タンパク質と生物体の機能理科生物

ADP(アデノシン二リン酸)ってどんな物質?現役講師が解説!

よく似た物質・ATP

さて、ADPについて知るならば、ATPのことにも触れないわけにはいきません。ATPはAdenosine triphosphateの頭文字をとった略称で、これは日本語ではアデノシン三リン酸とよびます。ADPとほとんど同じ構造をしている有機化合物です。

こちらも名前に注目してみましょう。ATPは”二リン酸”ではなく”三リン酸”。つまり、ADPにリン酸を一つ余計につけたものがATPなのです。

image by Study-Z編集部

リン酸の数以外に、構造に違いはありません。

生物の体内にはATPがたくさんありますが、ATPがATP分解酵素(ATPアーゼ)のはたらきによって加水分解されることで、ADPと1つのリン酸になります。逆に、ADPとリン酸にATP合成酵素(ATPシンターゼ)がはたらくと、ATPが得られるのです。

この、「ADPからATP」「ATPからADP」という反応が、生体内でのエネルギー代謝に大きくかかわっています。

ADPとエネルギー

高エネルギーリン酸結合

ATPが酵素のはたらきでADPになるとき、放出されるのはリン酸だけではありません。実は、大きなエネルギーもこのとき得られるのです。反対に、ADPとリン酸とつなげてATPにするときは、その分の大きなエネルギーが必要となります。ATPやADPにあるリン酸間の結合を形成するのに使われるのです。

この、大きなエネルギーが出入りするリン酸間の結合を高エネルギーリン酸結合といいます。私たちは「ATPがADPになるとき=高エネルギーリン酸結合が一つ切れるとき」に放出されるエネルギーを使って、物質の合成や筋肉の収縮などの生命活動を行っているのです。

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イメージしにくいな。動物は食事によって炭水化物などを摂取し、そこから得たエネルギーで運動したり、生命を維持しているのではないのか?

いいえ、この世の生物はすべてADPとATPを利用したエネルギー代謝を行っているんです。

私たちがごはんを食べたり、からだに貯まった脂肪を分解することで得たエネルギーは、一旦ADPとリン酸からATPをつくるのに使われています。高エネルギーリン酸結合を一つ作るんですね。そのあと、ATPをADPに分解して、生命活動に使うエネルギーを得ているのです。

なお、植物の場合は光合成によってADPからATPをつくり、そのATPを分解するときのエネルギーを使って有機物を作り出しています。

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yu_onozuka