この記事では「流れを汲む」について解説する。

端的に言えば流れを汲むの意味は「血統や系統を受け継ぐ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「流れを汲む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正者兼ライター。正しく美しい日本語を追求している。歴史上の人物の家系図を見るのが好きで授業そっちのけで見ていたという。今回は「流れを汲む」について説明していく。

「流れを汲む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「流れを汲む」の意味や使い方を見ていきましょう。

「流れを汲む」の意味は?

「流れを汲む」には、次のような意味があります。

その系統や流派を受け継ぐ。その系譜に連なる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「流(なが)れを汲(く)・む」

「流れを汲む」はその系統を受け継いだり流儀を学ぶ、そしてその流派の支流になるということです。流派に伝わる流儀を学び流派の系譜をまた支えていくことと、その血統や系統に属するという意味で「受け継ぐ」や「継承する」「系統を継ぐ」などの別の言い方となり、血統や系統、技能芸術などの流儀や流派のことを指し「汲む」はある系統を受け継ぐという意味になりますのでこの2つを組み合わせて「流れを汲む」。「支流」は本家から分かれた一派や分家のすじという意味や、主だったものから分かれたもので分派ともいいます。

「流れを汲む」の使い方・例文

「流れを汲む」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉はたとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「流れを汲む」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.妻は源氏の流れを汲む大名家の末裔で馬術をたしなみ、著作権保護の団体で働いたのちに大学で非常勤講師をしながらことわざ研究会の会長もしている。
2.あの国立病院の初代院長は患者の診察だけでなく病院の運営にも積極的でたくさんの書籍を出版し、その功績は著書にも収録されていて多くの医師が彼の思想の流れを汲んでいる。
3.その美術品はローマ帝国のヘレニズム様式の流れを汲む貴重な品で、どこかの軍隊が持ち帰ったものを道場が大切に保存していたためとても状態が良かった。

例文1は自分の妻は源氏の血を引く大名の末裔だということを流れを汲むと表現しています。例文2は初代院長は診療だけでなく病院の経営にも積極的で、後進の医師の多くは彼の思想の流れを汲んでいるということです。そして例文3は貴重な美術品がヘレニズム様式の流れを汲んでいるということを説明していますね。

どの文もその血統や系統、流派を受け継ぐという意味を持ち例文1は血統を継いでいる人、例文2は初代院長の思想を受け継ぐ医師が大勢いるということで例文3はヘレニズム様式という類型的な特徴が受け継がれているということが「流れを汲んでいる」ことをあらわしています。

「流れを汲む」の類義語は?違いは?

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「流派や系統を受け継ぐ」という意味を持つ「流れを汲む」の類義語は何でしょうか、見ていきましょう。

「系譜に属する」

似た意味の慣用句はありませんでしたが、名詞の「系譜」が血縁関係のつながりを示す記録やものごとのつながりである系統を意味する言葉になりますので、「系譜に属する」はその家系の血を引いているということになりますね。似たもので「系譜に連なる」「系統に属する」もあります。「系譜」は血縁などつながりを示すことを記録してあるものや系図、またはもののつながりや系統の意味です。「これが我が家の系譜です」のような使い方をします。

「亜流」

「亜流」(ありゅう)は亜は次ぐや第二位のことで、同じ流派を次ぐ人や同じ流れを汲む人のことです。同類のこともいいます。または一流の次の二流の人のことや一流のまねをするだけの人のことで、よく知られているのは後者の一流の人のまねをすることですね。一流の人に比べたらいびつで見劣りすることもありますが、以外にも亜流が生き残ることもあるのです。「あいつは亜流だから人気があるなんて理解できない」といった使い方をします。

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「流れを汲む」の対義語は?

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それでは「流れを汲む」と反対の意味を持つ対義語は何になるのでしょうか。

「断絶」

慣用句ではありませんが、続いていたものが途絶えることとして「断絶」があります。意味は複数ありそのなかで「流れを汲む」と対象的な意味を持つのは子孫が絶えたり家を継ぐ人がいなくなったりで廃絶することや古くから伝わる歴史や伝統などが途絶えてしまうことです。「後継者不在で家業が断絶する」や「このままだとお家断絶の危機だ」のような使い方をします。

「滅びる」

「滅びる」にも複数の意味があり「なくなる」「消え去る」「勢力が弱くなる」「すたれる」などありますが、この場合は「成り立たなくなる」や「滅亡する」または「たちゆかなくなる」という意味や家系や一家が滅びることと同じ意味を持ち、別の字で「亡びる」。例として「あの国は文明が発達していたが創設してわずか50年で滅びてしまった」のような使い方をします。

「流れを汲む」の英訳は?

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「流れを汲む」の英訳は何というのでしょうか、見ていきましょう。

「a genealogy」

「流れを汲む」の慣用句としての英訳はありませんでしたが、関連する語句の英訳ですと「系譜」という意味の単語が「genealogy」または「流派」で「a school」があり、「アリストテレスの系統を受け継ぐ学派」が「the Aristotelian school」になります。「系譜」はほかに「a lineage」という訳もあり「系統」は「systematic(ally)」や「methodical(ly)」です。

「die out」

「流れを汲む」の対義語に関連する語句「絶える」の英訳で「私の家は弟の代で血統が絶える」という意味の例文は「My family line will die out with my brother.」。他には死滅する、絶滅する、(風習など)が廃れるといった意味もあります。

\次のページで「「流れを汲む」を使いこなそう」を解説!/

「流れを汲む」を使いこなそう

この記事では「流れを汲む」の意味・使い方・類語などを説明しました。ここで言われている「流れ」は水の流れを汲むというのではなく、血族や血統、系統または日本舞踊や生け花など芸能や芸術関連の流儀のことで、〇〇派や何とか流というものです。

普段の生活ではあまりなじみのない慣用句かもしれませんが、何とか流の何代目という言い方をすればなんとなく「流れを汲んでいる人」ということがイメージできるのではないでしょうか。最近は子どもの能力開発にいいということでそろばん教室が人気だという情報を聞きましたが、現代の便利なデジタル社会にアナログのそろばんで計算するという流れを汲んでくれる人が増えてほしいものですね。

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【慣用句】「流れを汲む」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒の校正者兼ライターがわかりやすく解説!

この記事では「流れを汲む」について解説する。

端的に言えば流れを汲むの意味は「血統や系統を受け継ぐ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「流れを汲む」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正者兼ライター。正しく美しい日本語を追求している。歴史上の人物の家系図を見るのが好きで授業そっちのけで見ていたという。今回は「流れを汲む」について説明していく。

「流れを汲む」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「流れを汲む」の意味や使い方を見ていきましょう。

「流れを汲む」の意味は?

「流れを汲む」には、次のような意味があります。

その系統や流派を受け継ぐ。その系譜に連なる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「流(なが)れを汲(く)・む」

「流れを汲む」はその系統を受け継いだり流儀を学ぶ、そしてその流派の支流になるということです。流派に伝わる流儀を学び流派の系譜をまた支えていくことと、その血統や系統に属するという意味で「受け継ぐ」や「継承する」「系統を継ぐ」などの別の言い方となり、血統や系統、技能芸術などの流儀や流派のことを指し「汲む」はある系統を受け継ぐという意味になりますのでこの2つを組み合わせて「流れを汲む」。「支流」は本家から分かれた一派や分家のすじという意味や、主だったものから分かれたもので分派ともいいます。

「流れを汲む」の使い方・例文

「流れを汲む」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉はたとえば以下のように用いられます。

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