理科生物細胞・生殖・遺伝

「クローン」とはどんな技術?クローン技術はなんのためにあるのか医学部実験助手が5分で詳しく解説

クローン技術の応用例

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クローン技術について否定的な意見が多く見られますが、実は医療業界では様々な場面で使用されています。

まず1つが移植です。移植する際の問題点として拒絶反応があります。拒絶反応とは、自分のものではない他の人の細胞が体に入ってくるとそれを異物と認識し、外へ出そうとする反応です。そのため、移植する際は自分の細胞から作られたものを使用するのが一番安全ですよね。移植では受精卵に皮膚や筋肉などの体細胞の細胞核を入れてあげることで皮膚や筋肉、その他の臓器を作り出して移植します。ちなみに、これは体細胞の細胞核を入れた「体細胞クローン」なのでどれだけ分裂を繰り返してもその臓器にしかなりません。体細胞からクローンの生物を作ることが不可能だと言われていたのはこのためなんですよ。

もう一つの応用例は遺伝子治療です。血液を固める作用のある凝結因子を持っていない血友病という病気があるのをご存知でしょうか?患者さんは凝血因子を作り出すことができないので、遺伝子組み換え技術とクローン技術を使うことでミルク中にヒトの凝血因子を作り出すことのできる動物を作成し治療します。

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クローン技術で作られた生き物にとっては残酷かもしれないが、これで助かる命も存在していることを忘れないようにしよう。

クローン技術の問題点

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まず受精卵を使用したクローン技術は途中で発生が止まってしまうこともしばしばあるため効率が悪いです。クローンマウスの作成成功率は2%とも言われています。また、成功したからと言って正常な個体になるかは保証できません。この理由として、子宮環境の違い・受精卵と体細胞核との相性など様々な原因が指摘されています。最初に作られたクローン羊であるドリーもテロメアが通常より短かったため、寿命が短いのではないかと言われていました(実際ドリーは若くして病気にかかったため6歳で安楽死させられています)。

さらに、クローン個体から更にクローン個体を繁殖させること(リクローン)が可能かどうかもまだわかっていません。これらの安全性を確認するにはまだデータ不足なので、現在も各研究施設が調査中です。

なぜクローン技術は批判されるのか?

クローン技術の問題点でも述べたように、クローン技術の成功率は非常に低く、また生まれてきても奇形である可能性も高いため母体や子どもに大きなリスクがあります。また一部では「生命の尊厳を侵す」「無性生殖は自然に反する」とも言われているようですね。クローン動物によって治療できる病気や助かる可能性のある命があるのは事実です。しかし、この問題は非常にデリケートなので今後も十分な議論をし、誰もが納得できる方向に進んでいくといいですね。

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本文で挙げた意外にも宗教的な問題や、クローンとして生まれたヒトへの差別の問題があるんだ。クローン技術とはまだまだ問題が山積みなんだな。

クローン技術の問題点について自分なりに考えてみよう

クローン技術とは有性生殖を行う生物について、人工的にDNAが同じ個体を作りだす技術のことです。現在農業面では非常に応用されていますが、問題点も多いんですよ。そのため、家畜とヒトではクローン技術を使用することについて法律が分けられています。

倫理面意外の問題点としては実験の成功率の低さがありましたね。そもそも胎内で死亡することが多い上に、生まれてきても奇形であることがしばしばあるといいます。では、もし技術が向上して成功率がほぼ100%になったときに、私達はクローン技術について何を考えればいいのでしょうか?倫理的な問題点を解決するにはどうしたらいいでしょう。ぜひあなたなりに考えてみましょう。

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