「気に食わない」
「気に食わない」という言葉も、虫が好かない同様、「なんとなく嫌いである」という意味を持った言葉です。
「気に入る」の丁寧な表現として、「お気に召す」と言うことがあります。その「召す」を通常の表現に戻すと「食べる・食う」。それを否定の形にすることで「気に食わない」という表現になった説があるようです。
こちらは「なんとなく悪感情を持っている」という意味では共通虫が好かないと共通しています。しかし、その場にいる相手にも用いる場合が少なくないこと、そして本格的に大嫌いな相手にも使用できるという違いがあるのです。
「虫が好かない」の対義語は?
なんとなく好きではないという意味の対義は、なんとなく嫌いになれない、なんとなく好きのようなものになると解することができます。
「とても好きだ」という意味を持った言葉は数多くありますが、このような微妙なニュアンスを表現する言葉は案外少ないです。
「憎めない」
強いて虫が好かないの対義語を挙げるとするならば、「憎めない」でしょう。こちらの単語の持つ意味は、「憎もうとしても憎むことができない」「なんとなく嫌いになれない」というような意味があります。
嫌いになる要素はあるはずなのに、それすら許せてしまう“何か”を感じてしまうという構造が、なんとなく虫が好かないと似ていますね。
「虫」が入っている慣用句
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虫は昔から日本人の生活に密接に関わってきました。そのために、虫という言葉が入っている慣用句も多く存在するのです。今回はその中からふたつ、ご紹介したいと思います。
「蓼食う虫も好きずき」
こちらのことわざは「たでくうむしもすきずき」と読みます。これは、体内に住んでいるとされた虫ではなく、虫の性質からつくられたことわざです。
まず、「蓼」ってなんぞやと思う方もいらっしゃるでしょう。「蓼」とは「柳蓼(やなぎたで)」という葉のこと。とても苦くて辛い葉なのですが、俗に「蓼虫」と呼ばれる蛍などの甲虫は、それを好き好んで食べます。
その様子から、どれだけ良いものに見えなくても好きになるものはいる、つまり人の好みは千差万別であることを表しているのです。
「虫唾(虫酸)が走る」
こちらの慣用句の読み方は「むしずがはしる」。言い様もない嫌悪を表す時に使います。
「むしず」とは虫のよだれや、虫が出す酸っぱい液体のこと。これを吐き気がした時に逆流してくる胃液になぞらえて、吐き気がするほど不快であることを表現しているのです。
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