この記事では「顔を売る」について解説する。

端的に言えば顔を売るの意味は「世間に広く知られようとすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「顔を売る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「顔を売る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「顔を売る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「かおをうる」です。

「顔を売る」の意味は?

「顔を売る」には、次のような意味があります。まずは、辞書で正確な意味を確認してから、詳しい意味までチェックしていきましょう。

1.世間に広く知られようとする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「顔を売る」

世間に広く知られようとするということは、具体的には、人目に触れるところに顔を出したり、重要な人物に挨拶をしに行ったりすることなどです。

また、「顔が売れる」ではなく「顔を売る」ということなので、自ら能動的に行動する場合の表現になります。その目的は、仕事がやりやすくなったり、個人的な欲望ということもありますが、自分にとって何かしら都合がよくなるためです。

「顔を売る」の語源は?

次に「顔を売る」の語源を確認しておきましょう。

「顔を売る」の「顔」は人の顔、「売る」は物やサービス販売するというのが代表的な意味です。しかし、「顔」には社会や地域への知名度という意味があり、「売る」には世間に知られるようにするという意味があります。そこから、知名度を上げるために世間に知られるようにするという意味につながっていますよ。

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「顔を売る」の使い方・例文

「顔を売る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新人のうちから、努力を重ねるだけでなく会社内部で顔を売っておくことも必要だ。
2.彼は課題となっていたソフトウェア関連の研究や開発を担当するので、ミーティングに参加して顔を売っておくといい。
3.ビジネスの世界では、顔を売って多くの人脈をつくっておくことが高い役職につくための一つの要素である。

いずれの例文でも、のちのち自分がやりやすくなったり有利になるように、広く知られようとすることが書かれています。

例文の1.は、新人のうちから顔を売っておくと、自分の成長にプラスとなることもあるだろうということです。例文2.のほうは、一定期間のプロジェクトにおいて、最初に顔を広めておくことで仕事がスムースになるであろうということを表しています。例文の3.では、将来の高い地位に昇進するためには、実績をつくるほか人脈をつくるも必要であるということを意味している文です。

「顔を売る」の類義語は?違いは?

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それでは、「顔を売る」の類義語についての説明です。「顔を売る」に意味が近い慣用句について、一緒に詳しく見ていきましょう。

「名を売る」

「顔を売る」の類義語には、「名を売る(なをうる)」があります。意味は、名を広く世間に知れ渡るようにすることです。「名を売る」の「名」には評判や名声という意味があり、「売る」とあわせて評判を広めていくという意味合いにつながります。

「顔を売る」には一定の社会や地域における知名度のことを意味しているのに対し、「名を売る」のほうは実際に顔を合わすかどうかは関係なく不特定多数に名が知れ渡るようにするというニュアンスがありますよ。

\次のページで「「売り出す」」を解説!/

「売り出す」

もう一つの類義語には、「売り出す(うりだす)」があります。世間に広く知られるようにするために、さまざまな方法でアピールするという意味です。もともと「売る」には、自分のことを広く知られるようにするという意味合いがあるので、「売り出す」とすると積極的に売るというイメージの言葉になります。

例えば「新人アイドルを売り出す」とすると、その新人アイドルをメディアに露出させたり、報道各社にアピールするということです。また、「売り出し中の…」とすると、まさに今、知名度がぐんぐん上がっている人のことを表します。

「顔を売る」の対義語は?

次に、「顔を売る」の対義語についての説明です。あまり人目に触れないようにするという反対の意味の慣用句について、一緒に見ていきましょう。

「世を憚る」

「顔を売る」の対義語には、「世を憚る(よをはばかる)」があります。意味は、世間に気兼ねしたり、世間とのかかわりをつつしんだりすることです。「憚る」には「幅をきかせる」や「いばる」といった意味もありますが、ここでは「遠慮する」という意味で使用しています。

ひっそりと目立たないようにして生活するというニュアンスです。目立つのが嫌いな人もいますし、目立つことのマイナス面を考えている人もいるでしょうね。

「身を潜める」

もう一つの対義語には、「身を潜める(みをひそめる)」があります。物理的に物陰に身を隠すという意味と、それから転じたのが世間から身を隠すという意味合いです。

遠慮するという意味合いの「世を憚る」に比べて、「身を潜める」は隠れるということなので、より消極的な態度であることがわかります。そのため、目立ったり見つかったりすると、たちまちマイナスの出来事につながってしまうようなニュアンスがありますよ。

「顔を売る」の英訳は?

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最後に、「顔を売る」の英訳についての説明です。キーワードとなるような単語を使って、近い意味を表す英語表現を見ていきましょう。

「try to gain publicity」

「顔を売る」の英訳には、「try to gain publicity」があります。直訳すると「世間の注目を得ようとする」です。「publicity」は「知れ渡ること」「世間の注目」といった意味があるので、そういった状態を手に入れようとするということを表しています。

その他、「make oneself known to the public」とすると「人を公衆に知られるようにする」という意味で使うことができますよ。「make + 目的語 + 補語(過去分詞)」という「SVOC」の第5文型にあたる文です。

\次のページで「「顔を売る」を使いこなそう」を解説!/

「顔を売る」を使いこなそう

今回の記事では「顔を売る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「顔を売る」の基本の意味は、世間に広く知られるようにすることです。顔を売る相手は、どちらかというと身近な人や実際に会う人などのイメージになります。一方、不特定多数に知られるようになろうとするのは、類義語の「名を売る」のほうがニュアンスが近くなりますよ。状況によって使い分けるといいですね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「顔を売る」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「顔を売る」について解説する。

端的に言えば顔を売るの意味は「世間に広く知られようとすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「顔を売る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「顔を売る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「顔を売る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「かおをうる」です。

「顔を売る」の意味は?

「顔を売る」には、次のような意味があります。まずは、辞書で正確な意味を確認してから、詳しい意味までチェックしていきましょう。

1.世間に広く知られようとする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「顔を売る」

世間に広く知られようとするということは、具体的には、人目に触れるところに顔を出したり、重要な人物に挨拶をしに行ったりすることなどです。

また、「顔が売れる」ではなく「顔を売る」ということなので、自ら能動的に行動する場合の表現になります。その目的は、仕事がやりやすくなったり、個人的な欲望ということもありますが、自分にとって何かしら都合がよくなるためです。

「顔を売る」の語源は?

次に「顔を売る」の語源を確認しておきましょう。

「顔を売る」の「顔」は人の顔、「売る」は物やサービス販売するというのが代表的な意味です。しかし、「顔」には社会や地域への知名度という意味があり、「売る」には世間に知られるようにするという意味があります。そこから、知名度を上げるために世間に知られるようにするという意味につながっていますよ。

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