この記事では「袋の鼠」について解説する。

端的に言えば袋の鼠の意味は「逃げられないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「袋の鼠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「袋の鼠」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「袋の鼠(ふくろのねずみ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「袋の鼠」の意味は?

「袋の鼠」には、次のような意味があります。

逃げ出すことのできない状態のたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「袋の鼠」

「袋の鼠(ふくろのねずみ)」とは、まさしく「袋」の中に閉じ込められた「鼠(ねずみ)」の様子をたとえたもの。追い詰められ逃げ出すことが非常に困難な様子を表す時に用いる慣用句です。今でも使われる言葉なので、聞いたこともあるのではないでしょうか。

テレビやドラマの中で犯人に対して使うことや、ギャングや不良に追い込まれた状況、ヒーローのピンチに対してもよく用いられます。状況によってはそこから脱出する可能性もありますが、周りをすっかり囲まれ絶体絶命の状況で使われるのが一般的です。

なお「袋の中の鼠(ふくろのなかのねずみ)」ということもありますが、意味は同じ。どちらの言い回しでも問題ありません。

「袋の鼠」の語源は?

次に「袋の鼠」の語源を確認しておきましょう。「袋の鼠」の由来は、日本の江戸時代。三味線を伴奏楽器に語る浄瑠璃作品のひとつ、『浦島年代記』(1722年)とされています。

この中にあるのが、「大将平馬は此社壇に袋の鼠ただ取こと」という一文。これが「袋の鼠」の語源と言われています。

1722年の江戸時代から現在に至るまで、窮地に追い込まれた状況をたとえる言葉として「袋の鼠」は広く用いられてきました。

\次のページで「「袋の鼠」の使い方・例文」を解説!/

「袋の鼠」の使い方・例文

「袋の鼠」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.飲酒運転がバレぬよう逃げた犯人がだが、警察に追い詰められすぐに袋の鼠になった。
2.歴史上の人物の中には、波乱万丈の数奇な運命を辿ったものの、最期は袋の鼠になり生涯を終えた者も多いと聞く。
3.ひとつのミスを周囲に責められ、彼は本当に袋の鼠のようだ。さすがに気の毒で仕方がないし、自分なら耐えられないよ。
4.受験本番、頭が真っ白になり人生最大のピンチに袋の鼠かと思ったが、家族からもらったお守りで落ち着きを取り戻し、見事難関大を突破できた。

「袋の鼠」とは、追い詰められた状況をたとえたことわざ。そのため、例文のようにピンチに陥った際に用いられます。絶体絶命の状況で使うため基本的にはネガティブな言葉として用いられますが、例のようにピンチを脱した時に使うことも可能です。

「袋の鼠」の類義語は?違いは?

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それでは次に、「袋の鼠」と似た意味を持つ言葉を見ていきましょう。

「八方塞がり」

「八方塞がり(はっぽうふさがり)」とは、活路が見いだせず手の打ちようがない状況を表す言葉。「八方」とは方角のことで、どの方角にも障害があり、何もできない状況を意味します。

周囲を囲まれ何もできない状況を表す言葉として、「袋の鼠」と類語表現と言えるでしょう。

\次のページで「「手も足も出ない」」を解説!/

「手も足も出ない」

「手も足も出ない」とは、対する手段がまったくない状況や、力が及ばずにどうにもしようがない様子をたとえた慣用句です。自力ではどうにも処理ができない状況でよく用いられます。

ピンチの時にも用いることができ、どうにもならない状況下で用いる言葉としては「袋の鼠」と同じように使うことが可能です。ただし、「袋の鼠」と異なり、周囲を敵に囲まれているという意味は含んでおらず、あくまで自分の力が足りずに処理しきれない状況を指しています。

追い込まれた状況と言えどもニュアンスが異なるので、用いる際には使い分けに注意が必要です。

「万事休す」

「万事休す(ばんじきゅうす)」は、もはやできることがなく、万策尽きた状態のこと。「万事」とは“すべてのこと”、「休す(きゅうす)」とは“すべておさまる”という意味を持ち、もう何をしてもどうにもならない状態で用いる言葉です。

逃げ場がない、という意味で「袋の鼠」同様の類語表現と言えます。

ただし、「万事休す」は打つ手がないという意味のみで、追い詰められたという意味や絶体絶命といったニュアンスは持ちません。それぞれの言葉の意味を踏まえて、使い分けるようにしましょう。

「袋の鼠」の英訳は?

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最後に「袋の鼠」の英語表現を確認していきましょう。

「be trapped like a rat」

「be trapped like a rat」は直訳すると“まるで鼠のように罠にかかる”という英語表現。「trapped」とは“罠にかかる”ということを意味しており、「袋の鼠」同様の状況を指しています。

「袋の鼠」を比喩として用いる際には、ぴったりの英語訳です。

その他の表現としては、“追い詰められた”という意味の「cornerd」という単語を用いて、「cornered rat」と表すこともできます。「袋の鼠」の持つ“追い詰められた”という状況を強調したい場合は、この表現を用いるのおすすめです。

「袋の鼠」を使いこなそう

この記事では「袋の鼠」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「鼠」を用いたことわざには、「窮鼠猫を噛む」や「大山鳴動して鼠一匹」など多くありますが、「袋の鼠」はその中でも今もドラマやテレビによく使われ、耳にすることの多い言葉です。だからこそ、意味を理解しないと、それこそここぞという場面で袋の鼠のようになってしまうかもしれません。言葉の意味は正確に捉えておきましょう。

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国語言葉の意味

【慣用句】「袋の鼠」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「袋の鼠」について解説する。

端的に言えば袋の鼠の意味は「逃げられないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「袋の鼠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「袋の鼠」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「袋の鼠(ふくろのねずみ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「袋の鼠」の意味は?

「袋の鼠」には、次のような意味があります。

逃げ出すことのできない状態のたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「袋の鼠」

「袋の鼠(ふくろのねずみ)」とは、まさしく「袋」の中に閉じ込められた「鼠(ねずみ)」の様子をたとえたもの。追い詰められ逃げ出すことが非常に困難な様子を表す時に用いる慣用句です。今でも使われる言葉なので、聞いたこともあるのではないでしょうか。

テレビやドラマの中で犯人に対して使うことや、ギャングや不良に追い込まれた状況、ヒーローのピンチに対してもよく用いられます。状況によってはそこから脱出する可能性もありますが、周りをすっかり囲まれ絶体絶命の状況で使われるのが一般的です。

なお「袋の中の鼠(ふくろのなかのねずみ)」ということもありますが、意味は同じ。どちらの言い回しでも問題ありません。

「袋の鼠」の語源は?

次に「袋の鼠」の語源を確認しておきましょう。「袋の鼠」の由来は、日本の江戸時代。三味線を伴奏楽器に語る浄瑠璃作品のひとつ、『浦島年代記』(1722年)とされています。

この中にあるのが、「大将平馬は此社壇に袋の鼠ただ取こと」という一文。これが「袋の鼠」の語源と言われています。

1722年の江戸時代から現在に至るまで、窮地に追い込まれた状況をたとえる言葉として「袋の鼠」は広く用いられてきました。

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