「血糖値」という言葉は血圧や中性脂肪などと同じように健康診断がきっかけで意識させられるものです。最近では、血糖値をケアするサプリメントも巷に出てきているな。血糖量と血糖値について、具体的に低糖質な食品も紹介しながら医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

血糖濃度の調節

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血液中のグルコース(ブドウ糖)を血糖と言いますよ。ヒトでは100ml中に約100mg(0.1%)含まれています。血糖はからだにとって活動する際の燃料であり、必要な物質です。血糖はからだにとって燃料なので、血糖濃度が下がることは極めて危険な状態になります。 ヒトの場合、血糖が60mg以下になると、けいれんや意識障害がなどが起き、それ以上の低下は命にかかわります。また、血液中のグルコースは、必要に応じて肝臓から(グリコーゲンを分解することにより)放出され、一定のレベルに保たれています。

交感神経での調節

交感神経での調節

image by Study-Z編集部

運動をしたり、食事をしなかったりして血糖濃度が低下し、低血糖の血液が視床下部の血糖調節中枢に入ると、この中枢から交感神経および脳下垂体を通して指令が出ます。交感神経を介して血糖濃度を上昇させる経路は、低血糖→視床下部で感知→交感神経→副腎髄質→アドレナリン分泌→血糖濃度上昇ですよ。アドレナリンは、肝臓や筋肉に作用し、貯蔵されているグリコーゲンをグルコースに変える反応を促進します。そのため、血糖濃度は上昇して正常に戻りますよ。

また、交感神経は、すい臓のランゲルハンス島のα細胞からグルカゴンを分泌し、肝臓や筋肉のグリコーゲンをグルコースに変える反応を促進して血糖濃度を上昇させますよ。上記で説明したように、もしこれらがうまく機能しなくなったら低血糖になり、意識障害や動悸などを引き起こす低血糖症になってしまいますね。

脳下垂体での調節

血糖濃度を上げるにはもう一つ経路がありますよ。脳下垂体を介する経路です。脳下垂体は、成長ホルモンを分泌し、甲状腺刺激ホルモンを分泌して甲状腺からのチロキシン(甲状腺ホルモンの一つで、物質代謝を盛んにします)分泌を促進し、副腎皮質刺激ホルモンを分泌して副腎皮質からの糖質コルチコイド分泌を促進しますよ。成長ホルモンもチロキシンもグリコーゲンを分解してグルコースにする反応を促進し、血糖濃度を上げるのですね。

また、糖質コルチコイド(糖代謝に関係するホルモン)は、タンパク質をグルコースに変える反応を促進し、血糖濃度を上げますよ。

血糖を下げるときは

食事などをし消化管から多量の糖を吸収したときは、次の経路で調節されますよ。高血糖になる→視床下部で感知→副交感神経の迷走神経→すい臓ランゲルハンス島のB細胞→インスリン分泌→血糖濃度低下ですよ。インスリンは血糖濃度を下げるホルモンですよ。インスリンは、ほとんどの細胞でグルコースの取り込みを高め、その消費を促進し、筋肉や肝臓でグルコースからグリコーゲンへの合成を促進します。このようにして血糖濃度を下げるのですね。

\次のページで「高血糖が及ぼすもの」を解説!/

高血糖が及ぼすもの

低血糖では神経症状がでますが、高血糖の状態が続くと、それが原因となってからだに様々な不調をもたらします。以下、高血糖状態が続くことによって起こる不調や病気についてみてみましょう。

肥満

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糖質を摂りすぎると、肝臓は過剰に増えたブドウ糖を取り込み切れません。そして、ブドウ糖は中性脂肪に変わってしまい、脂肪組織として体内に蓄積されてしまいます。これが肥満につながりますよ。肥満の状態が続くと、血管に炎症が起こり続けることになります。

糖尿病

血中のグルコースは、一度腎臓でろ過されたあと、100%再吸収されます。しかし、何らかの原因でインスリンが欠乏したりして血糖濃度が上昇すると、余分の糖が腎臓から尿中に排出されるようになるのです。このことが続くのが糖尿病なのですよ。糖尿病には1型、2型の二種類があります。1型は自己免疫によって、自分自身でインスリンを分泌するすい臓のランゲルハンス島β細胞を破壊してしまい、インスリンの分泌ができなくなってしまう病気なのですよ。1型の原因に肥満は関係ありません。発症年齢が若いというのも特徴の一つですよ。ただちにインスリン両方による治療が必要です。

2型は最もよく見られる糖尿病ですよ。遺伝、加齢、喫煙、運動不足、肥満などの生活習慣が原因となってインスリンの分泌量が徐々に低下します。血糖濃度が長期間高いままになると、血管が変形することで血流量が低下し、その結果、眼、脳、心臓、足、腎臓、皮膚などの様々な器官において障害が現れますよ。食後の血糖値の急上昇も血管に負担がかかていますよ。

食後の血糖値の上昇をゆるやかにする食べ物

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パスタ、おすし、パンケーキなど、おいしいものは糖であふれています。糖質が多く含まれているものばかり食べていると、食後の血糖値が急上昇し、知らないうちに血管にダメージが及んでいるかもしれません。放っておくと、糖尿病などの生活習慣病にかかってしまうかもしれません。糖質を多く含んだ食品や料理が好きな人にとってこれらを断絶することは多大なストレスを受けることになるので難しいですよね。これら食品を完全に食べないようにするのではなく、低糖質なものを選んでみましょう。

