この記事では「道草を食う」について解説する。

端的に言えば道草を食うの意味は「目的地へ行く途中で他のことに時間を費やす。途中で手間取る。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアン。ソレルを呼んです。一緒に「道草を食う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間50冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章での解説を心がける。

今回は、慣用句「道草を食う」をベースに、類語の「油を売る」や対義語の「一心不乱」などを意味や語源から例文、また英訳までみっちり解説。

「道草を食う」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 49122544

それでは早速「道草を食う」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「道草を食う」の意味は?

「道草を食う」には、次のような意味があります。

1.目的地へ行く途中で他のことに時間を費やす。途中で手間取る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「道草を食う」

「道草を食う」とは「途中で他のことに手間取り、時間を費やすこと」。また単に「道草」、「道くさ」といわれることも。

引用の辞書の意味や以下の語源からも分かるように、もともとは「どこかへ向かう」という本来の目的の途中で他の用事に手間取り、時間を費やしてしまうことでしたが、現代では「どこかへ向かう」に限らず、広くさまざまな目的の途中に他のことにかかずらう場合に使われることもあります。

「道草を食う」の語源は?

次に「道草を食う」の語源を確認しておきましょう。

語源は「馬が道端の草を食べてばかりで、先に進もうとしないこと」です。つまり「道草」とは単に「道端の草」であり、目的地へ向かう主人を乗せた「馬が」を道草を食うために時間がかかってしまうということ。

現在ではあまりない状況ですが、この言葉は鎌倉時代の幕府の事績を記した史書「吾妻鏡(あずまかがみ)」においてその使用がすでに見られるようです。

\次のページで「「道草を食う」の使い方・例文」を解説!/

「道草を食う」の使い方・例文

「道草を食う」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は、すぐ近所へ買い物へ行ったきり、帰り道で「道草を食」っていて帰ってこない。
2.大学卒業前の最後の一年間、病気を患い「道草を食う」ことになってしまった。
3.今日もまた電車が遅れたと嘘をついて、「道草を食」っていたことを誤魔化した。
4.あの人が「道草を食」わずに、まっすぐ家へ帰ってくることは稀だ。

例文に見られるように、一般的には、他のことに時間を費やしたせいで、本来の目的や予期されていたことが、想定の時間内に達成されていない、もしくはされなかったことを非難する場合に使われるため、「道草を食う」には悪いことであるというマイナスのニュアンスが含まれています。

「道草を食う」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 54074136

それでは「道草を食う」の類義語について確認していきましょう。

「油を売る」

「油を売る」とは「仕事の最中に人目を盗んで怠けること。無駄話をして時間を過ごすこと」を意味します。

「油を売る」の由来には、「江戸時代に髪油の行商人が女性客を相手にいつまでも世間話をしながら商いをしていたことから」であるという説や、「粘性の高い油は、桶から客の容器に移すのに時間がかかったことから」という説があるようです。また、「油を売る」の油は、髪の艶出しや保護のための髪油ではなく、行灯(あんどん)の油であるとする説もあります。

目的の途中で他のことにかかずらい、時間を費やすという意味では「道草を食う」と同じですが、「道草を食う」の場合はその語源を見ると「目的地へ向かう途中」であるのに対して、「油を売る」の場合は、「仕事の途中」。そして「油を売る」は以下の例文にも見られるように、「無駄話をして時間を費やす」場合に使われることの多い慣用句です。

それでは例文を見ていきましょう。

\次のページで「「道草を食う」の対義語は?」を解説!/

1.また「油を売」っていないで少しは真面目に仕事に集中して結果を出すべきだ。
2.外回りの営業にかこつけて、カフェやパチンコ店で「油を売」っているに違いない。
3.あそこの店員はいつも、食器を下げたり、掃除をするかわりに、常連さん相手に「油を売」っている。
4.彼は会議室にいる社長は重要な契約取引をしていると思っていたが、実際には秘書を相手に「油を売」っていただけだった。

「道草を食う」の対義語は?

