環境問題についてより騒がれるようになってきたな。環境問題の中で最も問題視されているのが地球温暖化です。年々地球の平均気温は上がっている話や氷河が溶けて崩れる映像は君も見たことがあるんじゃないか?
この地球温暖化の原因の一つが温室効果ガスです。温室効果ガスは地球が宇宙空間に逃さなければならない熱を地球に溜め込むように働く気体のことです。ではこの温室効果ガスはどのように発生しているのでしょうか?また、温室効果ガスの発生をなるべく減らせられる対策はあるのでしょうか?今回は温室効果ガスについて、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を地球科学専攻で卒業した岩石大好き人間。地球が好きなので地球環境についても熟知している。

地球の熱収支

地球は太陽から熱を受けています。しかし、熱を受けるだけではどんどん地球は熱せられていきますよね。太陽からの熱の3割はそのまま宇宙へ反射され地球には届きませんが、残りの7割の熱は地球に吸収されます。しかし、この7割の熱の全てがその後赤外先として宇宙へ放出されるのです。つまり、太陽からの熱は一度地球に吸収されても全て放出されてしまうので、地球の熱の収支はプラスマイナス0になります。

つまり太陽が活動期に入り、いつもよりも多くの熱が地球に注がれても吸収した分の熱は後ほど全て放出するので地球の熱のバランスは均衡になっているのです。しかし、そこで温室効果ガスが問題になっています。

温室効果ガスとは

image by iStockphoto

地球は窒素や酸素で構成された大気で包まれています。大気中に含まれる温室効果ガスと呼ばれている物質は、地球が赤外線として放出した熱が宇宙空間へ放出されるのを妨害しより長く地球にとどまらせる働きがあるんです。温室効果ガスに当たるものとして二酸化炭素・一酸化炭素・メタン・亜酸化窒素などがあります。ちなみに水蒸気も温室効果があるんですよ。身の回りには意外と温室効果ガスがあふれているんですね。

もし温室効果ガスがなかったら

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地球温暖化に関与しているということで温室効果ガスは世界中から嫌われていますが、もし温室効果ガスがなかったら地球はどうなっていたでしょう。実は温室効果ガスがないと地球から熱がどんどん逃げていき、地球の表面温度は-19℃になると見積もられています。私達が地球上で暮らすことができるのもまた、温室効果ガスのおかげなのです。

温室効果ガスの発生原因

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18世紀に産業革命が始まると石炭や天然ガスなどの化石燃料の使用量が大幅に増加し、大気中の二酸化炭素が急増しました。化石燃料は少量で大きな熱エネルギーを得られる反面、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させます。現在でも化石燃料は様々なところで使われていますよね。化石燃料によって私達の暮らしは豊かになりましたが、地球環境には深刻なダメージを与えているのです。さらに、森林伐採も増加していることから二酸化炭素を光合成で消費しにくくなっています。

また、メタンガスは湿地や池などで枯れた植物が分解するときや家畜のゲップなどに含まれているんですよ。メタンは海底に凍った状態で存在する場合もあり、これをメタンハイドレートというんですよ。メタンハイドレートは海水温が上昇することで溶けやすくなり、空気中に放出されます。

以前使用されていた冷蔵庫やエアコンからはフロンガスという二酸化炭素を遥かに上回る温室効果を持ったガスが発生していました。現在はかなり規制されたので以前ほど問題になっていないようです。

温室効果ガスに対する世界の取り組み

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温室効果ガスの中で最も排出量が多いガスが二酸化炭素です。では世界で最も二酸化炭素を排出している国はどこでしょうか?実は中国なんですよ。中国は二酸化炭素排出量2位であるアメリカの4.8億トンの約2倍である9.0億トンもの二酸化炭素を排出しています。ちなみに日本は第5位の1.1億トンです。

温室効果ガス排出の問題を解決させるべく、2016年11月に温室効果ガスを削減させる国際的な取り組みのパリ協定が発行されました。パリ協定とは世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑えようというものです。このパリ協定の基準を達するためにバイオマスエネルギーや太陽光発電の導入など、様々な努力が行われています。

温室効果ガスに対する日本の取組み

image by iStockphoto

日本での温室効果ガス削減への取り組みとして、ハウスメーカーではより優れた断熱材の開発や、太陽光エネルギー・エネファームを同時に使用するなどで住宅で使用するエネルギーの収支をゼロ以下にする取り組みが行われています。自治体では太陽光発電により得られた電力を電力会社より高めに買い取るようにしたり、ソーラーパネル設置費に補助金を支給するなど積極的に太陽光発電を勧めているんですよ。また、エコカーの普及などにも力を入れています。

