
ジフテリアワクチンの開発
「ジフテリア」は、DPT(diphtheria, pertussis and tetanus)三種混合ワクチンに含まれていますね。 日本のような先進国ではワクチンの普及により感染者がほとんどいなくなりました。ジフテリアとはどのような病気かというと、「ジフテリア菌」を病原体とするジフテリア毒素によって起こる上気道の粘膜感染症ですよ。高熱、激しい咳、首周りの腫れなどの症状があります。まれに神経が麻痺したり失明したり、回復期に窒息による突然死が起こったりするので、罹ると恐ろしい病気です。厚生労働省ホームページの「ジフテリア」を参照すると、「予防接種さえ受けておけば、95%罹るリスクは減る」とのことですのでご安心くださいね。
1883年にジフテリア菌は発見されました。それから、エミール・フォン・ベーリングと北里柴三郎先生が血清療法を開発して、その功績でベーリングは第1回ノーベル生理学・医学賞を受賞したのですよ。
モノクローナル抗体 抗体医薬品

image by Study-Z編集部
抗体医薬品とは、抗体を利用した医薬品のことですよ。抗体医薬品は、がん細胞などの細胞表面の目印となる抗原をピンポイントでねらい撃ちするので、高い治療効果と副作用の軽減が期待できるお薬なのですよ。このような抗体医薬品の開発で、「モノクローナル抗体」が注目されているのですよ。モノクローナル抗体とは、先ほど説明したように、がん細胞などの特定の部位(目印)にだけに結合してやっつけることができる抗体なのです。この抗体を大量に作り出す手段に用いられるのがモノクローナル抗体ですよ。
モノクローナル抗体の作り方ですが、マウスなどに抗原を注射してしばらく飼育した後、ひ臓からB細胞(免疫に関する細胞)を取り出して、そのB細胞に無限に増殖をする腫瘍細胞を融合してハイブリドーマ(雑種細胞)を作り、希望の抗体をつくる細胞だけを選択します。そして、選択したハイブリドーマを大量に培養してモノクローナル抗体を精製していくのですよ。
先人の研究成果から学ぶ
20世紀後半には、目覚ましい医療技術の進歩により飛躍的に救える命が増え、全世界において人口は増え寿命も延びました。ほんの100年とちょっと前までは感染症は人類にとって脅威でした。抗生物質も血清療法もない中、感染症にかかると隔離されてただ死を待つだけでした。それから、人体にもともと備わっている「免疫」というものが存在するということに着目し、さらには感染症の原因菌そのものの増殖以外にも原因菌が産出する毒素があるのではないかと気づくことによって、様々な研究者たちが試行錯誤で予防法や治療法を確立させていったのでした。血清療法の確立は人類にとって多大な恩恵をもたらしました。
治療法が確立された感染症でも、細菌やウイルスなどの微生物は突然変異し、ヒトにとって無害であっても突然病原性や毒性を持ったりします。また人類が感染症の脅威にされされている中、このような先人の研究成果を学んで、トライ・アンド・エラーで一歩ずつ新たな治療法の模索、確立に向けて歩んでいかなくてはなりません。きっと、先人のように感染症の封じ込め、撲滅に人類は成功すると願っています。