今回のテーマは化学式ですが、この化学式を使い分けられるようになるかどうかで今後化学が得意になるか苦手になるかが大きく分かれるからしっかりついてきてくれよ。
化学式は構成している元素の比率を表しているもの、1つの分子を作っている原子の組み合わせを示しているものなど、何を表しているかによって変わってくるんです。他にもイオンの価数を覚えていないと書けない化学式も存在するので、基本的な元素の価数と合わせて解説していきます。

それでは、化学式の種類と使い分けるコツについて、化学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

理系の大学院を卒業後、医学部の研究室で実験助手をしている。バイオ実験には化学の知識が必要不可欠なため、化学の知識についても熟知している。

化学式とは

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化学式(かがくしき)とは、化学物質を元素記号を使用して表す表記方法のことです。元素記号とは物質を構成する最小単位である元素をアルファベットの大文字や大文字と小文字の組み合わせで表したものですよ。化学式は大きく分けて組成式と構造式に分けられます。組成式と構造式ではその性質が大きく異なっているため、それぞれについて分けて解説していきましょう。

組成式について

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組成式とは、構成しているイオンの種類とその数の割合を最も簡単な整数比で表したものです。ここに塩の塊があったとします。塩はNa+とCl-が無限に結合している塊です。この塩の塊をそのまま化学式で表そうとするとNa∞Cl∞となってしまいます。この∞の部分を一番簡単な整数比で表すとNaClとなりとてもスッキリとして見やすくなりました。

グルコース(ブドウ糖)の分子式はC6H12O6ですが、組成式にするとCH2Oになるんですよ。グルコースの場合は分子式で書かれていることが多いので、組成式に直した表現はパッとは出てこないかもしれませんね。

構造式について

物質の構造がどの様になっているかを表した式を構造式といいます。基本的に構造式は二次元的に書かれるため、実際の構造をそのまま表している式ではありません。構造式は分子式・電子式のように元素と元素の関係について記した式です。

分子式とは

元素が2つ以上結合したものを分子と呼び、その分子を表した式のことを分子式と呼びます。例えば塩化ナトリウムは塩素とナトリウムが結合した分子で、分子式で表すとNaClとなるのです。他にも気体の元素は基本的に分子として存在しています。そのため酸素はO2(2は下付き)、水素もH2(2は下付き)と表されるんですよ。この場合、元素は1種類しか使われていませんが、2個の元素が結合したものなので分子式になるのです。

電子式

分子式では元素同士がどのように結びついているのかが読み取りにくいですよね。そこで考え出されたものが電子式です。電子式は元素の周りに最外殻電子を点で表すことで、どの原子といくつの電子を共有しているのかを表すことができます。

\次のページで「化学式の覚え方ー中学校編ー」を解説!/

化学式の覚え方ー中学校編ー

理科では多くの化学式が登場しますが、どうやって覚えたらいいのか困っている人は少なくないはずです。ここでは化学式を覚えるためのポイントを紹介します。

まずは中学校で習う化学式の覚え方です。化学式は暗記しなければならない部分と、少し化学の知識があれば自分の力で作れる部分があります。暗記しなければならない部分の1つが元素記号です。たとえばHは水素、Oは酸素というように記号と名前はしっかり暗記する必要があります。元素記号をある程度暗記できたら、次はその元素に何本の「手」があるかを覚えましょう。水を例に説明します。水はH(水素)とO(酸素)が結合したものです。水素には手が1つしかありませんが、酸素は2つの手を持っています。そのため酸素1つには2つの水素が必要となるため、水の化学式はH2O(2は下付き)となるのです。複数の元素が結合したものを分子と呼びますが、化学式の前に数字が来るとその分子の数を表し、元素記号の後ろに下付きで小さく数字がつくとその元素の数を表します。

覚えていたほうがいい元素記号と化合物の化学式

(元素記号の右側の数字は下付きになります)

マグネシウム Mg

窒素 N2

カルシウム Ca

酸化アルミニウム Al2O3

二酸化炭素 CO2

アンモニア NH3

塩酸 HCl

水酸化ナトリウム NaOH

化学式の覚え方ー高校編ー

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高校では化学式よりも化学反応式を扱う頻度がぐっと増えます。化学反応式とはA+B=Cというように物質と物質を混ぜ合わせたときにどのような反応が起こるのかを表した式です。この式のAやBに当たるものを反応物、反応してできるCを生成物と言います。化学反応式の作り方についてはいくつかポイントがあるため、1つずつ説明しますね。

ポイント1ー反応物と生成物を確認するー

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ここでは水素が燃焼して水ができる反応式をつくってみましょう。燃焼とは物質が燃えることで酸素と結合し酸化する反応を指します。つまり、水素が酸素と結合することで水になるということです。化学反応式を作る際はまず反応物と生成物はそれぞれどれなのかを把握します。この場合は反応物が水素と酸素で、生成物が水ですね。なので左辺に水素と酸素、右辺に水が来ます。この段階ではここまで作っておきましょう。

