この記事では「白いもの」について解説する。

端的に言えば白いものの意味は「雪」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「白いもの」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で現代日本語学を専攻。ご飯、うどん、冷奴、ホワイトシチュー、イカ、はんぺん、牛乳、バター、砂糖など白い食べ物が大好き。なぜか卯の花だけは苦手。

「白いもの」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「白いもの」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「白いもの」の意味は?

「白いもの」には、次のような意味があります。国語辞典にも載っている言葉です。

1.雪。 「 -がちらつく」

2.しらが。 「髪に-がまじる」

3.おしろい。しろきもの。

 

出典:大辞林 第三版(三省堂)「白い物」

辞書には「白いもの」(しろいもの)のことが具体的に列挙されています。白い物体を全般的に表しているのではありません。主に雪、白髪、白粉(おしろい)を言い換えるのに使う言葉です。今はおしろいよりもファンデーションの時代ですので、よく使われているのは1と2になります。

これに似たもので、「白物家電」というものを聞いたことがありますよね。生活家電を表す言葉で、白を基調とした製品が多かったことからそう呼ばれるようになりました。逆に「黒物家電」という、特にオーディオ製品を示す言葉もあります。

余談ですが、ファッション関係で「白いもの」を検索すると、ホワイトコーデなるものがヒットしますよね。白いトップスに白のボトムでアクセサリーなども白のワントーンにすることですが、何でも白ければいいというものではなく、バッグで差し色を入れるとか私にはレベル高すぎです。シューズにリュック、帽子や財布まで「白いもの」だったらおかしいぐらいは感じられますが。

「白いもの」の語源は?

次に「白いもの」の語源を確認しておきましょう。

もちろん色が白いからなのですが、それでは終われませんよね。なので、日本語ではなぜそんな回りくどい言い方をするのか、それを説明していきましょう。

感染症対策にも表れていますが、日本には他人に配慮するという文化が根付いています。人ごみでは必ずマスク、ソーシャルディスタンスを守る、といったことが挙げられますよね。他人を思いやるという気持ちが、相手の気に障らないよう回りくどく言うようさせているのです。あらゆる業界で隠語や符丁(ふちょう)というものがあります。飲食店などで店側の人間が「ちょっとトイレ行ってくるね~」なんて言うのを聞いたら、客としては要らぬ心配をしそうですよね。そういったことを防ぐために、客にバレないよう関係者にだけ通じるようにする言葉です。

隠語というものは室町時代にはすでに存在し、宮中に使える女房が身の回りの物を言い換えた言葉を使うようになりました。これを「女房詞」(にょうぼうことば)と言います。もちろん隠語ですから、しばらくは限られた人々の間でのみ使われていました。やがて将軍家や良家の女性がマネをし、江戸時代には裕福な町家の女性も使うようになり、今では男性も使う言葉もあるという状態です。

\次のページで「「白いもの」の使い方・例文」を解説!/

「白いもの」の使い方・例文

「白いもの」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.山に白いものが見られると、いよいよウィンタースポーツ開催の時期だ。
2.白いものがチラついているから、服やスニーカーが濡れる前に早く帰ったほうがいい。
3.久しぶりに地元に帰ってきたけど、宮田のおばさんに最近会ったら白いものが増えてたね。

例文1と2は「白いもの」を「」として使った例文です。例文3の「白いもの」は「白髪」として使われています。

例文3が前段にふれた他人への配慮の典型です。「白髪が増えたね」だと年寄り扱いしているように受け取られかねませんが、「白いものが増えたね」だと気を使っている印象がありますよね。

対して例文1と2は、あえて直接言わないことによる風流さを狙ったものです。「雪が降った」で終わるとただの事実の報告ですが、「白いものが見える」だと「ああ雪のことだね、もうそんな季節か」などと言葉に奥行きが出ます。これも相手との会話を広げようという、ある意味では配慮なのかもしれません。

「白いもの」の類義語は?違いは?

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それでは、「白いもの」の類義語は何でしょうか。

「白銀」

白銀」は、本来は金属の名前です。特に「しろがね」と読むときはその意味となり、銀でできたもの、たとえば銀貨や銀糸なども「しろがね」と呼びます。

しかし、「はくぎん」と読む場合は少し変化があるので注意しなければなりません。金属の意味もありますが、「はくぎん」と読む場合に限り「」の比喩的表現として使われるのです。辺り一面がきれいな雪で覆われた真っ白な場所のことを「白銀の世界」などと言いますよね。

この場合の「白いもの」、すなわち「雪」には他にもさまざまな表現があります。降雪、積雪、白雪、深雪、雪片、雪花、銀花、六花、青女など、すべて「雪」を表した言葉です。

\次のページで「「白いもの」の対義語は?」を解説!/

「白いもの」の対義語は?

