この記事では「男を上げる」について解説する。

端的に言えば男を上げるの意味は「素晴らしい行動をして、男としての名誉を高める」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「男を上げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。

「男を上げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「男を上げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「男を上げる」の意味は?

「男を上げる」には、次のような意味があります。

・りっぱな行為をして、男の面目を施す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「男を上げる」

「男としての価値を上げる」という意味を持つ「男を上げる」。とはいえ、最近ではそこまで多用される表現ではないかもしれませんね。それもそのはず、現在と過去では男女のとらえ方が違いますから。

それでは早速、慣用句を分解して意味を取りましょう。「上げる」は「価値を上げる」「評判を上げる」などで使われる「上げる」。物体が上に移動する意味ではなく、高まる意味を内包しているのです。

そして特徴的なのは「男」。この一文字だけで男性の名誉や価値を表します。それが「上がる」のですから、このような意味になるのですね。

「男を上げる」の背景にある性差への認識

次に「男を上げる」が生まれた時代の背景を考えましょう。2020年現在、ジェンダーレスやLGBTなど性に対する多様性が広く叫ばれており、「男性らしさ」「女性らしさ」を大っぴらに語ること、強制及び矯正する事は悪とすらされる風潮があります。

しかし、昔は「そんなんで泣くんじゃない!男なんだから」「女の子なんだから」などのように説教や生き方の指南などにも性差について持ち出されることがしばしばでした。

そのような背景があったために、慣用句やことわざにおいて「男」や「女」といった言葉が用いられることが多々あるのです。「男を上げる」もそのひとつ。「男」を用いて、気前の良さや格好よさなどを表現しています。

\次のページで「「男を上げる」の使い方・例文」を解説!/

「男を上げる」の使い方・例文

「男を上げる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.不良に囲まれている少女を助けたことで、彼は男を上げた。
2.共演者全員のお弁当を奢る気前の良さを見せ、俳優のヒロシさんの男が上がった。

さて、例文をふたつ認めさせていただきました。まず、例文1から見ていきましょう。少女が不良に襲われているというベタな状況ですね。とはいえ見かけるのは漫画などでしかなく、実際そんなことは中々ないような気もしますが……。本筋に戻りましょう。

そのような状況で、少女を助けたとしたなら、それは議論の余地なく男らしい行動と言えます。そのような男らしい行動を取ったことで、彼は男の価値を上げたのですから、これは「男を上げる」の典型的な用例であると言えるでしょう。

そして、例文2。実は「男を上げる」だけでなく「男が上がる」という表現でも同様の用法で使えます。ただ、「上げる」と「上がる」でてにをはが変わるので、そこだけ気をつけましょう。そして、状況としてもこちらも全員分のお弁当を奢ったという気前の良さを見せたので、この慣用句が使えたわけですね。また、当たり前ではありますが、この慣用句は男性にしか使えない言葉だということにも気を配るべきでしょう。

「男を上げる」の類義語は?違いは?

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男を上げるは「男としての価値を上げる」という意味でした。では、その類義語はどのような言葉になるのでしょうか。

「男振りを上げる」

「男振り」は男としての容姿や性質・気質を表します。それが上がるということは、男としての価値が上がるわけですから、「男を上げる」と同様の意味を持つ類義語であると言えるでしょう。

また、上がるわけではなく、状態がいいことを表すならば「男振りがいい」という表現を使うこともできますので、併せて覚えておきましょう。

そしてこちらも「男振りが上がる」という使い方もできます。

\次のページで「「男前を上げる」」を解説!/

「男前を上げる」

男性に対しての褒め言葉として使われる「男前」。「男前だねぇ」のように、男らしくて格好いいことを表しています。また、男前には別の意味もあるのです。男前は男性の容姿や顔立ちという意味もあります。この「男前を上げる」は、そちらの意味で男前が使われているんです。

その男前が「上がる」ということで、この慣用句は格好よくなったという意味を持ちます。男としての価値が上がったという意味では「男が上がる」と意味が共通していますが、「男が上がる」は内面的な価値について、「男前が上がる」は外見的な価値について言及した慣用句であるとの違いがあるので気をつけましょう。

こちらも「男前が上がる」と使うこともできます。

「男が上がる」の対義語は?

では、「男が上がる」の反対の意味、つまり男の価値が下がったような場合はどのような慣用句を使うべきなのでしょう。

「男を下げる」

「男を上げる」の対義語は「男を下げる」です。前述の通り、男は男性的な価値を表すわけですから、「上げる」という言葉を使えるのと同様に「下げる」も用いることができるわけですね。

「男前を下げる」「男振りを下げる」

「男前」「男振り」も「男を下げる」同様に、「下げる」を使うことによって逆の意味合いを表現することができます。

男女について扱っていることわざ

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序盤に、昔は「男らしさ」「女らしさ」が重視されたために「男」「女」の入った慣用句やことわざが多いという説明をさせていただきました。

その中でも「男」と「女」の両方が入っており、昔の人々が「男らしさ」や「女らしさ」をどのようにとらえていたかを窺い知ることができることわざを最後にご紹介します。

「男は度胸、女は愛嬌」

読み方は「おとこはどきょう、おんなはあいきょう」です。また、こちらのことわざは「女は愛嬌、男は度胸」と順番を入れ替えて使うこともあります。これは、耳にする機会の多いことわざではないでしょうか。意味はそのままではありますが、「男にとって大事なものは、重要な局面に際した時の決断力や行動力であり、おんなにとって大事なことは可愛らしくにこやかな笑顔で振る舞えることだ」というもの。

これは、昔の人が男に求めていたものと女に求めていたものの違いを如実に表したことわざであると言えるでしょう。古文の表現で男性的でおおらかな歌風を「益荒男振り」、女性的な歌風を「手弱女振り」と呼んだように、昔は男性には豪快さを、女性には弱々しくも可愛がる余地があることを求めていたように思います。

また、このことわざは「度胸」と「愛嬌」の「きょう」の音で韻を踏んでいることにも注目しましょう。また、その後に「坊主はお経」と続け、さらにもう一回韻を踏むこともあるようです。

\次のページで「「男を上げる」を使いこなそう」を解説!/

「男を上げる」を使いこなそう

この記事では「男を上げる」の意味・使い方・類語などを説明しました。男女のとらえ方は時代を経るごとに大きく変化していますが、男に求められてきた「おおらかさ・豪快さ」に対する価値は未だ残っています。

そのような背景までしっかりと把握した上で、適切な場面で「男を上げる」を使えるようになりましょう。

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【慣用句】「男を上げる」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「男を上げる」について解説する。

端的に言えば男を上げるの意味は「素晴らしい行動をして、男としての名誉を高める」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「男を上げる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。

「男を上げる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「男を上げる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「男を上げる」の意味は?

「男を上げる」には、次のような意味があります。

・りっぱな行為をして、男の面目を施す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「男を上げる」

「男としての価値を上げる」という意味を持つ「男を上げる」。とはいえ、最近ではそこまで多用される表現ではないかもしれませんね。それもそのはず、現在と過去では男女のとらえ方が違いますから。

それでは早速、慣用句を分解して意味を取りましょう。「上げる」は「価値を上げる」「評判を上げる」などで使われる「上げる」。物体が上に移動する意味ではなく、高まる意味を内包しているのです。

そして特徴的なのは「男」。この一文字だけで男性の名誉や価値を表します。それが「上がる」のですから、このような意味になるのですね。

「男を上げる」の背景にある性差への認識

次に「男を上げる」が生まれた時代の背景を考えましょう。2020年現在、ジェンダーレスやLGBTなど性に対する多様性が広く叫ばれており、「男性らしさ」「女性らしさ」を大っぴらに語ること、強制及び矯正する事は悪とすらされる風潮があります。

しかし、昔は「そんなんで泣くんじゃない!男なんだから」「女の子なんだから」などのように説教や生き方の指南などにも性差について持ち出されることがしばしばでした。

そのような背景があったために、慣用句やことわざにおいて「男」や「女」といった言葉が用いられることが多々あるのです。「男を上げる」もそのひとつ。「男」を用いて、気前の良さや格好よさなどを表現しています。

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