この記事では「虫が好かない」について解説する。

端的に言えば虫が好かないの意味は「なんとなく好きになれない」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「虫が好かない」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。

「虫が好かない」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虫が好かない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虫が好かない」の意味は?

「虫が好かない」には、次のような意味があります。

・なんとなく気にくわない。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虫が好かない」

人が思考ではないところで何かしらを感じる時に、慣用句として「虫」が使われることが多々あります。「虫が好かない」もそのような慣用句のひとつです。

意味はひとつ、「なんとなく気にくわないこと」。日頃の会話でも、そこにいない第三者の話をする際などに使われる表現ですね。

「虫が好かない」の語源は?

次に「虫が好かない」の語源を確認しておきましょう。先述しましたが、「腹の虫が治らない」や「虫の知らせ」、「虫の居所が悪い」など、慣用句の中に「虫」という単語は度々登場します。この虫が虫が好かないを理解する上でのキーワードになるのです。

虫という存在がなぜ慣用句に多く登場するかというのは、昔の日本人のあるユニークな発想に理由があります。なんと、昔の人は虫がどこにでも入ってしまうために、人の体の中にも虫が住んでいると考えていたのです。

そして、その虫が自分の意思とは無関係に何かを考えていると考えていました。それを「虫が好かない」に当てはめてみましょう。体内に住む虫が我々の感情や判断にさまざまな影響を与え、その結果対象を「なんとなく好きになれないなぁ」と考えさせている、ということになります。

なんだか奇妙な話ですね。また、そのように考えるようになったのにもまた理由があります。古来、病気などの原因は鬼の生徒され、祈祷師が活躍していたのです。そして、このままでは儲からないと考えた医師たちが、病気にかかるのは虫のせいという書物をまとめたのが発端だと言われています。

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「虫が好かない」の使い方・例文

「虫が好かない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼はとても優しい男だとわかってはいるのだが、なんだか虫が好かない。

2.あの人は働く態度が悪く、遅刻も多い。結果を残してるとはいえ、虫が好かない。

なんとなく好きになれないという意味を持つ、虫が好かない。それだけを聞くと、理由がないけれど嫌いだという状況でしか使用できない慣用句なように思えるでしょう。

しかし、実際は雰囲気が嫌いだという状況でももちろん用いることはできますが、理由があるような場合にも使用することができます

それを表したのが例文2です。こちらは対象が働く態度が悪く、遅刻が多いという「嫌いになる理由」を明言しているにもかかわらず、虫が好かないの使用例として成立しています。

このように、虫が好かないは存外に適用できる範囲の大きい慣用句なのです。

「虫が好かない」の類義語は?違いは?

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虫が好かないの類義語として、ふたつの単語を紹介します。

「いけ好かない」

こちらはほとんど虫が好かないと同様の意味を持っていると解して良いでしょう。

「あいつはいけ好かないやつだ」などと、その場にいない相手に対して使用する点でも共通しています。

\次のページで「「気に食わない」」を解説!/

「気に食わない」

「気に食わない」という言葉も、虫が好かない同様、「なんとなく嫌いである」という意味を持った言葉です。

「気に入る」の丁寧な表現として、「お気に召す」と言うことがあります。その「召す」を通常の表現に戻すと「食べる・食う」。それを否定の形にすることで「気に食わない」という表現になった説があるようです。

こちらは「なんとなく悪感情を持っている」という意味では共通虫が好かないと共通しています。しかし、その場にいる相手にも用いる場合が少なくないこと、そして本格的に大嫌いな相手にも使用できるという違いがあるのです。

「虫が好かない」の対義語は?

なんとなく好きではないという意味の対義は、なんとなく嫌いになれない、なんとなく好きのようなものになると解することができます。

「とても好きだ」という意味を持った言葉は数多くありますが、このような微妙なニュアンスを表現する言葉は案外少ないです。

「憎めない」

強いて虫が好かないの対義語を挙げるとするならば、「憎めない」でしょう。こちらの単語の持つ意味は、「憎もうとしても憎むことができない」「なんとなく嫌いになれない」というような意味があります。

嫌いになる要素はあるはずなのに、それすら許せてしまう“何か”を感じてしまうという構造が、なんとなく虫が好かないと似ていますね。

「虫」が入っている慣用句

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虫は昔から日本人の生活に密接に関わってきました。そのために、虫という言葉が入っている慣用句も多く存在するのです。今回はその中からふたつ、ご紹介したいと思います。

「蓼食う虫も好きずき」

こちらのことわざは「たでくうむしもすきずき」と読みます。これは、体内に住んでいるとされた虫ではなく、虫の性質からつくられたことわざです。

まず、「蓼」ってなんぞやと思う方もいらっしゃるでしょう。「蓼」とは「柳蓼(やなぎたで)」という葉のこと。とても苦くて辛い葉なのですが、俗に「蓼虫」と呼ばれる蛍などの甲虫は、それを好き好んで食べます。

その様子から、どれだけ良いものに見えなくても好きになるものはいる、つまり人の好みは千差万別であることを表しているのです。

「虫唾(虫酸)が走る」

こちらの慣用句の読み方は「むしずがはしる」。言い様もない嫌悪を表す時に使います。

「むしず」とは虫のよだれや、虫が出す酸っぱい液体のこと。これを吐き気がした時に逆流してくる胃液になぞらえて、吐き気がするほど不快であることを表現しているのです。

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「塞ぎの虫」

こちらは気分が晴れないことを表す慣用句。読み方は「ふさぎのむし」です。

これも虫が好かないと同様に、体内に住む虫の気分が晴れないことを、塞いだ気持ちになる理由として扱っています。具体的な使い方としては、「塞ぎの虫にとりつかれる」といったような使い方をするようです。

「虫が好かない」を使いこなそう

この記事では「虫が好かない」の意味・使い方・類語などから始まり、虫を使った慣用句まで扱いました。虫が好かないは、日常会話でもよく使う表現になりますので、しっかり意味を把握し、使いこなせるようになりましょう。

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【慣用句】「虫が好かない」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「虫が好かない」の使い方・例文

「虫が好かない」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼はとても優しい男だとわかってはいるのだが、なんだか虫が好かない。

2.あの人は働く態度が悪く、遅刻も多い。結果を残してるとはいえ、虫が好かない。

なんとなく好きになれないという意味を持つ、虫が好かない。それだけを聞くと、理由がないけれど嫌いだという状況でしか使用できない慣用句なように思えるでしょう。

しかし、実際は雰囲気が嫌いだという状況でももちろん用いることはできますが、理由があるような場合にも使用することができます

それを表したのが例文2です。こちらは対象が働く態度が悪く、遅刻が多いという「嫌いになる理由」を明言しているにもかかわらず、虫が好かないの使用例として成立しています。

このように、虫が好かないは存外に適用できる範囲の大きい慣用句なのです。

「虫が好かない」の類義語は?違いは?

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虫が好かないの類義語として、ふたつの単語を紹介します。

「いけ好かない」

こちらはほとんど虫が好かないと同様の意味を持っていると解して良いでしょう。

「あいつはいけ好かないやつだ」などと、その場にいない相手に対して使用する点でも共通しています。

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