この記事では「腫れ物に触る」について解説する。

端的に言えば「腫れ物に触る」の意味は「恐る恐る気を付けて扱う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「腫れ物に触る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で慣用句を分かりやすく説明していく。

「腫れ物に触る」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「腫れ物に触る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腫れ物に触る」の意味は?

「腫れ物に触る」には、次のような意味があります。

機嫌を損じないように気遣い、恐る恐る接するさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腫れ物に触る」

「腫れ物に触る」とは、相手の機嫌を損ねないように様々な気をまわして相手を丁重に扱うことを指します。この場合すぐに機嫌を損ねる上司や態度の大きい顧客などの、扱いづらいけれど立場上上手く接していかなければならないという相手を「腫れ物」に例えて表現している言葉です。

生きていく上で接する人全員に対して堂々と本音を言ったり必要とあらば縁を切ったりすることは、誰しもが出来ることではないですよね。仕事上の立場や社会的立場を考えると、内心はどう思っていても表向きでは相手が常に心地よい気分でいられるように気を遣わなければなりません。「腫れ物に触る」は、そのような自分や人の「腫れ物」に対する恐る恐る接する態度を表現する言葉として用いられます。

「腫れ物に触る」の語源は?

image by iStockphoto

次に「腫れ物に触る」の語源を確認しておきましょう。

ニキビや吹き出物などの皮膚に出来る腫瘍のことを腫れ物と呼びます。顔に出来た厄介なニキビを必要以上に触ってしまって、余計に症状を悪化させてしまったという経験はないでしょうか?ニキビはいくら邪魔で厄介でもなるべく触らずに自然に治るまで待つというのが結局一番早く治る方法ですよね。「腫れ物に触る」は、このような少し触るだけでも悪化してしまう物を恐る恐る扱うという状態を人の態度に例えて表現した言葉です。

\次のページで「「腫れ物に触る」の使い方・例文」を解説!/

「腫れ物に触る」の使い方・例文

「腫れ物に触る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.有能なクリエイターが集まる職場はやりがいがあるが、部下としては常に自自信やプライドにあふれている先輩を腫れ物を触るかのように扱わなければならないため、毎日が不安な状況だ。
2.こどもが心配で腫れ物を触る様に大切に扱うという親心も分かるが、あまり気にせず自由にさせてあげた方が子ども自身の創意工夫の能力が発揮されやすいというアドバイスをもらった。
3.周囲の様子に配慮して腫れ物に触るような姿勢や適切な距離を保って対応することを意識していなければ、今の組織での役割を損失しかねない。

以上の例文から分かる様に、機嫌を損ねてはいけない相手や大切に扱わないといけない赤ちゃんなどを腫れ物という対象にすることが多いです。

機嫌の悪い人や性格が扱いづらい人などに対しては皮肉の意味を込めて「腫れ物に触れるように扱う」と用いますが、赤ちゃんなどの繊細で宝物のように大切に扱わなければならない対象に対してもその慎重さを表現するために「腫れ物に触れるように扱う」と用います。

以上のことから、腫れ物を扱う側よりも腫れ物側の方が存在価値や社会的立場が上ということが分かりますね。自分の身を呈してでも大切に扱うということはその人にそれほどの価値があるか、丁寧に扱わないと結果的に自分に影響が及ぶほどの力を持っているということになるからです。

「腫れ物に触る」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

それでは、「腫れ物に触る」の類語を見ていきましょう。

「当たり障りのないように」「波風を立てないように」

「腫れ物を触る」の類語として挙げられるのは、「当たり障りのないように」や「波風を立てないように」という表現です。

この二つはいずれも揉め事を起こさないように、相手の機嫌を損ねない態度や言葉を丁重に選んで対応することを指します。言葉通り「当たり障りのないように」は人に当たったり差し障りのないように接すること、「波風を立てないように」は風を吹いて波を立たせることなく平穏な状態を保つことだと分かりますね。

以上のことからこの二つの言葉は「腫れ物に触る」における、機嫌を損なわないように恐る恐る対応するという方の表現と同じです。しかし赤ちゃんなどを必要以上に慎重に扱ったり、神経質になることという方の意味合いは「腫れ物を触る」よりも薄れるので、そのような意味で用いる場合は「腫れ物に触る」を使うというように使い分けるといいでしょう。

\次のページで「「腫れ物に触る」の対義語は?」を解説!/

「腫れ物に触る」の対義語は?

