この記事では「春を売る」について解説する。

端的に言えば春を売るの意味は「売春すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「春を売る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「春を売る」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「春を売る」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「春を売る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「春を売る」の意味は?

「春を売る」には、次のような意味があります。

1. 女が男に身をまかせて報酬を得る。売春行為をする。春をひさぐ。

出典:日本国語大辞典(精選版) 「春を売る」

「春を売る」(はるをうる)「春」(はる)には、「4月~6月ころの時期で四季のひとつ」であることの他に、「新春」のように「正月」の意味や「若く血気盛んな年ごろ」「男女の愛欲や性欲」という意味もあります。「春を売る」の場合の「春」とは、「男女の愛欲」のことです。一方、「売る」とは、「代金と引き換えに物品や権利を相手に引き渡す」ことで「春を売る」とは、一般的には、「女性が男性からお金を受け取ってセックスの相手をする」という意味になります。この行為のことを一般的には「売春」と言いますし、口語では単に「売り」と表現する場合もありますね。

「春を売る」の語源は?

次に「春を売る」の語源を確認しておきましょう。
人間の「三大欲求」は「睡眠欲」、「食欲」、そして「性欲」で人として生きていくために、あるいは子孫を残すためにどれも欠かせない欲求です。ですから、「春を売る行為」、言い換えると、「身体(からだ)を売って相手にサービスを施して対価(たいか)を得ること」は、「世界最古の女性の職業、仕事」とも言われています。もちろん、「通貨」が世の中に登場する以前は、なんらかの物品や利のあるものを対価として受け取り性行為を行った場合あったでしょうし、「慈善的(じぜんてき)行為」として始まったという説もあるのです。

話を日本に移すと、売春営業が始まったのは10世紀と言われ、12世紀になると「踊り子」である「白拍子」(しらびょうし)という職業が誕生し、踊りなどの芸を売るかたわら兼業として性行為をして対価を受け取っていたと言われています。16世紀に入ると「売春」がサービスを提供する専業の職業として認知されるようになり、江戸時代に入ると、徳川幕府は、各地区に「性を売る」特定な地域を設け認可を出すようになりました。特に江戸、京都、大阪の三つの地域の三大遊郭(ゆうかく)は、人気を博したのです。「春を売る」という表現がいつごろから使われるようになったのかは、はっきりしませんが江戸時代には、都市部においては「春を売る行為」によって、お金を受領することは普通なこととして認識されていたのですね。

\次のページで「「春を売る」の使い方・例文」を解説!/

「春を売る」の使い方・例文

「春を売る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「いいね。そのバッグ?高かったのじゃない?」
「パパ活して買ってもらったんだ。でも勘違いしないでね。何度か一緒に食事しに行っただけよ。春を売るような真似はしないわ。最初からそういう約束にしているの」

2. 「実は、オレ、男子校出身で女性に免疫(めんえき)がなく来年、成人式だというのにまだ、経験がないんだ」
「大丈夫。心配しないで。私の友達で世話好きで春を売るのが天職のような娘(こ)がいるから今度紹介するわ」

「売春」と言うとあまりにストレートな響きですが、「春を売る」と言えば、少しマイルドに聞こえませんか?

「春を売る」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

次に「春を売る」の類義語を見ていきましょう。

「割り切り」

「春を売る」は、「妻」や「恋人」といった特定の関係が構築されていない不特定多数の人とお金という報酬を条件に性交することを意味します。同じような意味を持つ言葉でここ2、30年前から使われ始めた言葉に「割り切り」(わりきり)がありますね。

「割り切り」とは、過去でも現在でも、基本的な意味は「個人的な心情を交えることなく、原則に基づいて考え、結論をだしていくこと」ですが、最近では、「恋物語に発展することなく男女とも、お互いにセックスを目的として出会うこと、お金を払い受け取ることを当事者同士の契約として割りきって交際すること」が「割り切り」、あるいは「割り切った関係」と表現されるようになりました。

\次のページで「「春を売る」の対義語は?」を解説!/

「春を売る」の対義語は?

次に「春を売る」の対義語を見ていきましょう。

「操を守る」

「春を売る」が「お金を目的として不特定多数の人と性的関係を持つこと」でしたが、反対語は、「特定の関係の人以外とは性的関係を持たない」という意味を持つ言葉になりますね。

そんな言葉のひとつが「操を守る」(みさおをまもる)です。「操」(みさお)とは、「意思を変えずに身持ちのよいこと」特定の関係以外の人と、決して性交を持たないという意味になります。日本も明治時代に入り、「一夫一婦制」(いっぷいっぷせい)の考え方に基づき法律も整えられていきました。そして、「身持ちのかたいことが良いことである」と特に女性の守るべき道徳として社会では理解されるようになっていったのです。

「春を売る」の英訳は?

image by iStockphoto

次に「春を売る」の英訳を見ていきましょう。

「Prostitution」

「春を売る」というと、どこかさわやかに響きますが、「売春」という意味で法律を含め一般的に使われる英単語は、「Prostitution」(prὰstət(j)úːʃən)になりますね。この単語さえ覚えておけば、「対価としてお金を受け取り性交すること」が相手に伝わります。ちなみに売春をする人、売春婦は「Prostitute」(prάstət(j)ùːt)になるのです。男性で「お金を目的に性交する人」については、「a male prostitute」と言えば通じます。

「春を売る」を使いこなそう

この記事では、「春を売る」の意味や使い方について解説してきました。「春を売る」は「報酬を得て性交渉をする」という意味でしたね。「性欲」というのは、三大欲求のひとつでありながら、社会の中では複数の人と関係を持つことに対して「うしろめたい」と感じさせる部分があるのも事実ですね。風俗で働いている側にとっても必ずしも好きな仕事で快楽が欲しくて従事しているばかりではありません。それぞれに抱える事情があるのだと思いますね。どんな職業についていても変わった性癖があっても人は人。日々、人とは誠実に付き合っていけたらいいですね。

" /> 【慣用句】「春を売る」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「春を売る」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

「春を売る」の使い方・例文

「春を売る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 「いいね。そのバッグ?高かったのじゃない?」
「パパ活して買ってもらったんだ。でも勘違いしないでね。何度か一緒に食事しに行っただけよ。春を売るような真似はしないわ。最初からそういう約束にしているの」

2. 「実は、オレ、男子校出身で女性に免疫(めんえき)がなく来年、成人式だというのにまだ、経験がないんだ」
「大丈夫。心配しないで。私の友達で世話好きで春を売るのが天職のような娘(こ)がいるから今度紹介するわ」

「売春」と言うとあまりにストレートな響きですが、「春を売る」と言えば、少しマイルドに聞こえませんか?

「春を売る」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

次に「春を売る」の類義語を見ていきましょう。

「割り切り」

「春を売る」は、「妻」や「恋人」といった特定の関係が構築されていない不特定多数の人とお金という報酬を条件に性交することを意味します。同じような意味を持つ言葉でここ2、30年前から使われ始めた言葉に「割り切り」(わりきり)がありますね。

「割り切り」とは、過去でも現在でも、基本的な意味は「個人的な心情を交えることなく、原則に基づいて考え、結論をだしていくこと」ですが、最近では、「恋物語に発展することなく男女とも、お互いにセックスを目的として出会うこと、お金を払い受け取ることを当事者同士の契約として割りきって交際すること」が「割り切り」、あるいは「割り切った関係」と表現されるようになりました。

\次のページで「「春を売る」の対義語は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: