この記事では「百も承知」について解説する。

端的に言えば百も承知の意味は「あえて言葉にする必要もないほどわかっている」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

小説や記事の執筆など、言葉に多く携わっている中低青黄を呼んです。一緒に「百も承知」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/中低青黄

大学生ライター。大学生活を送る傍ら、PR会社にて記事の添削・校正などを担当。また、高校生の頃から小説をはじめとした書籍を多数通読。小説の執筆や記事の作成なども行っている。

「百も承知」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「百も承知」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「百も承知」の意味は?

「百も承知」には、次のような意味があります。

・言われるまでもなく、十分わかっていること。「百も承知二百も合点」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「百も承知」

日常で多く口にする機会のある「百も承知」。今回はその意味に迫っていきたいと思います。まず、読み方は「ひゃくもしょうち」です。意味は、「言うまでもなく知っていること」

この慣用句を理解する上で注目するべきは、百という数字が持つ意味です。知識が豊富であることを「一から百まで知っている」なんて言うように、日本語において完全な状態を百と表現することが多々あります。その百を使って、知っているという意味である「承知」をより強めたのが、この「百も承知」なんですね。

「二百も合点」

百も承知の後に「二百も合点」という言葉が続くこともあるのだと知っている方は少ないのではないでしょうか。もちろん「百も承知」のみでも意味としては通じますし、それだけで完結した慣用句です。しかし、「二百も合点」をつけることによって、よりその意味を強めてくれます。

百を上回る二百という数字を用いて承知と同じ意味を持つ合点を脚色しているので、さらに「百も承知」を強めてくれるんですね。

\次のページで「「百も承知」の使い方・例文」を解説!/

「百も承知」の使い方・例文

「百も承知」の使い方を例文を使って見ていきましょう。

1.君が絵を描けないことなんて百も承知だよ。それでも頼んでいるんだ。
2.このままの学力では志望校に合格できないことなんて君に言われなくても百も承知だよ。

さて、以上ふたつ例文をご用意させていただきました。ご覧いただいて気づいたかもしれませんが、「百も承知」という言葉は、基本的に「ままならない現状」に対して使用する慣用句であると言えるでしょう。

それに対して何かしらのアクションを起こす、あるいは起こそうとした際に他人からそのアクションが無謀な物であるとの指摘を受ける。その際に「百も承知」という表現を使い、そのままならなさを理解していることを表明するという構造があるのです。

「百も承知」の類義語は?違いは?

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「百も承知」は今ある状態を完全に知っていることを表す慣用句です。その類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。

「委細承知」

「委細承知」の読み方は「いさいしょうち」。委細は詳しい内容や詳細を表す言葉。それを承知していると言うことで、すべてを知っていることを表せるのです。

こちらはビジネスメールなどでも使用できる、とても丁寧な表現。連絡事項などがメールなどにて送られてきた際に、その返し言葉として「委細承知致しました」を使うことができるのです。

こちらの言葉は百も承知と同様の意味を持つ言葉ではありますが、他人のアクションに反発するような使い方でなく、同意するようなニュアンスで使用するところに違いがあります。

また、江戸っ子風の洒落言葉では人名を模して「委細承知之助」ということもあるようですね。

\次のページで「「百も承知」の対義語は?」を解説!/

「百も承知」の対義語は?

百も承知には明確な対義語はありません。しかし、まったくわからないことを示す言葉は多くありますので、その中から2語を紹介します。

「杳として知れない」

こちらの言葉の読み方は「ようとしてしれない」。「杳」という漢字には暗くてはっきりしないという意味があります。その杳に知れないを組み合わせて、はっきりわからないことを表しているのです。

この言葉は物語の締め括りなどによく使用されます。「長い眠りから覚めて、外へ出た。街の人の話を聞く限り、彼の行方はようとして知れないとのことだった。結局私は、彼に何も恩返しができなかったということらしい。」みたいな感じでしょうか。

日常会話の中でも「あいつ今どうしてるか知ってる?」と旧友の現状を尋ねられた際に「さぁ、杳として知れないよ」などと言うと、教養があると思ってもらえるかも知れませんよ。

「曖昧模糊」

こちらもはっきりとわからない様子を表した言葉です。読み方は「あいまいもこ」。曖昧の意味は皆さんご存知だと思いますが、それとぼんやりとしている様を表した模糊を組み合わせた単語です。

使い方としては「曖昧模糊たる状況」や「曖昧模糊として判然としない」などの使い方ができます。ちなみに、模糊は数の単位です。

「百」の入った慣用句

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冒頭でも触れましたが、百という数字には完全性や、すべてといった特別な意味が宿ることが多いのです。そんな百の入った慣用句を紹介していきます。