\次のページで「低糖質な食品の例」を解説!/

低糖質な食品の例

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これからいくつか低糖質な食品を紹介しますね。大豆、大豆製品、緑色の葉物野菜類、きのこ類は言うまでもないですが、スパゲッティなど小麦を原料にしている食品の代替品でグルテンフリーのものも見られますよ。グルテンフリーとは、小麦などの穀物のタンパク質を除去したものですよ。こちらは、小麦粉アレルギーの方も召し上がれますね。パンが好きな人は、低糖質の「ふすまパン」にしてみてはいかがでしょうか。普通のパンより糖質が90%もオフなのです。「ふすま」とは、小麦の外皮のことですよ。お肉が食べたいときは牛肉の赤身、鶏肉を食べるといいでしょう。豚肉もビタミンB1が含まれていて疲労回復に良いですよ。

適度な糖質摂取を

糖制限は必要な場合もありますが、糖質は人にとって大切な栄養素の一つということを忘れてはいけません。体に吸収されて血糖として即効性の高いエネルギーのもとになるのですよ。適度な量の糖質を摂取すると、グリコーゲンと言う物質に変わって主に筋肉に貯蔵されますよ。グリコーゲンの量が多いほど体力アップにもつながりますよ。

血糖値も一緒に生活習慣を考えてみましょう

活動するときに必要なエネルギー源の血糖。低すぎても高すぎてもいけません。飽食の現代では、高血糖の方が何かと話題になっていますね。血糖値を下げるためにはインスリンというホルモンの分泌が必要であり、すい臓を中心とし様々な臓器が関わっているのですよ。血糖値を市販で血糖値を下げるサプリメントがたくさんありますが、あくまでサプリメントは健康補助食品なので、医薬品ではありません。なので、サプリメントを摂ることは決して治療ではありません。また、サプリメントにばかり頼らず、食事や運動、バランスの良い食事を心がけることが大切ですよ。

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タンパク質と生物体の機能理科生物

3分で簡単「血糖量」と「血糖値」医学系研究アシスタントがわかりやすく解説

「血糖値」という言葉は血圧や中性脂肪などと同じように健康診断がきっかけで意識させられるものです。最近では、血糖値をケアするサプリメントも巷に出てきているな。血糖量と血糖値について、具体的に低糖質な食品も紹介しながら医学系研究アシスタントのライターmimosa(ミモザ)と一緒に解説していきます。

ライター/mimosa

もともと文系出身で、独学で生物学、生化学を勉強し、現在医学系研究所の研究アシスタントとして理系の世界へ飛び込んだ。理科が苦手な方へも興味を持ってもらうべくわかりやすい説明を心掛けている。

血糖濃度の調節

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血液中のグルコース(ブドウ糖)を血糖と言いますよ。ヒトでは100ml中に約100mg(0.1%)含まれています。血糖はからだにとって活動する際の燃料であり、必要な物質です。血糖はからだにとって燃料なので、血糖濃度が下がることは極めて危険な状態になります。 ヒトの場合、血糖が60mg以下になると、けいれんや意識障害がなどが起き、それ以上の低下は命にかかわります。また、血液中のグルコースは、必要に応じて肝臓から(グリコーゲンを分解することにより)放出され、一定のレベルに保たれています。

交感神経での調節

交感神経での調節

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運動をしたり、食事をしなかったりして血糖濃度が低下し、低血糖の血液が視床下部の血糖調節中枢に入ると、この中枢から交感神経および脳下垂体を通して指令が出ます。交感神経を介して血糖濃度を上昇させる経路は、低血糖→視床下部で感知→交感神経→副腎髄質→アドレナリン分泌→血糖濃度上昇ですよ。アドレナリンは、肝臓や筋肉に作用し、貯蔵されているグリコーゲンをグルコースに変える反応を促進します。そのため、血糖濃度は上昇して正常に戻りますよ。

また、交感神経は、すい臓のランゲルハンス島のα細胞からグルカゴンを分泌し、肝臓や筋肉のグリコーゲンをグルコースに変える反応を促進して血糖濃度を上昇させますよ。上記で説明したように、もしこれらがうまく機能しなくなったら低血糖になり、意識障害や動悸などを引き起こす低血糖症になってしまいますね。

脳下垂体での調節

血糖濃度を上げるにはもう一つ経路がありますよ。脳下垂体を介する経路です。脳下垂体は、成長ホルモンを分泌し、甲状腺刺激ホルモンを分泌して甲状腺からのチロキシン(甲状腺ホルモンの一つで、物質代謝を盛んにします)分泌を促進し、副腎皮質刺激ホルモンを分泌して副腎皮質からの糖質コルチコイド分泌を促進しますよ。成長ホルモンもチロキシンもグリコーゲンを分解してグルコースにする反応を促進し、血糖濃度を上げるのですね。

また、糖質コルチコイド(糖代謝に関係するホルモン)は、タンパク質をグルコースに変える反応を促進し、血糖濃度を上げますよ。

血糖を下げるときは

食事などをし消化管から多量の糖を吸収したときは、次の経路で調節されますよ。高血糖になる→視床下部で感知→副交感神経の迷走神経→すい臓ランゲルハンス島のB細胞→インスリン分泌→血糖濃度低下ですよ。インスリンは血糖濃度を下げるホルモンですよ。インスリンは、ほとんどの細胞でグルコースの取り込みを高め、その消費を促進し、筋肉や肝臓でグルコースからグリコーゲンへの合成を促進します。このようにして血糖濃度を下げるのですね。

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