「提灯に釣鐘」
「提灯に釣り鐘(ちょうちんにつりがね)」も、“非常に異なる様子”を表す慣用句です。「提灯」と「釣鐘」は、ぱっと見の外見上は似た形をしていますが、実際は大きさも重さも全く違うもの。比較にすることもできません。そのため「提灯に釣り鐘」は“見た目に共通するところがあっても、実際の中身は釣り合わない”様子をたとえた言葉として使われます。
同じように“違いが大きい”ものを表す言葉ですが、見た目が似ているのに釣り合わない「提灯に釣り鐘」と、見た目もすべて異なる「雪と墨」では、意味合いも変わるもの。それぞれの言葉のニュアンスを捉えて、誤った意味合いにならないよう使い分けることが必要です。
なお見た目が似ているのに中身が釣り合わないという点では、「月とすっぽん」とも似た言葉ですが「提灯に釣り鐘」では、“釣り合わない”という様子を指すだけで優劣の意味は含みません。
「雪と墨」の対義語は?
正反対のように異なる様子を表した「雪と墨」に対し、その対義語となる表現を見ていきます。
「大同小異」
「大同小異(だいどうしょうい)」とは、だいたいは同じだが細かい点で異なること。つまりは“似たりよったりで大差がないこと”を表します。
わずかな違いがあっても、両者には差がないことを意味する「大同小異」は、「雪と墨」とは反対の意味と言えるでしょう。
「as different as chalk and cheese.」
「as different as chalk and cheese.」とは英語の言い回しで、「白墨とチーズほども違う」と日本語では訳されます。「chalk」とは“白墨”と訳されていますが、いわゆるチョークのこと。「cheese」は食べ物の“チーズ”のことです。チョークとチーズは外見上似ているのに、その中身はまったく違うということをたとえて、はなはだしく違いがあるときに用いられます。
見た目が似ているのに、というニュアンスは含まれるものの、正反対であることを強調して「雪と墨」を表現したい際には、この英語訳を用いるといいでしょう。
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