端的に言えば灰燼に帰すの意味は「焼けてなくなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「灰燼に帰す」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/Hata
以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。
「灰燼に帰す」の意味は?
「灰燼に帰す」には、次のような意味があります。
跡形もなくすっかり焼けてしまう。灰燼と化す。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「灰燼に帰す」
「灰燼(かいじん)」とは、灰や燃え殻のこと。建物などが跡形もなく燃えたあとに残ったもののことです。また、ここでの「帰す」とは、本来の場所や状態に戻すという意味を持ちます。
このことから、苦労して建てた建物などが跡形もなく燃えて灰となり、何もなかった状況に戻ってしまうこと。火災や事故で物事が完全に焼失してしまった状態などを、「灰燼に帰す(かいじんにきす)」と表現します。「帰す」ではなく「化す」を用いて、「灰燼と化す(かいじんとかす)」という表現もありますが、意味はほぼ同じ。こちらも燃えてすべてなくなる様子を表す慣用句です。
なお、これらの「せっかくの物がすべて消滅する」という状況をたとえて、「これまで積み上げた成果や努力がすべて台無しになる」という比喩表現で用いることもありますが、この場合は「灰燼に帰す」よりも「灰燼に化す」を用いることが一般的。文脈に応じて、比喩表現なのか焼けた跡の意味なのか判断するようにしましょう。
さらに類似した表現に「焦土と化す(しょうどとかす)」という慣用句もあります。「焦土(しょうど)」も焼けた跡のことを指し、「焦土と化す」で“燃えて何もかも消える”状態を指しますが、こちらは文字通りの意味のみで使用するのが一般的で、比喩表現としてはほぼ使われません。
「灰燼に帰す」の使い方・例文
「灰燼に帰す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
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