地球温暖化は温室効果ガスではないという説

地球温暖化は温室効果ガスではないという説

image by Study-Z編集部

温室効果ガスによって地球温暖化が促進されていることは多くの人が納得していますが、研究者によっては地球温暖化に温室効果ガスは関係ないとの主張もあります。その根拠の一つが太陽の活動周期です。太陽活動がどれほど活発なのかによって地球にどれだけの太陽熱が供給されるかが変わります。過去の地球の気温のデータと太陽の活動周期を重ねると、たしかに地球が寒冷化しているときは太陽活動も低迷していたのです。さらに、火山活動でも大量の二酸化炭素が発生します。

また、地球には氷河期・間氷期という自然のサイクルが存在していることをご存知でしょうか。現在は間氷期に当たると言われているので暖かくなって当然であるという考え方があるんです。地球規模で平均気温が上がるというのに、これが人間の活動のせいだけだと考えるほうが無理がありそうですよね。しかし、現実に温室効果ガスが増えており地球温暖化が進んでいることに間違いはないため、積極的に二酸化炭素を減らす工夫をしていきましょう。

温室効果ガスを減らすために

温室効果ガスとは地球が放出した熱が宇宙へ出ていくことを妨げ、地球にとどまらせることで地球の気温を上昇させる原因になる物質のことです。二酸化炭素を筆頭に、一酸化炭素・フロン・メタンなどが温室効果ガスに当たります。温室効果ガスは産業革命以降、急速に増え続け世界中で問題視されているんです。温室効果ガスの削減を目指してパリ協定が発行されるなど、世界中で地球温暖化の対策が取り組まれています。

個人ができること限られていますが、車を買うならエコカー、家を建てるならソーラーパネルを設置するなどできることは積極的に取り組んでいくことが大切です。また、ゴミを減らすことや使っていない部屋の電気は消すことでも温室効果ガスの削減に貢献できます。どんなに小さなことでもより多くの人が取り組むことで大きな効果をもたらすので、さっそく今日からできる温室効果ガス削減の取り組みを考え、実行してみましょう。

" /> 温室効果ガスとは何?温室効果ガスが発生する原因と対策を地球科学専攻が5分でわかりやすく解説 – Study-Z
地学大気・海洋理科

温室効果ガスとは何?温室効果ガスが発生する原因と対策を地球科学専攻が5分でわかりやすく解説

最近は環境問題についてより騒がれるようになってきたな。環境問題の中で最も問題視されているのが地球温暖化です。年々地球の平均気温は上がっている話や氷河が溶けて崩れる映像は君も見たことがあるんじゃないか?
この地球温暖化の原因の一つが温室効果ガスです。温室効果ガスは地球が宇宙空間に逃さなければならない熱を地球に溜め込むように働く気体のことです。ではこの温室効果ガスはどのように発生しているのでしょうか?また、温室効果ガスの発生をなるべく減らせられる対策はあるのでしょうか?今回は温室効果ガスについて、地学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

大学院を地球科学専攻で卒業した岩石大好き人間。地球が好きなので地球環境についても熟知している。

地球の熱収支

地球は太陽から熱を受けています。しかし、熱を受けるだけではどんどん地球は熱せられていきますよね。太陽からの熱の3割はそのまま宇宙へ反射され地球には届きませんが、残りの7割の熱は地球に吸収されます。しかし、この7割の熱の全てがその後赤外先として宇宙へ放出されるのです。つまり、太陽からの熱は一度地球に吸収されても全て放出されてしまうので、地球の熱の収支はプラスマイナス0になります。

つまり太陽が活動期に入り、いつもよりも多くの熱が地球に注がれても吸収した分の熱は後ほど全て放出するので地球の熱のバランスは均衡になっているのです。しかし、そこで温室効果ガスが問題になっています。

温室効果ガスとは

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地球は窒素や酸素で構成された大気で包まれています。大気中に含まれる温室効果ガスと呼ばれている物質は、地球が赤外線として放出した熱が宇宙空間へ放出されるのを妨害しより長く地球にとどまらせる働きがあるんです。温室効果ガスに当たるものとして二酸化炭素・一酸化炭素・メタン・亜酸化窒素などがあります。ちなみに水蒸気も温室効果があるんですよ。身の回りには意外と温室効果ガスがあふれているんですね。

もし温室効果ガスがなかったら

image by iStockphoto

地球温暖化に関与しているということで温室効果ガスは世界中から嫌われていますが、もし温室効果ガスがなかったら地球はどうなっていたでしょう。実は温室効果ガスがないと地球から熱がどんどん逃げていき、地球の表面温度は-19℃になると見積もられています。私達が地球上で暮らすことができるのもまた、温室効果ガスのおかげなのです。