次に「道草を食う」の対義語について考察していきましょう。

「一心不乱」

「一心不乱(いっしんふらん)」の意味は「一つの事に集中して、他の事のために心の乱れることがないこと」。

目的の途中で他のことに時間を費やしてしまう「道草を食う」の反対にある慣用句といえます。また「道草を食う」の語源から考えてみると「一心不乱」に疾走する馬は道端の草には見向きもしない、ということができそうです。

「道草を食う」の英訳は?

image by PIXTA / 49352795

次は「道草を食う」の英訳をご紹介していきます。

「loiter」

英単語の「loiter」は「道草を食う、ぶらぶら歩く」や「時間をかけて旅行する、ぶらぶら暮らす」という意味の動詞です。

「道草を食う」を英単語一つで言いあらわすことができます。

「dilly dally」

ぐずぐずする、のらくらする、時間を浪費する」を意味する「dilly dally」。この英語表現は、単語やその一部を反復して作られた合成語である「畳語(じょうご)」と呼ばれるものの一種で、日本語の場合「泣く泣く」や「知らず知らず」にあたるものです。

また「優柔不断、ためらい」を意味する「shilly shally」と重ねて意味を強めた、「dilly dally shilly shally」という表現もあります。

他にも「dawdle」という英単語は「ぐずぐずする、時間を浪費する」という意味の動詞です。

\次のページで「「shoot the breeze」」を解説!/

「shoot the breeze」

「shoot the breeze」は「おしゃべりする、無駄話をする、油を売る」という意味。

直訳すると、「そよ風を撃つ」ですが、そのような無駄なことをする、から転じて「無駄話をする」になったという説や、「口からそよ風を吹く」という意訳から転じたという説があります。

「道草を食う」を使いこなそう

この記事では「道草を食う」の意味・使い方・類語などを説明しました。

言葉の意味だけではなく語源や関連する言葉まで紐づけてみていくとより理解が深まり語彙力が上がり、記憶にも残りやすくなるでしょう。

時には休息も必要ですが「道草を食」ったり「油を売」ってばかりいないように気をつけながら、日々勉学に励みましょう!

" /> 【慣用句】「道草を食う」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「道草を食う」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「道草を食う」について解説する。

端的に言えば道草を食うの意味は「目的地へ行く途中で他のことに時間を費やす。途中で手間取る。」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

本の虫ライターのジュリアン。ソレルを呼んです。一緒に「道草を食う」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ジュリアン・ソレル

本の虫ライター。多い時だと月間50冊読破する。漢字や熟語、ことわざ、故事が好き。正確でロジカルな文章での解説を心がける。

今回は、慣用句「道草を食う」をベースに、類語の「油を売る」や対義語の「一心不乱」などを意味や語源から例文、また英訳までみっちり解説。

「道草を食う」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 49122544

それでは早速「道草を食う」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「道草を食う」の意味は?

「道草を食う」には、次のような意味があります。

1.目的地へ行く途中で他のことに時間を費やす。途中で手間取る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「道草を食う」

「道草を食う」とは「途中で他のことに手間取り、時間を費やすこと」。また単に「道草」、「道くさ」といわれることも。

引用の辞書の意味や以下の語源からも分かるように、もともとは「どこかへ向かう」という本来の目的の途中で他の用事に手間取り、時間を費やしてしまうことでしたが、現代では「どこかへ向かう」に限らず、広くさまざまな目的の途中に他のことにかかずらう場合に使われることもあります。

「道草を食う」の語源は?

次に「道草を食う」の語源を確認しておきましょう。

語源は「馬が道端の草を食べてばかりで、先に進もうとしないこと」です。つまり「道草」とは単に「道端の草」であり、目的地へ向かう主人を乗せた「馬が」を道草を食うために時間がかかってしまうということ。

現在ではあまりない状況ですが、この言葉は鎌倉時代の幕府の事績を記した史書「吾妻鏡(あずまかがみ)」においてその使用がすでに見られるようです。

\次のページで「「道草を食う」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: