
北里柴三郎先生の研究
破傷風の治療法を見つけたのは、北里柴三郎という日本人の医者、細菌学者です。「日本の細菌学の父」とも呼ばれていますよ。ペスト菌(黒死病)を発見したのも北里先生です。北里先生にはこの他にたくさんのストーリーがありますので、ご興味がある方は調べてみてくださいね。
まず、北里先生が注目したのは破傷風の患者の症状でした。菌が全身にまわらないのに、患者はまるで全身毒素に侵されたように全身性のけいれんを起こして苦しむ。もしかしたら、菌がなにかしらの毒素を作り出しているのでは?と考えました。そこで破傷風菌を純粋培養し、溶液をろ過し菌体が含まれていない溶液の中に毒素が含まれているはずであると北里先生は考えました。
抗毒素による世界初治療法の確立
毒素が含まれていると仮定した溶液を用いて動物実験を繰り返しました。動物に投与するのは初めはごく微量の毒素からはじめて、段階的に濃度を上げていきました。すると、動物は少しずつ免疫を獲得して、致死量の毒にも耐えられるようになったのです。それからその動物から採取した血清を別の動物に注射すると、その動物も毒素に耐えられるようになったのですよ。
さらに、この抗毒素は、破傷風の治療と予防の両方に効果があることも発見されましたよ。
破傷風菌が産出する毒素という「抗原」に対してそれを攻撃し排除する「抗体」を獲得するということですね。
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