
端的に言えば痰を切るの意味は「威勢のいいことを言う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「痰を切る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル
某国立大で現代日本語学を専攻。しゃべりよりもライティングを得意としている。草食系男子なので「痰を切る」ことはありえない。痰は時折絡む程度。
「痰を切る」の意味は?
「痰を切る」には、次のような意味があります。
1.のどの痰をとる。
2.すっきりするような威勢のいい言葉を言う。啖呵(たんか)を切る。
出典:大辞林 第三版(三省堂)「痰を切・る」
「痰を切る」(たんをきる)とは上記辞書の1が本来の意味で、2が慣用句の表現です。「威勢のいいことを言う」という意味があります。
人によっては、2にも書かれている「啖呵を切る」(たんかをきる)の方になじみがあるのではないでしょうか。「啖呵」(たんか)も口から出る「痰」(たん)のことですので、意味は同じです。ただし、辞書で「啖呵を切る」の意味を調べた場合は「威勢のいい言葉を言う」のみの記述で、「痰を取り除く」とは掲載されていません。慣用句としての用法だけです。そういえば、時代劇でお奉行様が罪人にまくしたてるシーンは「啖呵を切る」と言っていましたよね。おそらく、それが「痰を切る」より耳なじみがある原因と思われます。
「痰を切る」の語源は?
次に「痰を切る」の語源を確認しておきましょう。
のどや胸につかえていた痰が取れるとスッキリしますよね。そういった感覚が勢いよくまくし立てるさまの例えとなりました。「切る」と言っても刃物を使うわけではなく、「取り除く」という意味です。
前項でふれた「啖呵を切る」についても説明しましょう。「啖呵」(たんか)はもともと「痰火」(たんか)という字で書いてました。痰が体内の火気から生じると考えられていたためです。熱が出て風邪などの症状とともに痰が出ますから、わからなくもないですよね。それが後になって「啖呵」という漢字が当てられるようになりました。「啖」には「むさぼり食う」、「呵」は「怒鳴る、大声で笑う」といった意味があります。
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