「百聞は一見に如かず」

こちらのことわざは「ひゃくぶんはいっけんにしかず」と読みます。「如かず」を「しかず」と読むのが少し難しいですが、言葉自体は聞く機会の多いことわざではないでしょうか。

「人から何度も話を聞くより、自分で見に行く方が確かである」という意味を持つこの言葉ですが、このことわざにおいて「百」はどのような意味を持つかを考えてみましょう。

このことわざに含まれる「百聞」ですが、これは100回人の話を聞くことを表しています。それよりも「一見」つまり一回見ることの方が優れているということわざなわけですが、この百聞は、それを以て手を尽くしたという扱いになっているのです。

そのような意味で、この言葉の中の百は、「可能な限り多い回数」を表す百であると言えます。

「酒は百薬の長」

こちらも時たま耳にする言葉ではないでしょうか。お酒をよく嗜まれる方が、「飲み過ぎ」だと注意された時に言い訳として使っているイメージがあります。「酒はどのような薬よりも病に効く」という意味を持ったことわざです。

「酒は百薬の長。だから風邪を治すためにも飲もう」だなんて言う酔狂な人もいますが、基本的に体調が悪い時には飲むべきではありませんし、飲み過ぎも御法度なので気をつけましょう。

さて、言葉の意味に戻りますが、このことわざで使われる「百薬」。これは「あらゆる薬」を表しており、まさしくこの百は「すべて」を表す百であると言えるわけですね。

\次のページで「「百も承知」を使いこなそう」を解説!/

「百も承知」を使いこなそう

この記事では「百も承知」の意味から始まり、百を含むことわざについてまで紹介してきました。百以外にも万や千など、多くの数字を使った慣用句は存在していますし、その度にその数字が日本語においてどのような受け入れられ方をしているのかを考えてみてもおもしろいかも知れませんね。

ここで紹介した言葉をしっかり把握して、さらに知識を広げていけるように頑張りましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「百も承知」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「百も承知」の対義語は?

百も承知には明確な対義語はありません。しかし、まったくわからないことを示す言葉は多くありますので、その中から2語を紹介します。

「杳として知れない」

こちらの言葉の読み方は「ようとしてしれない」。「杳」という漢字には暗くてはっきりしないという意味があります。その杳に知れないを組み合わせて、はっきりわからないことを表しているのです。

この言葉は物語の締め括りなどによく使用されます。「長い眠りから覚めて、外へ出た。街の人の話を聞く限り、彼の行方はようとして知れないとのことだった。結局私は、彼に何も恩返しができなかったということらしい。」みたいな感じでしょうか。

日常会話の中でも「あいつ今どうしてるか知ってる?」と旧友の現状を尋ねられた際に「さぁ、杳として知れないよ」などと言うと、教養があると思ってもらえるかも知れませんよ。

「曖昧模糊」

こちらもはっきりとわからない様子を表した言葉です。読み方は「あいまいもこ」。曖昧の意味は皆さんご存知だと思いますが、それとぼんやりとしている様を表した模糊を組み合わせた単語です。

使い方としては「曖昧模糊たる状況」や「曖昧模糊として判然としない」などの使い方ができます。ちなみに、模糊は数の単位です。

「百」の入った慣用句

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冒頭でも触れましたが、百という数字には完全性や、すべてといった特別な意味が宿ることが多いのです。そんな百の入った慣用句を紹介していきます。

「百聞は一見に如かず」

こちらのことわざは「ひゃくぶんはいっけんにしかず」と読みます。「如かず」を「しかず」と読むのが少し難しいですが、言葉自体は聞く機会の多いことわざではないでしょうか。

「人から何度も話を聞くより、自分で見に行く方が確かである」という意味を持つこの言葉ですが、このことわざにおいて「百」はどのような意味を持つかを考えてみましょう。

このことわざに含まれる「百聞」ですが、これは100回人の話を聞くことを表しています。それよりも「一見」つまり一回見ることの方が優れているということわざなわけですが、この百聞は、それを以て手を尽くしたという扱いになっているのです。

そのような意味で、この言葉の中の百は、「可能な限り多い回数」を表す百であると言えます。

「酒は百薬の長」

こちらも時たま耳にする言葉ではないでしょうか。お酒をよく嗜まれる方が、「飲み過ぎ」だと注意された時に言い訳として使っているイメージがあります。「酒はどのような薬よりも病に効く」という意味を持ったことわざです。

「酒は百薬の長。だから風邪を治すためにも飲もう」だなんて言う酔狂な人もいますが、基本的に体調が悪い時には飲むべきではありませんし、飲み過ぎも御法度なので気をつけましょう。

さて、言葉の意味に戻りますが、このことわざで使われる「百薬」。これは「あらゆる薬」を表しており、まさしくこの百は「すべて」を表す百であると言えるわけですね。

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