ポイント2ー係数をそろえるー

ポイント2ー係数をそろえるー

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ポイント1ではH+O=H2Oというところまで組み立てられましたよね。ここで注目してほしいことは係数です。左辺にはHが1つしかないですが、右辺には2つありますよね。このままだと反応の前後で元素の数が変わってしまうため、元素の数を合わせなければなりません。

なぜ元素の数を合わせなければならないかというと、質量保存の法則により反応の前後で物質の総重量は変わらないと定義されているためです。また、気体は常に分子として存在するため酸素や水素はOやHではなくO2やH2と記載します。このルールを意識して化学反応式を作ると、2H2+O2=2H2O(元素記号の右についている数字は下付き)となるのです。

\次のページで「どんな化学式でも組めるようにルールをしっかり理解しよう」を解説!/

どんな化学式でも組めるようにルールをしっかり理解しよう

化学式には組成式と構造式がありました。化学式はある分子がいくつの原子で構成されているかを表したもので、構造式は原子同士がどのように結合しているかを表した式でしたね。中学校の理科から化学式を書くようになりますが、化学式や化学反応式を書くためにはいくつかルールがありました。

化学式はシンプルなものから複雑なものまでいろいろな種類が存在しています。中学生から高校生へと学年が進めば進むほど複雑な式になりますが、化学式の組み方のルールは変わらないため、化合物の化学式をしっかりと覚えて係数を間違わなければ大丈夫です。化学が苦手な人はシンプルな化学式を暗記することから始め、徐々に化学式に慣れていきましょう。一見難しいと感じてしまいますが、化学式を組めるようになると化学の時間がとても楽しくなりますよ。

(イラスト引用元:いらすとや)

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化学物質の状態・構成・変化理科

いろいろな種類の化学式を使い分けよう!覚え方のコツを医学部の実験助手が5分でわかりやすく解説

今回のテーマは化学式ですが、この化学式を使い分けられるようになるかどうかで今後化学が得意になるか苦手になるかが大きく分かれるからしっかりついてきてくれよ。
化学式は構成している元素の比率を表しているもの、1つの分子を作っている原子の組み合わせを示しているものなど、何を表しているかによって変わってくるんです。他にもイオンの価数を覚えていないと書けない化学式も存在するので、基本的な元素の価数と合わせて解説していきます。

それでは、化学式の種類と使い分けるコツについて、化学に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。

ライター/オリビン

理系の大学院を卒業後、医学部の研究室で実験助手をしている。バイオ実験には化学の知識が必要不可欠なため、化学の知識についても熟知している。

化学式とは

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化学式(かがくしき)とは、化学物質を元素記号を使用して表す表記方法のことです。元素記号とは物質を構成する最小単位である元素をアルファベットの大文字や大文字と小文字の組み合わせで表したものですよ。化学式は大きく分けて組成式と構造式に分けられます。組成式と構造式ではその性質が大きく異なっているため、それぞれについて分けて解説していきましょう。

組成式について

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組成式とは、構成しているイオンの種類とその数の割合を最も簡単な整数比で表したものです。ここに塩の塊があったとします。塩はNa+とCl-が無限に結合している塊です。この塩の塊をそのまま化学式で表そうとするとNa∞Cl∞となってしまいます。この∞の部分を一番簡単な整数比で表すとNaClとなりとてもスッキリとして見やすくなりました。

グルコース(ブドウ糖)の分子式はC6H12O6ですが、組成式にするとCH2Oになるんですよ。グルコースの場合は分子式で書かれていることが多いので、組成式に直した表現はパッとは出てこないかもしれませんね。

構造式について

物質の構造がどの様になっているかを表した式を構造式といいます。基本的に構造式は二次元的に書かれるため、実際の構造をそのまま表している式ではありません。構造式は分子式・電子式のように元素と元素の関係について記した式です。

分子式とは

元素が2つ以上結合したものを分子と呼び、その分子を表した式のことを分子式と呼びます。例えば塩化ナトリウムは塩素とナトリウムが結合した分子で、分子式で表すとNaClとなるのです。他にも気体の元素は基本的に分子として存在しています。そのため酸素はO2(2は下付き)、水素もH2(2は下付き)と表されるんですよ。この場合、元素は1種類しか使われていませんが、2個の元素が結合したものなので分子式になるのです。

電子式

分子式では元素同士がどのように結びついているのかが読み取りにくいですよね。そこで考え出されたものが電子式です。電子式は元素の周りに最外殻電子を点で表すことで、どの原子といくつの電子を共有しているのかを表すことができます。

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