「白いもの」の類義語はたくさん考えられますが、明らかに「白いもの」の対義語と言える言葉があるので紹介します。

「黒髪」

「白いもの」には「白髪」の意味があると前に説明しましたよね。そうなると、「黒髪」(くろかみ、こくはつ)がハッキリと「白いもの」の対義語であると言えます。若く黒々とした髪と老いて白くなった髪は、見事に対照的ですよね。

では、「白い雪」の場合の「白いもの」の対義語は存在するのか、調べたところ「赤雪」(あかゆき)という現象があるのだそうです。雪氷藻類というものが雪の上で大量に繁殖すると、雪が赤く見えるとのこと。海でプランクトンが大繁殖して赤潮を引き起こすのと同じ原理です。

「白いもの」の英訳は?

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では、英語で「白いもの」はどう表現すればよいのでしょうか。

「snow-white」

「white snow」(白い雪)というごく当然の表現がありますが、「snow-white」(スノーホワイト)という1語だけで「雪のように白い」という形容詞となります。白にはその他にも「pearl-white」(パールホワイト)や「off-white」(オフホワイト)などがありますよね。

白髪ですと、英語では「white hair」(ホワイトヘア)または「gray hair」(グレーヘア)です。ちなみに「gray-white hair」(グレーホワイトヘア)で「ごま塩頭」という表現がありますのでご参考までに。

人によっては「スノーホワイト」を、別の形で聞いたことがあるのではないでしょうか。頭文字を大文字で「Snow White」と表記すれば「白雪姫」のことになります。

「白いもの」を使いこなそう

この記事では「白いもの」の意味・使い方・類語などを説明しました。

慣用句としての「白いもの」は、単に白い物体というだけではなく、雪という自然現象も含みます。むしろ今では雪が「白いもの」のメインの意味です。

春の海や秋晴れの空も清々しくて気持ちがいいですが、一面が真っ白な雪で覆われた冬の野原もきれいで凛とした気持ちになります。クリスマスやお正月には、少しは「白いもの」がチラチラあったほうが気分が出ますよね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「白いもの」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「白いもの」について解説する。

端的に言えば白いものの意味は「雪」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「白いもの」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で現代日本語学を専攻。ご飯、うどん、冷奴、ホワイトシチュー、イカ、はんぺん、牛乳、バター、砂糖など白い食べ物が大好き。なぜか卯の花だけは苦手。

「白いもの」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「白いもの」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「白いもの」の意味は?

「白いもの」には、次のような意味があります。国語辞典にも載っている言葉です。

1.雪。 「 -がちらつく」

2.しらが。 「髪に-がまじる」

3.おしろい。しろきもの。

 

出典:大辞林 第三版(三省堂)「白い物」

辞書には「白いもの」(しろいもの)のことが具体的に列挙されています。白い物体を全般的に表しているのではありません。主に雪、白髪、白粉(おしろい)を言い換えるのに使う言葉です。今はおしろいよりもファンデーションの時代ですので、よく使われているのは1と2になります。

これに似たもので、「白物家電」というものを聞いたことがありますよね。生活家電を表す言葉で、白を基調とした製品が多かったことからそう呼ばれるようになりました。逆に「黒物家電」という、特にオーディオ製品を示す言葉もあります。

余談ですが、ファッション関係で「白いもの」を検索すると、ホワイトコーデなるものがヒットしますよね。白いトップスに白のボトムでアクセサリーなども白のワントーンにすることですが、何でも白ければいいというものではなく、バッグで差し色を入れるとか私にはレベル高すぎです。シューズにリュック、帽子や財布まで「白いもの」だったらおかしいぐらいは感じられますが。

「白いもの」の語源は?

次に「白いもの」の語源を確認しておきましょう。

もちろん色が白いからなのですが、それでは終われませんよね。なので、日本語ではなぜそんな回りくどい言い方をするのか、それを説明していきましょう。

感染症対策にも表れていますが、日本には他人に配慮するという文化が根付いています。人ごみでは必ずマスク、ソーシャルディスタンスを守る、といったことが挙げられますよね。他人を思いやるという気持ちが、相手の気に障らないよう回りくどく言うようさせているのです。あらゆる業界で隠語や符丁(ふちょう)というものがあります。飲食店などで店側の人間が「ちょっとトイレ行ってくるね~」なんて言うのを聞いたら、客としては要らぬ心配をしそうですよね。そういったことを防ぐために、客にバレないよう関係者にだけ通じるようにする言葉です。

隠語というものは室町時代にはすでに存在し、宮中に使える女房が身の回りの物を言い換えた言葉を使うようになりました。これを「女房詞」(にょうぼうことば)と言います。もちろん隠語ですから、しばらくは限られた人々の間でのみ使われていました。やがて将軍家や良家の女性がマネをし、江戸時代には裕福な町家の女性も使うようになり、今では男性も使う言葉もあるという状態です。

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