
端的に言えば番茶も出花の意味は「年頃になれば女性は誰でも美しくなる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「番茶も出花」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「番茶も出花」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。
「番茶も出花」の意味は?
「番茶も出花」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味から見ていきましょう。
1.(番茶のような品質の劣った茶でも入れたてはうまいの意から) 器量のよくない娘でも一八歳ぐらいの娘ざかりは美しいものであるというたとえ。鬼も十八番茶も出花。
出典:日本国語大辞典(精選版)
「番茶も出花」(ばんちゃもでばな)の「番茶」(ばんちゃ)とは、煎茶(せんちゃ)などが柔らかな新芽から製造されるのに対して、お茶を摘む時期が遅く硬化(こうか)が進んだ茶葉から製造されるお茶のことをいいます。
一般的に「お茶の葉」は新芽で早く収穫されたものが高級な品とされていることから、お客様用や贈答用の「煎茶」に対して、時間的に遅れて伸びてきて茶葉が固くなったものを使う番茶は自宅用として飲む習慣があったとも言われているのです。「番茶」には「煎茶」に対して質が落ちた二流品として利用されるいうニュアンスがあり、「出花」(でばな)とは、「淹れたて」(いれたて)のことをいいます。ですから、「番茶も出花」の全体的な意味は、「最高級品の茶葉でない番茶であっても淹れ立て(いれたて)で出されたお茶はおいしい」という意味から派生して「生まれつきのルックスは際立って美しいとはいえないが、それでも成長して年ごろになるといずれ美しくなる」という意味で使われるのですね。
「番茶も出花」の語源は?
次に「番茶も出花」の語源を確認しておきましょう。
お茶を飲むという習慣は、日本でも古くからありましたが「番茶」と呼ばれるようになった由来として諸説あるもののふたつの説が有力だと言われています。京都などでは一般的に食べる食事のことを「御番菜」(おばんさい)と呼んでいますが、「番」(ばん)には元来、「日常的な」や「普段使いの」という意味があり、「普段、日常的に飲むお茶」という意味として「番茶」(ばんちゃ)と呼ばれるようになったという説です。
もうひとつの説は、番茶は、一番茶や二番茶などのように早い時期に摘まれた新芽を用いるのではなく、遅い時期に収穫した茶葉を使うため、当初は晩茶(ばんちゃ)と呼ばれていたものが、後に番茶と言われるようになったとも伝えられています。
\次のページで「「番茶も出花」の使い方・例文」を解説!/