「腫れ物に触る」は、相手の機嫌を伺って恐る恐る接する様子や必要以上に慎重に扱う様子を指す言葉でした。

では、「腫れ物に触る」の対義語を見ていきましょう。

「ぞんざいに扱う」

「ぞんざいに扱う」とは、相手に対して乱暴でいい加減な態度をとることで関係を投げやりなままにすることを表現する言葉です。機嫌を損ねないように常に脅えて気を遣うような、「腫れ物に触る」とは正反対の態度であると言うことが出来ますね。

余談ですが、「ぞんざい」には漢字表記はありません。「存在」や「粗雑」と表記することもありますが正しい使い方ではないために伝わりにくく、誤解を生むこともあります。無理をせず「ぞんざいに扱う」というように平仮名で表記しましょう。

「腫れ物に触る」を使いこなそう

この記事では「腫れ物に触る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「腫れ物に触る」は相手の機嫌を伺ったり恐る恐る接する態度など、あまり気持ちの良い態度を表現するものではありませんでしたね。仕事の立場上相手の機嫌を損ねないように接しなければいけないというのは、誰しもが一度は経験する苦悩でしょう。自分の気持ちに正直に好き勝手な態度をとることは、簡単なようで実は難しいことです。立場を守ることも大切ですが、我慢が限界になる前に時には何も考えずに自分の気持ちを正直に相手に伝えることも大切にしましょう。

自分を第一優先に出来なければ、他の何も守ることは出来ないということも良く聞く言葉ですね。

" /> 【慣用句】「腫れ物に触る」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「腫れ物に触る」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「腫れ物に触る」について解説する。

端的に言えば「腫れ物に触る」の意味は「恐る恐る気を付けて扱う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「腫れ物に触る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で慣用句を分かりやすく説明していく。

「腫れ物に触る」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「腫れ物に触る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「腫れ物に触る」の意味は?

「腫れ物に触る」には、次のような意味があります。

機嫌を損じないように気遣い、恐る恐る接するさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腫れ物に触る」

「腫れ物に触る」とは、相手の機嫌を損ねないように様々な気をまわして相手を丁重に扱うことを指します。この場合すぐに機嫌を損ねる上司や態度の大きい顧客などの、扱いづらいけれど立場上上手く接していかなければならないという相手を「腫れ物」に例えて表現している言葉です。

生きていく上で接する人全員に対して堂々と本音を言ったり必要とあらば縁を切ったりすることは、誰しもが出来ることではないですよね。仕事上の立場や社会的立場を考えると、内心はどう思っていても表向きでは相手が常に心地よい気分でいられるように気を遣わなければなりません。「腫れ物に触る」は、そのような自分や人の「腫れ物」に対する恐る恐る接する態度を表現する言葉として用いられます。

「腫れ物に触る」の語源は?

image by iStockphoto

次に「腫れ物に触る」の語源を確認しておきましょう。

ニキビや吹き出物などの皮膚に出来る腫瘍のことを腫れ物と呼びます。顔に出来た厄介なニキビを必要以上に触ってしまって、余計に症状を悪化させてしまったという経験はないでしょうか?ニキビはいくら邪魔で厄介でもなるべく触らずに自然に治るまで待つというのが結局一番早く治る方法ですよね。「腫れ物に触る」は、このような少し触るだけでも悪化してしまう物を恐る恐る扱うという状態を人の態度に例えて表現した言葉です。

\次のページで「「腫れ物に触る」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: