この記事では「目が利く」について解説する。

端的に言えば目が利くの意味は「物や人の良し悪しを見分ける能力を持っていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「目が利く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正者兼ライター。正しく美しい日本語を追求し、洞察力のあるほうだと自分では思っているが今回は「目が利く」について説明していく。

「目が利く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「目が利く」の意味や使い方を見ていきましょう。

「目が利く」の意味は?

「目が利く」には、次のような意味があります。

1.鑑識力がすぐれている。鑑定がじょうずである。

出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「めが利(き)く」

「目が利く」は物や人を見分ける能力にすぐれていて、鑑識力のあることをいいます。鑑識といえば事件が起こると現場へ行って指紋などを取ったりする警察の人を連想しますがここでは物の善悪や価値を見分ける能力のことで、例えば古い美術品や宝石などの価値のよしあしを鑑定することに長けている人のことだと思うとイメージがつきやすいでしょう。物以外では人間や物事のよしあしを見分けられることも「目が利く」ということです。よく「目利きの鑑定人」と呼ばれている人がいますがそれは鑑識力がが特に優れている鑑定人に対して使われます。

「目が利く」の使い方・例文

「目が利く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば次のように使われます。

\次のページで「「目が利く」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.目が利くことで有名な美術品に詳しい知人に倉庫にあった動物の油絵を鑑定してもらった結果、有名な画家の作品だったことが分かりワイドショーが取材に来た。
2.祖母は総務の仕事を担当していて、いま会社に残っている社員はすべて祖母が面接して判断した人を採用したので人を見ることに対して流石目が利く人だなと思った。
3.いくつかのブランドバッグをリサイクルショップで査定してもらったら、店員は曖昧な回答ばかりで査定額も安く期待はずれだったから日を改めて有名な目が利くお店に見てもらうことにした。

例文1は美術品の値打ちを鑑定することに優れている人にしまい込んでいた絵を見てもらった結果、有名な画家の描いた本物だったためにワイドショーが家にまで取材に来たということです。2はその人の祖母は人に対する観察眼に優れていたから優秀な人材を採用することができているという意味になります。そして3ではバッグを売りに出したら期待していた買取価格より安く見積もられてしまい、店員さんもいい加減で感じが悪かったので見切りをつけて、後日別のお店で目利きの人に査定してもらおうと決意したということです。どの例文も目の利く人の並外れた鑑識眼と洞察力が際立っています

「目が利く」の類義語は?違いは?

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「目が利く」にはどのような類義語があるのでしょうか。これから見ていきましょう。

「目が高い」

「目が高い」は良いものを見分ける力が高く、鑑識力に優れていることをいいます。「目が利く」と同じ意味ですね。お客さんにお店の人が「お客様はお目が高い」と言うせりふがよくありますが、「目が利く」よりは丁寧な言い方に感じられ視線の高さではなくて感覚の鋭さを表していて、相手に敬意をあらわしているようなニュアンスがあります。「目が高い」はものに対して使うことが適切で、物事や人に対しても洞察力があることをあらわすには「目が利く」や「目がある」のほうがスマートです。

「目がいい」

視力がいいという意味で「目がいい」という言い方をよくしますが、観察眼やものごとを見る力が優れていることにも使われます。人間は普段いろいろなことにとらわれてしまいがちですが、洞察力や鑑識力に優れている人は見るべきものがきちんと見えているから「目がいい」と言われるのでしょうか。

\次のページで「「目がある」」を解説!/

「目がある」

「目がある」は優劣や真偽、善悪などを見分けることをできるまともな判断力を持つ能力のある人のことをいいます。顔にある目がついているかついていないかではなく、さまざまなものの善悪を見分けることができてものごとをまともに判断する能力に長けている人のことで、ただ者ではない雰囲気がありますね。「目がある」も「目が利く」「目が高い」と同じように鑑識眼のすぐれた人に対してその能力をたたえ、実際によくある使い方は「あなたは見る目がある」です。

「目が利く」の対義語は?

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ものの価値や善悪を見分ける事のできる能力が優れていることが「目が利く」ですが、ではその対極にある対義語はどのようなものがあるでしょうか。

「目がない」

「目が利く」の明確な対義語としてではありませんが、「目が利く」人とは正反対の「見る目がない」人のことで洞察力や鑑識力のないことから自分にふさわしくない人を恋人に選んでしまい泣きを見たというときに「見る目がない」と使うことがあります。または非常に好きなものがありそれに対して抑制が効かないことでもあり「甘いものに目がない」などはこちらの意味です。

「目が利く」の英訳は?

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それでは「目が利く」の英訳を見ていきましょう。

「quite a connoisseur 」

「quite」は「quite a [an]+名詞」で並外れた(大した)、かなりという意味で「quite a [an]」のうしろに付く「connoisseur」は名詞で美術品などの鑑定家や鑑識家もしくは目利きや玄人、権威のことなので慣用句として「目が利く」という意味になります。例文としては「He is quite a connoisseur of ceramics.」で「彼は陶磁器の鑑定にはなかなか目が利く」です。

「has a keen eye 」

直訳すると「鋭い目を持つ」という意味ですが、こちらも「目が利く」「観察眼が鋭い」という使われ方をします。「鋭い」は「sharp」「pointed」などありますが、「keen」は感覚や知力などが鋭いという意味です。「keen eyed」で「眼力の鋭い」という語句もありますが、この場合の例文は「He has a keen eye.」で「彼は鋭い観察眼を持っている」と訳ができます。

\次のページで「「目が利く」を使いこなそう」を解説!/

「目が利く」を使いこなそう

この記事では「目が利く」の意味・使い方・類語などを説明しました。「目が利く」というのは骨董品などの鑑定家やいいものだけを集めている優秀なコレクターのことだと思いがちですが、人や物事に対しても善悪や真偽を見極める能力のある人を「目が利く」というのですね。辞書で調べてみるとよく分かりますが、「目」が使われている慣用句はたくさんあり、「目は口ほどに物を言う」とはよくいいますね。日々何気なく日常を見ているだけで視覚から得る情報というのはすごいのだなと改めて思いました。

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【慣用句】「目が利く」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒の校正者兼ライターがわかりやすく解説!

この記事では「目が利く」について解説する。

端的に言えば目が利くの意味は「物や人の良し悪しを見分ける能力を持っていること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「目が利く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正者兼ライター。正しく美しい日本語を追求し、洞察力のあるほうだと自分では思っているが今回は「目が利く」について説明していく。

「目が利く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「目が利く」の意味や使い方を見ていきましょう。

「目が利く」の意味は?

「目が利く」には、次のような意味があります。

1.鑑識力がすぐれている。鑑定がじょうずである。

出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「めが利(き)く」

「目が利く」は物や人を見分ける能力にすぐれていて、鑑識力のあることをいいます。鑑識といえば事件が起こると現場へ行って指紋などを取ったりする警察の人を連想しますがここでは物の善悪や価値を見分ける能力のことで、例えば古い美術品や宝石などの価値のよしあしを鑑定することに長けている人のことだと思うとイメージがつきやすいでしょう。物以外では人間や物事のよしあしを見分けられることも「目が利く」ということです。よく「目利きの鑑定人」と呼ばれている人がいますがそれは鑑識力がが特に優れている鑑定人に対して使われます。

「目が利く」の使い方・例文

「目が利く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、例えば次のように使われます。

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