この記事では「人生七十古来稀なり」について解説する。

端的に言えば人生七十古来稀なりの意味は「70歳まで長生きする者は、昔から非常に少ない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアンソレルを呼んです。一緒に「人生七十古来稀なり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間30冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章を用いる。記憶の定着には丸暗記よりも深い理解が大切であるとの観点から、語源や類義語まで幅広く派生し、関連語の習得も狙った解説を心がける。

今回は、慣用句「人生七十古来稀なり」をベースに、類語の「古希」や対義語の「人生100年時代」などを意味や語源から例文までみっちり解説。

「人生七十古来稀なり」の意味や語源・使い方まとめ

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それではさっそく「人生七十古来稀なり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「人生七十古来稀なり」の意味は?

「人生七十古来稀なり」には、次のような意味があります。

1.70歳まで長生きする者は、昔から非常に少ない

出典:デジタル大辞泉(小学館)「人生七十古来稀なり」

「人生七十」とはつまり、70年の人生、70歳ということ。「古来」とは「昔から今まで」、「古くから」の意で、「稀(まれ)」とは「数が非常に少ない」ことをさす、「希少/稀少(きしょう)」の「稀」です。

つまり「70歳まで長生きする者は、昔から非常に少ない」という意味になります。

「人生七十古来稀なり」の語源は?

次に「人生七十古来稀なり」の語源を確認しておきましょう。

この「人生七十古来稀なり」の語源は、中国唐時代の詩人、杜甫(とほ)の漢詩「曲江(きょくこう/きょっこう)」です。この詩の中で「人生七十古來稀」と詠まれました。

中国の長安の池「曲江」の名を冠したこの詩は、70歳まで長生きすることは滅多にないのだから人生を楽しもうと、毎日のように春着を質に入れほうぼうに酒代の借金をしながらも、晩春のほとりでアゲハチョウやトンボが水面を飛ぶ美しい晩春の景色とお酒を楽しむ男の話です。

\次のページで「「人生七十古来稀なり」の使い方・例文」を解説!/

「人生七十古来稀なり」の使い方・例文

「人生七十古来稀なり」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「人生七十古来稀なり」というが、隣のおじいちゃんは非常にお元気でいらっしゃる。
2.「人生七十古来稀なり」というなら、今のうちに人生のすべてを謳歌すべきだ。
3.この長寿の多い地域においては「人生七十古来稀なり」というのは通用しないだろう。
4.確かに「人生七十古来稀なり」とはいうが、それにしても彼の死が悼まれる。

中国の唐時代つまり700年代の、杜甫の漢詩に起源を持つこの言葉。平均寿命が伸び、「人生100年時代」ともいわれる現代においては、例文でもみられるように、「実際には70歳を超えたが元気である」という使われ方も多いでしょう。

「人生七十古来稀なり」の類義語は?違いは?

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それでは次に「人生七十古来稀なり」の類義語についてみていきましょう。

「古希」

「古希」は「70歳のこと、またその祝い」を意味します。文字からもわかるように、この言葉も同じく杜甫の漢詩「曲江」が由来です。漢字では「古希」や「古稀」とも書かれます。

古希の長寿祝いで祝いの意味を込めて相手へ送る色は、貴族や僧侶の最高位をあらわす紫色です。また長寿祝いはこの70歳の古希のほかに、60歳の「還暦(かんれき)」、66歳の「緑寿(りょくじゅ)」、77歳の「喜寿(きじゅ)」、80歳の「傘寿(さんじゅ)」、88歳の「米寿(べいじゅ)」、90歳の「卒寿(そつじゅ)」、99歳の「白寿(はくじゅ)」、100歳の「百寿(ひゃくじゅ・ももじゅ)」があります。

\次のページで「「致仕」」を解説!/

1.友だちのおじいちゃんが先日「古希」を迎えたと聞き、その長寿の秘訣を質問した。
2.「古希」の祝いの色は、還暦の赤とは違って紫色になると教えられる。
3.日本にある長寿祝いはその年齢ごとに多くあるが、70歳では「古希」だ。

