
1.妻は源氏の流れを汲む大名家の末裔で馬術をたしなみ、著作権保護の団体で働いたのちに大学で非常勤講師をしながらことわざ研究会の会長もしている。
2.あの国立病院の初代院長は患者の診察だけでなく病院の運営にも積極的でたくさんの書籍を出版し、その功績は著書にも収録されていて多くの医師が彼の思想の流れを汲んでいる。
3.その美術品はローマ帝国のヘレニズム様式の流れを汲む貴重な品で、どこかの軍隊が持ち帰ったものを道場が大切に保存していたためとても状態が良かった。
例文1は自分の妻は源氏の血を引く大名の末裔だということを流れを汲むと表現しています。例文2は初代院長は診療だけでなく病院の経営にも積極的で、後進の医師の多くは彼の思想の流れを汲んでいるということです。そして例文3は貴重な美術品がヘレニズム様式の流れを汲んでいるということを説明していますね。
どの文もその血統や系統、流派を受け継ぐという意味を持ち例文1は血統を継いでいる人、例文2は初代院長の思想を受け継ぐ医師が大勢いるということで例文3はヘレニズム様式という類型的な特徴が受け継がれているということが「流れを汲んでいる」ことをあらわしています。

「流れを汲む」の「汲む」はある系統を受け継ぐだけではなく、川の水を汲んだり器に茶をついだり他人の心を察するなどの意味もあるぞ。同じ文字でもいろいろな意味を持っている日本語は覚えることがたくさんあるな。
「系譜に属する」
似た意味の慣用句はありませんでしたが、名詞の「系譜」が血縁関係のつながりを示す記録やものごとのつながりである系統を意味する言葉になりますので、「系譜に属する」はその家系の血を引いているということになりますね。似たもので「系譜に連なる」「系統に属する」もあります。「系譜」は血縁などつながりを示すことを記録してあるものや系図、またはもののつながりや系統の意味です。「これが我が家の系譜です」のような使い方をします。
「亜流」
「亜流」(ありゅう)は亜は次ぐや第二位のことで、同じ流派を次ぐ人や同じ流れを汲む人のことです。同類のこともいいます。または一流の次の二流の人のことや一流のまねをするだけの人のことで、よく知られているのは後者の一流の人のまねをすることですね。一流の人に比べたらいびつで見劣りすることもありますが、以外にも亜流が生き残ることもあるのです。「あいつは亜流だから人気があるなんて理解できない」といった使い方をします。