この記事では「鉄槌を下す」について解説する。

端的に言えば鉄槌を下すの意味は「非常に厳しい制裁を加える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「鉄槌を下す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正者兼ライター。正しく美しい日本語を追求し、最近はECショップで買い物することが多く送料無料に弱い。今回は打たれたらものすごく痛そうな「鉄槌を下す」について説明していく。

「鉄槌を下す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鉄槌を下す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鉄槌を下す」の意味は?

「鉄槌を下す」には、次のような意味があります。

きびしく処罰・処置する。きびしい制裁を与える。

出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「てっついを下(くだ)す」

「鉄槌(てっつい)を下す」とはきびしく処罰をしたり、きびしい制裁を与えることです。鉄槌とは柄のついたT字型のものをたたくための工具で、皆さんも知っている金づちの大きいもののことをいいます。大きさはよく分かりませんが1メートルぐらいで、重さは何キロあるのでしょうか。片手では持てないほど重そうな気がしますね。

罪を犯した人にきびしい罰を与えるため大きな金づちを振り落して制裁をするという意味で、このような威力の大きいものを振り落とされるというのですから、罪を犯した側は相当な悪どい行いをしていて、それに対して正義の裁きを下してやりたいという気持ちが分かります。

「鉄槌を下す」の使い方・例文

「鉄槌を下す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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1.他人のクレジットカードから百万円の金額を引き出したあの職員は、懲戒免職処分という鉄槌が下されたと聞いた。
2.この世の悪徳すべてに鉄槌を下すために、後日米国をはじめ世界各国からスーパーエージェントを集めるため応募サイトを立ち上げた。
3.看板商品である機械の売上が他社に負けたことを営業担当の社員のせいにして暴君のように振る舞っている社長には、年度末にグループ会社のお偉方から鉄槌が下されるだろう。

例文に1~3に共通して言えることは過ちを犯した人や道徳に反する行為や思想に罰を与えるため、そして自身の無能さを棚に上げて鬼のようにふるまう人に対して何らかの裁きが下るだろうということです。

例文1は犯罪行為をしてしまったために仕事を辞めさせられてしまった職員の情報を聞いたこと、例文2はこの世界で増加していく悪い行いを正すため世界中からすご腕のスパイを集めるための募集サイトを立ち上げたこと。そして例文3は事業がうまくいかないことを自分の怠慢を棚に上げ営業担当のせいにして利益ばかりを追求し、自分勝手で横暴な振る舞いをしている社長はいつか上の偉い人に処分されるだろうという客観的な視点からです。

「鉄槌を下す」の類義語は?違いは?

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罪を犯した人に厳しい罰を与えるという意味の「鉄槌を下す」ですが、類義語にはどのような成句があるのか見てみましょう。

「制裁を加える」

法律や規則などの社会的ルールに背いた人に罰を与えることです。ニュースでよく聞く「経済制裁」や、「社会的制裁」または、「鉄拳制裁を加える」と体罰を感じさせるようなニュアンスで使われることもあります。暴力で罰を加えるのは自身も鉄槌を下されるおそれがありますので、実際に使わない方がいいでしょう。「制裁を加える」は制裁の強さの幅がありますが、「鉄槌を下す」の鉄槌は厳罰と決まっています。あまり厳しくない処分なら「制裁を加える」が適切でしょう。

「仕置する」

「仕置」にはさまざまな意味があります。おもに江戸時代に罪人を罰することや国を治めるために組織を動かして取り締まることの意味もあり、この場合では昔、子どもや使用人らに対してこらしめのために罰する「おしおき」や、江戸時代の罪人を法にもとづいて処分するといったことが適切でしょう。

時代劇に「仕置人」というタイトルがありますが、これは悪い人たちをこらしめる人という意味になります。参考ですが刑罰の内容も決まっていたわけではなく、藩または時期によって違っていたそうです。そのほかには関連は薄いですが作り方や製法としても「仕置」が使われます。

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「鉄槌を下す」の対義語は?

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「鉄槌を下す」の対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。それでは見ていきましょう。

「大目に見る」

人の悪いところや過ちを厳しくとがめずにおだやかな広い心で物事をあつかうことのほか、大ざっぱでいいかげんに見積もりをするという意味もあります。間違いを犯した人に罰を与えることも必要ですが、厳罰を与えてこらしめるよりは一度頭を冷やさせてもう一度チャンスを与えるという親心からくるものなのでしょう。

「今回は大目に見ましょう」などとよく使われますね。おおざっぱでいいかげんなことの意味にもなるのが意外でしたが、おおらかで広い心というところが共通点なのでしょうか。

「鉄槌を下す」の英訳は?

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「鉄槌を下す」の英訳はどうなるでしょうか。それではご紹介します。

「deal a crushing [hard] blow to crack down on 」

慣用句として「deal a crushing hard blow to crack down on 」が「鉄槌を下す」の英訳です。「deal」が「~に対して処置をとる」、問題や人を処理する、扱うという意味で使います。「crushing」は押しつぶす、へこますなどで「hard」は強い「blow」は体の一部を殴ったり強く打つことで取り締まりに厳しい法律の施行や弾圧を誰に対してするが「to crack down on」です。

「取り締まるために圧倒的なハードブロウを与える」という訳もありますが「鉄槌を下す」のニュアンスは伝わりますし「圧倒的なハードブロウ(強く打つ)」がその威力を表しています。

「鉄槌を下す」を使いこなそう

この記事では「鉄槌を下す」の意味・使い方・類語などを説明しました。鉄槌(てっつい)の意味とその威力を知らないとうまく使いこなせないかもしれませんが、人や自分のあやまちに対して何らかのきびしい処分が下されたときなどに使うと間違いはないでしょう。人生はどこに落とし穴があるのか分かりません。鉄槌またの名を厳罰という破壊力の高い大きな金づちを振り落とされたらおしまいですし、大人になれば家族などの守るべきものがありますから常識のある人なら悪いことはできませんね。悪いことをして鉄槌を下されないようにしましょう。

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【慣用句】「鉄槌を下す」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒の校正者兼ライターがわかりやすく解説!

この記事では「鉄槌を下す」について解説する。

端的に言えば鉄槌を下すの意味は「非常に厳しい制裁を加える」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本文学科出身で事務職を経て現在はライター業のかたわら校正もしているjasminを呼んです。一緒に「鉄槌を下す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/jasmin

日本文学を専攻し事務職を経て現在は校正者兼ライター。正しく美しい日本語を追求し、最近はECショップで買い物することが多く送料無料に弱い。今回は打たれたらものすごく痛そうな「鉄槌を下す」について説明していく。

「鉄槌を下す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「鉄槌を下す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「鉄槌を下す」の意味は?

「鉄槌を下す」には、次のような意味があります。

きびしく処罰・処置する。きびしい制裁を与える。

出典:精選版 日本国語大辞典(小学館)「てっついを下(くだ)す」

「鉄槌(てっつい)を下す」とはきびしく処罰をしたり、きびしい制裁を与えることです。鉄槌とは柄のついたT字型のものをたたくための工具で、皆さんも知っている金づちの大きいもののことをいいます。大きさはよく分かりませんが1メートルぐらいで、重さは何キロあるのでしょうか。片手では持てないほど重そうな気がしますね。

罪を犯した人にきびしい罰を与えるため大きな金づちを振り落して制裁をするという意味で、このような威力の大きいものを振り落とされるというのですから、罪を犯した側は相当な悪どい行いをしていて、それに対して正義の裁きを下してやりたいという気持ちが分かります。

「鉄槌を下す」の使い方・例文

「鉄槌を下す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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