
端的に言えば食ってかかるの意味は「激しい態度で向かっていくこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「食ってかかる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/イオリ
日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。
「食ってかかる」の意味は?
「食ってかかる」には、次のような意味があります。
食いつくように、激しい言葉と態度で向かっていく。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「食って掛かる」
「食ってかかる」と聞くと思い浮かぶのは穏やかな場面などではなく、言い争うように激しく言葉を向けるシーンではないでしょうか。
そのイメージ通り、この言葉の意味は「激しい言葉と態度で向かっていくこと」です。テレビやドラマを始め、日常生活の中でも意見をぶつけ合う場面などで「食ってかかる」様子が見られることもありますね。「食う」という言葉も「食べる」より粗雑なイメージがあるため、言葉自体からもなんだか乱暴そうな印象が感じられます。とはいえ、「食って」と言いつつ食べる行為に関連した言葉ではまったくありません。その点にも注意しながら、「食ってかかる」について一緒に詳しく見ていきましょう。
「食ってかかる」の語源は?
ではまず「食ってかかる」の語源を確認しておきましょう。
何故食べることに関係ない意味を持つのに「食って」という単語が使われるのか……と思ってしまいますが、これには比喩が使われているからなのです。たとえば魚が釣り竿の餌に食いつく様子や、肉食獣が獲物に食いかかる様子を想像してみてください。彼らは自分の狙った食べ物に対し、勢いよくがっと食らいつきますよね。この様子が「食ってかかる」という様子そのものを表しています。つまり「食ってかかる」は、「食いつくように」攻めかかるという状態が語源となった慣用句というわけです。
勢いが良いことを「食う」という言葉で表すという点からも、力強くパワフルな印象が感じ取れますね。
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