この記事では「風呂敷を広げる」について解説する。

端的に言えば「風呂敷を広げる」の意味は「見栄を張る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「風呂敷を広げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で慣用句を分かりやすく説明していく。

「風呂敷を広げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「風呂敷を広げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「風呂敷を広げる」の意味は?

「風呂敷を広げる」には、次のような意味があります。

1.実際より大げさに言う。
2.ほらを吹く。
3.大言する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「風呂敷を広げる」

「風呂敷を広げる」は、物事を自分の都合のいいように誇張したり事実を少し変えることで見栄を張るような人の言動を表現する言葉です。

誰もが人生に一度は見栄を張って自分の実力以上のことを言ってしまったり、都合のいい虚言を吐くなどの失態を犯したことがあるのではないでしょうか?「風呂敷を広げる」は、そのような口先だけの人に対して注意を促したり第三者目線で評価する目的だけでなく、自分の口先だけの大きな夢や虚言に対して自虐や反省の意味を込めて用いることも出来ます。

よって「風呂敷を広げる」とはビックマウスになっている人に対して直接注意を促す二人称、直接ではなく関係のないところで評価する三人称、自分の言動に対して自虐や反省として用いる一人称の三つの対象に向けて用いることが出来るということが分かりますね。

「風呂敷を広げる」の語源は?

次に「風呂敷を広げる」の語源を確認しておきましょう。

日本の美しい文化である風呂敷。紙袋や布製の手提げ袋が日本に普及する前、日本では風呂敷は生活の一部でした。現代では普段使いをしている人はなかなか見受けませんが、風呂敷は一枚で多様な用途に用いることの出来る、非常に万能で環境に優しい代物なんです。そんな風呂敷がなぜ、口先だけの人を表現する言葉として用いられるようになったのでしょうか?

風呂敷で物を包むときの様子を想像してみてください。まず風呂敷を広げて、その中央に物を置いて包み始めますよね。風呂敷が万能な点は、中身の物がどんな大きさであっても包める範囲の大きさであればその大きさに沿って変幻自在に形が変化するので必要以上にかさばることが無いという点。これを逆手に取れば、どれほど小さいものを包むときでも大きな風呂敷を用いると最初に広げて包み始める前までは中身に対して不相応な、大きい面積を獲得することが出来るということです。このように中身に対して必要以上に大きな風呂敷を使う様子を、自分の実力以上に大きな夢を語る様子に例えたことから「風呂敷を広げる」という表現を用いるようになりました。

また次の例文で具体的な使い方を紹介していきますが、この語源から考えると風呂敷は大きければ大きいほど中身の小ささ、つまり実力や行動力の無さを強調することが出来ますよね。よって「風呂敷を広げる」は、「大風呂敷を広げる」というように用いられることが多いです。

\次のページで「「風呂敷を広げる」の使い方・例文」を解説!/

「風呂敷を広げる」の使い方・例文

「風呂敷を広げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.周囲の後輩に知識があるところを自慢するために機械の説明書の英語訳を自ら名乗り出るという大風呂敷を広げてしまったが、実際は少しの教養しかないつたない英語力なので信頼を損なわないか今になって心配している。
2.あの人は才能のある科学者だけど生物の解剖は苦手らしく、大風呂敷を広げるだけ広げて解剖の時には逃げてしまうから、あまり尊敬は出来ないよね。
3.まだパソコンを触ったこともないのに、来年の技能コンテストで優勝するというまた現実味の無い目標を掲げてるけど、そんなに大風呂敷を広げていると後で後悔するんじゃない?

例文を見ていただくと、対象を一人称・二人称・三人称の三パターンで使い分けていることがお分かりになったと思います。このように「風呂敷を広げる」は、自分に対しての反省や自虐で用いる一人称と話相手の言動を注意する時に用いる二人称、話相手以外の第三者の言動に対して噂をする三人称の三つの場面で使い分けることが出来るということが分かりますね。

また語源を紹介した際に説明したように、「風呂敷を広げる」だけで使うよりも「大風呂敷を広げる」というように「大」を付けた方が大げさな言葉や大ぼらを吐いている様子などの意味合いを強調することが出来ます。もちろん「風呂敷を広げる」だけで使う場合もありますが、ほとんどの場合「大風呂敷を広げる」というように使うようです。人の口先だけの言動を注意をするときにおいても、相手の言動がどれほど深刻なものなのかを伝えるために「大風呂敷を広げているけど大丈夫?」と強調して使うようにすると、相手も一度思い留まりやすいですよね。

一人称で用いる場合は自虐や反省だけでなく、「わざと用いて好感を上げた」というように自慢として用いる場合があります。面接や重要な仕事の交渉の際、相手に対する自分の印象を良くするためにわざとはったりをかけたり虚勢を張ったことでそのやり取りが上手くいったということはありませんか?そのような場合に「大風呂敷を広げてやった」と自慢のように用いることがありますが、はったりや虚勢を張ることは必ずしも自慢できることではないので、基本的には自虐や反省の意味を含めて用いることが良心的でしょう。

「風呂敷を広げる」の類義語は?違いは?

