1.戦後、灰燼に帰した街を復興させようと多くの人が尽力してくれた結果が今の日本に繋がっている。
2.ポイ捨てが原因で、近所の空き家が灰燼と帰してしまった。無人だったのが不幸中の幸いだろう。
3.災害による火災で家が全焼してしまった。幸い自分たち家族は無事だったけれど、大切にしていた宝物もすべて灰燼に帰してしまって、呆然としたものだ。
4.たったひとつのミスでも、すべてが灰燼と帰すこともあるだろう。準備は万全にしておくべきだ。
「灰燼に帰す」とは燃えてなくなること。そのため、実際に火災で燃えた後に用いるのが一般的です。
また、「灰燼に帰す」とはあっという間にすべてがなくなってしまい、呆然とした気持ちやショックを受けたというニュアンスも強く含んでいます。ただ燃えてしまったというよりも、その衝撃を強調する際に用いるのが良いでしょう。
例文4のように比喩表現として使うことも可能ですが、前述のとおりこの場合は「灰燼に化す」を用いることも多いです。状況に応じて文脈やニュアンスの理解をするようにしましょう。
「烏有に帰す」
「烏有に帰す(うゆうにきす)」とは“すっかりなくなること”を表すことわざ。とくに火災で焼けてなくなった時に用いられます。
「烏有(うゆう)」とは『烏(いずく)んぞ有らんや』の意味から、何も存在しないことや、全くないことを指す言葉。その状態に戻る、という意味で「烏有に帰す」はすべてなくなってしまった時に用いられます。一般的に火災が原因で物事が台無しになった時に使われる言葉として、「灰燼に帰す」の類語表現と言えるでしょう。なお、「烏有に属す(うゆうにぞくす)」と表現することもありますが、意味は同じです。
「水泡に帰す」
「水泡に帰す(すいほうにきす)」とは、“積み上げた苦労や努力がまったくの無駄に終わること”。水の泡がちょっとした刺激で跡形もなく消える様子から、“これまでの成果があっという間に消えてしまう”ことを表現し、結果として“努力が無駄になる”という意味で使われるようになりました。
物事が消えてなくなって台無しになる、という比喩表現が「灰燼に帰す」と同様です。なお「水泡に帰す」は比喩表現で用いるのが一般的。日常やビジネスシーンなど状況を問わず用いることができる慣用句です。
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