
ADP(アデノシン二リン酸)ってどんな物質?現役講師がわかりやすく解説!
ADPの構造や役割について学ぶことは、エネルギーや代謝の仕組みを理解するための大きなヒントになる。一度学校で習ったやつも、ぜひここで復習しておいてほしい。
大学で生物学を学び、現在は講師としても活動しているオノヅカユウに解説してもらおう。

ライター/小野塚ユウ
生物学を中心に幅広く講義をする理系現役講師。大学時代の長い研究生活で得た知識をもとに日々奮闘中。「楽しくわかりやすい科学の授業」が目標。
ADPとは?
ADP(エーディーピー)は、英語のAdenosine diphosphateから頭文字をとった略称。日本語ではアデノシン二リン酸という名の有機化合物です。生体内では代謝にかかわる重要物質であり、よく似たATPという有機化合物とセットで語られます。
こちらの記事もおすすめ

5分で学ぼう!「核酸」って結局何なの?現役講師がわかりやすく解説!
化合物の名称からは、それがどんな構造の物質であるかが読み取れます。アデノシン二リン酸は名前の通り、アデノシンという物質に2つのリン酸がついた化合物です。
アデノシンとは、リボースという糖に、塩基の一種であるアデニンがついた物質をいいます。ADPはこのアデノシンの、糖の一端にリン酸が結合しているのです。
糖(リボースもしくはデオキシリボース)と塩基、そしてリン酸という3つのパーツからなる化合物はヌクレオチドとよばれます。今回ご紹介しているADPだけでなく、遺伝情報を担う物質として知られるDNAや、タンパク質合成の際にDNAの情報(塩基配列)が写し取られるRNAも、ヌクレオチドがその構成単位となっているのです。ヌクレオチドはいろいろな形で利用されているのですね。
\次のページで「よく似た物質・ATP」を解説!/