温室効果ガスの発生原因

image by iStockphoto

18世紀に産業革命が始まると石炭や天然ガスなどの化石燃料の使用量が大幅に増加し、大気中の二酸化炭素が急増しました。化石燃料は少量で大きな熱エネルギーを得られる反面、二酸化炭素などの温室効果ガスを発生させます。現在でも化石燃料は様々なところで使われていますよね。化石燃料によって私達の暮らしは豊かになりましたが、地球環境には深刻なダメージを与えているのです。さらに、森林伐採も増加していることから二酸化炭素を光合成で消費しにくくなっています。

また、メタンガスは湿地や池などで枯れた植物が分解するときや家畜のゲップなどに含まれているんですよ。メタンは海底に凍った状態で存在する場合もあり、これをメタンハイドレートというんですよ。メタンハイドレートは海水温が上昇することで溶けやすくなり、空気中に放出されます。

以前使用されていた冷蔵庫やエアコンからはフロンガスという二酸化炭素を遥かに上回る温室効果を持ったガスが発生していました。現在はかなり規制されたので以前ほど問題になっていないようです。

温室効果ガスに対する世界の取り組み

image by iStockphoto

温室効果ガスの中で最も排出量が多いガスが二酸化炭素です。では世界で最も二酸化炭素を排出している国はどこでしょうか?実は中国なんですよ。中国は二酸化炭素排出量2位であるアメリカの4.8億トンの約2倍である9.0億トンもの二酸化炭素を排出しています。ちなみに日本は第5位の1.1億トンです。

温室効果ガス排出の問題を解決させるべく、2016年11月に温室効果ガスを削減させる国際的な取り組みのパリ協定が発行されました。パリ協定とは世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑えようというものです。このパリ協定の基準を達するためにバイオマスエネルギーや太陽光発電の導入など、様々な努力が行われています。

温室効果ガスに対する日本の取組み

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日本での温室効果ガス削減への取り組みとして、ハウスメーカーではより優れた断熱材の開発や、太陽光エネルギー・エネファームを同時に使用するなどで住宅で使用するエネルギーの収支をゼロ以下にする取り組みが行われています。自治体では太陽光発電により得られた電力を電力会社より高めに買い取るようにしたり、ソーラーパネル設置費に補助金を支給するなど積極的に太陽光発電を勧めているんですよ。また、エコカーの普及などにも力を入れています。

地球温暖化は温室効果ガスではないという説

地球温暖化は温室効果ガスではないという説

image by Study-Z編集部

温室効果ガスによって地球温暖化が促進されていることは多くの人が納得していますが、研究者によっては地球温暖化に温室効果ガスは関係ないとの主張もあります。その根拠の一つが太陽の活動周期です。太陽活動がどれほど活発なのかによって地球にどれだけの太陽熱が供給されるかが変わります。過去の地球の気温のデータと太陽の活動周期を重ねると、たしかに地球が寒冷化しているときは太陽活動も低迷していたのです。さらに、火山活動でも大量の二酸化炭素が発生します。

また、地球には氷河期・間氷期という自然のサイクルが存在していることをご存知でしょうか。現在は間氷期に当たると言われているので暖かくなって当然であるという考え方があるんです。地球規模で平均気温が上がるというのに、これが人間の活動のせいだけだと考えるほうが無理がありそうですよね。しかし、現実に温室効果ガスが増えており地球温暖化が進んでいることに間違いはないため、積極的に二酸化炭素を減らす工夫をしていきましょう。

温室効果ガスを減らすために

温室効果ガスとは地球が放出した熱が宇宙へ出ていくことを妨げ、地球にとどまらせることで地球の気温を上昇させる原因になる物質のことです。二酸化炭素を筆頭に、一酸化炭素・フロン・メタンなどが温室効果ガスに当たります。温室効果ガスは産業革命以降、急速に増え続け世界中で問題視されているんです。温室効果ガスの削減を目指してパリ協定が発行されるなど、世界中で地球温暖化の対策が取り組まれています。

個人ができること限られていますが、車を買うならエコカー、家を建てるならソーラーパネルを設置するなどできることは積極的に取り組んでいくことが大切です。また、ゴミを減らすことや使っていない部屋の電気は消すことでも温室効果ガスの削減に貢献できます。どんなに小さなことでもより多くの人が取り組むことで大きな効果をもたらすので、さっそく今日からできる温室効果ガス削減の取り組みを考え、実行してみましょう。

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