「致仕」

「致仕(ちし)」とは「官職をしりぞくこと」、「70歳」の意味で、「致事(ちじ)」とも書かれます。また「官職をしりぞく」という意味では「致禄(ちろく)」という言葉も。

この「致仕」は、中国の官吏が、70歳で引退を許可されたことが由来です。君主に預けた身体の返却を願うと言う意味から、「骸骨を乞う」という言い方もあります。

1.彼は一度「致仕」していたが、事件の後再び朝廷に仕えはじめた。
2.父は「致仕」するまでは、組織一の高給取りであった。
3.現在65歳になる彼は、70歳で「致仕」するまでは働き続けると尋常ではないほど意気込んでいる。

「人生七十古来稀なり」の対義語は?

それでは次に「人生七十古来稀なり」の対義語についてみていきましょう。

「人生100年時代」

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「人生100年時代」の意味は読んで字の如く、「人類の寿命が、100歳に到達しようとする時代」です。

「人生100年時代」は、ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン、アンドリュー・スコットによる「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」という本の中で提唱された言葉。原題は「THE 100-YEAR LIFE」です。

政治家の小泉進次郎が使用したことや、首相官邸に設置された「人生100年時代構想会議」などにより広く使われる一般的な言葉となりました。「人生七十古来稀なり」の対義語といえる言葉でしょう。

1.「人生100年時代」というくらいだから、生涯現役を通すか、引退後のプラン設計をおすすめする。
2.平均寿命は年々伸び続けており、「人生100年時代」への到達も本当にもう少しだ。
3.あの人は「人生100年時代」を見越していたかのようにビジネスを展開していく。

\次のページで「「人生七十古来稀なり」を使いこなそう」を解説!/

「人生七十古来稀なり」を使いこなそう

この記事では「人生七十古来稀なり」の意味・使い方・類語などを説明しました。言葉の意味だけではなく語源や関連する言葉まで紐づけてみていくとより理解が深まり語彙力が上がり、記憶にも残りやすくなるでしょう。

今回は杜甫に由来する古くからの言葉や、現代の名著に由来する新しい言葉が見つかりました。「人生100年時代」、これからも学び続け、未来に備えましょう!

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国語言葉の意味

「人生七十古来稀なり」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「人生七十古来稀なり」について解説する。

端的に言えば人生七十古来稀なりの意味は「70歳まで長生きする者は、昔から非常に少ない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアンソレルを呼んです。一緒に「人生七十古来稀なり」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間30冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章を用いる。記憶の定着には丸暗記よりも深い理解が大切であるとの観点から、語源や類義語まで幅広く派生し、関連語の習得も狙った解説を心がける。

今回は、慣用句「人生七十古来稀なり」をベースに、類語の「古希」や対義語の「人生100年時代」などを意味や語源から例文までみっちり解説。

「人生七十古来稀なり」の意味や語源・使い方まとめ

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それではさっそく「人生七十古来稀なり」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「人生七十古来稀なり」の意味は?

「人生七十古来稀なり」には、次のような意味があります。

1.70歳まで長生きする者は、昔から非常に少ない

出典:デジタル大辞泉(小学館)「人生七十古来稀なり」

「人生七十」とはつまり、70年の人生、70歳ということ。「古来」とは「昔から今まで」、「古くから」の意で、「稀(まれ)」とは「数が非常に少ない」ことをさす、「希少/稀少(きしょう)」の「稀」です。

つまり「70歳まで長生きする者は、昔から非常に少ない」という意味になります。

「人生七十古来稀なり」の語源は?

次に「人生七十古来稀なり」の語源を確認しておきましょう。

この「人生七十古来稀なり」の語源は、中国唐時代の詩人、杜甫(とほ)の漢詩「曲江(きょくこう/きょっこう)」です。この詩の中で「人生七十古來稀」と詠まれました。

中国の長安の池「曲江」の名を冠したこの詩は、70歳まで長生きすることは滅多にないのだから人生を楽しもうと、毎日のように春着を質に入れほうぼうに酒代の借金をしながらも、晩春のほとりでアゲハチョウやトンボが水面を飛ぶ美しい晩春の景色とお酒を楽しむ男の話です。

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