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「風呂敷を広げる」の類語とその違いを見ていきましょう。

「大言壮語をする」

「大言壮語をする」とは、実力に伴わない大きなことを言って虚勢を張ったり大ぼらを吹くことを意味する言葉。

意味合い的には「風呂敷を広げる」と全く同じですが、「大言壮語」は四字熟語なので「風呂敷を広げる」よりも堅い文章の際に用いることが多いです。なので「大言壮語」は日常の会話というよりも文豪の小説などで見る機会が多いかもしれませんね。

\次のページで「「風呂敷を広げる」の対義語は?」を解説!/

「風呂敷を広げる」の対義語は?

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では、「風呂敷を広げる」の対義語を見ていきましょう。

「不言実行」

「風呂敷を広げる」は出来もしない実力以上のことを言ってしまったり、見栄を張って虚言を吐くなど、行動が伴わない大きな発言を指す言葉でしたね。

この対義語は、何も言わずとも成すべきごとを素早く実行するということを表現する「不言実行」となります。あれこれ余計なことを言わずに必要なことを実行するという姿勢は、言葉ばかりが達者な「風呂敷を広げる」の姿勢と大きく異なることが分かりますね。

「風呂敷を広げる」を使いこなそう

この記事では「風呂敷を広げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

日本の美しい「風呂敷」という文化が、日本人特有の奥ゆかしさとはかけ離れたはったりや虚勢などの言動を表現する言葉に用いられているというのは、非常に興味深いと思いませんか?また自分を優れたものに見せることを、大きな風呂敷で小さなものを包むときの様子に例えるという想像力には脱帽ですね。

風呂敷をまだ使ったことが無い人は実際に使ってみると、「風呂敷を広げる」の意味も想像しやすくなると思うのでぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「風呂敷を広げる」の意味や使い方は?例文や類語を現役学生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「風呂敷を広げる」について解説する。

端的に言えば「風呂敷を広げる」の意味は「見栄を張る」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役学生ライターのタビビトを呼んです。一緒に「風呂敷を広げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タビビト

現役の文学部学生ライター。学生生活の中で数多くの芸術関係の執筆を行い、小学生の頃から多種多様な書籍を読破してきた生粋の文科系。読書量に比例する文章力で慣用句を分かりやすく説明していく。

「風呂敷を広げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「風呂敷を広げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「風呂敷を広げる」の意味は?

「風呂敷を広げる」には、次のような意味があります。

1.実際より大げさに言う。
2.ほらを吹く。
3.大言する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「風呂敷を広げる」

「風呂敷を広げる」は、物事を自分の都合のいいように誇張したり事実を少し変えることで見栄を張るような人の言動を表現する言葉です。

誰もが人生に一度は見栄を張って自分の実力以上のことを言ってしまったり、都合のいい虚言を吐くなどの失態を犯したことがあるのではないでしょうか?「風呂敷を広げる」は、そのような口先だけの人に対して注意を促したり第三者目線で評価する目的だけでなく、自分の口先だけの大きな夢や虚言に対して自虐や反省の意味を込めて用いることも出来ます。

よって「風呂敷を広げる」とはビックマウスになっている人に対して直接注意を促す二人称、直接ではなく関係のないところで評価する三人称、自分の言動に対して自虐や反省として用いる一人称の三つの対象に向けて用いることが出来るということが分かりますね。

「風呂敷を広げる」の語源は?

次に「風呂敷を広げる」の語源を確認しておきましょう。

日本の美しい文化である風呂敷。紙袋や布製の手提げ袋が日本に普及する前、日本では風呂敷は生活の一部でした。現代では普段使いをしている人はなかなか見受けませんが、風呂敷は一枚で多様な用途に用いることの出来る、非常に万能で環境に優しい代物なんです。そんな風呂敷がなぜ、口先だけの人を表現する言葉として用いられるようになったのでしょうか?

風呂敷で物を包むときの様子を想像してみてください。まず風呂敷を広げて、その中央に物を置いて包み始めますよね。風呂敷が万能な点は、中身の物がどんな大きさであっても包める範囲の大きさであればその大きさに沿って変幻自在に形が変化するので必要以上にかさばることが無いという点。これを逆手に取れば、どれほど小さいものを包むときでも大きな風呂敷を用いると最初に広げて包み始める前までは中身に対して不相応な、大きい面積を獲得することが出来るということです。このように中身に対して必要以上に大きな風呂敷を使う様子を、自分の実力以上に大きな夢を語る様子に例えたことから「風呂敷を広げる」という表現を用いるようになりました。

また次の例文で具体的な使い方を紹介していきますが、この語源から考えると風呂敷は大きければ大きいほど中身の小ささ、つまり実力や行動力の無さを強調することが出来ますよね。よって「風呂敷を広げる」は、「大風呂敷を広げる」というように用いられることが多いです。

\次のページで「「風呂敷を広げる」の使い方・例文」を解説!/

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