今回は冬眠について、生物に詳しいライターオリビンと一緒に解説していきます。
ライター/オリビン
理系の大学院を卒業後、医学部の研究室で実験助手をしている。普段はDNAの解析を行っているため、生化学・分子生物学についての知識は豊富。
冬眠とは
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冬になると様々な生き物の活動が鈍くなり、地上で生き物を見かけにくくなります。地上に生き物がいないとそれを餌としている生き物たちが餌にありつけず死んでしまう場合もありますよね。冬に死んでしまわないように備わっている機能が冬眠です。冬眠とは極力体を動かさないことでエネルギーの消費をおさえ、厳しい冬を乗り越えることなんですよ。
冬眠する動物
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一概に冬眠と言っても生き物によってどのように冬眠するかは違います。まず恒温動物と変温動物でも冬眠の様式は全く違うんですよ。
恒温動物とは外気温が変わっても自分で体温の調整をして体温を一定の温度に保つことのできる動物です。鳥類・哺乳類が恒温動物に分類されます。恒温動物でも種類によって冬眠の仕方に違いがありますよ。
変温動物は外気温が変わると自分の体温も外気温に合わせて変化してしまう動物です。魚類・両生類・爬虫類が変温動物に分類されます。変温動物の場合は外気温が一定まで下がると仮死状態となり動くことができなくなるのです。変温動物の場合は冬眠より冬越しや越冬と言われることが多いですね。続いて冬眠する動物の例として、シマリスとクマについて解説します。
シマリスの冬眠
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野生のシマリスは冬になると冬眠します。ペットとして飼育されているシマリスは加温飼育されるので冬眠することはありません。シマリスは恒温動物なので多少気温が変化しても体温を一定に保つことができます。しかし、シマリスは体が小さい割に表面積が大きいため体から放出される熱量も多くなってしまい、体温が低下しやすくなっているのです。そのため、シマリスは体温を一定以上に保つために呼吸回数や心拍数が多く、代謝速度も早いんですよ。
冬はエサが少なく、気温も低いために体温を保つことが難しくなります。シマリスの肝臓では冬眠特異的タンパク質という特殊なタンパク質が作られることで血中に放出され、脳が冬眠するように働きかけるのです。このタンパク質が減少すると冬眠から目が覚めます。シマリスは体に脂肪を蓄えられないため、冬眠中はたまに目を覚まし貯蓄してあるエサを食べながら春まで待つそうです。
クマの冬眠
クマも冬眠する生き物として有名ですね。クマは体が大きく表面積は小さな動物です。なのでシマリスとは違って冬眠しなくても春まで体温をキープすることは可能であるはずなのになぜ冬眠するのでしょうか。基本的には大型の哺乳類は冬眠しません。冬眠するクマが特殊なのです。冬眠と言っても、クマの冬眠は3度ほど体温を低下させできるだけ暖かい場所で浅い睡眠状態となるだけなんですよ。そのため冬ごもりと言われる場合もあります。冬ごもりをする生き物として他にもアナグマやたぬきが知られていますよ。
クマが冬眠する理由はシマリスと同じで「冬場は食べ物が無いため」だそうです。やはり厳しい冬を乗り越えるためにはエネルギーの温存が重要なんですね。
人間も冬眠するのか?
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人間が冬眠したという話は聞いたことがありませんが、冬眠状態となった人間についてのニュースはあります。しかも日本のニュースです。2006年10月に登山中だったハイカーが転倒し腰を骨折したことで意識不明に陥った事故がありました。事故当時、そのハイカーは行方不明となっていて23日後に意識不明の状態で発見されたそうです。この23日間の間ハイカーは食べ物はおろか水すらとった形跡がなかったことがわかりました。発見当時、ハイカーの体温はなんと22度。臓器のほとんどが機能停止状態だったにもかかわらず、ほとんど後遺症を残すことなく回復したそうです。このことからハイカーは冬眠に近い状態だったのではないかと言われています。
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