
端的に言えばイタチの最後っ屁の意味は「悪あがきをすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「イタチの最後っ屁」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル
某国立大で現代日本語学を専攻していた。現在は依頼があれば可能な限り何でも書く雑食系webライター。ストレス解消のため時折水族館へ行く。動物園も好きだが、近所にないのが残念。
「イタチの最後っ屁」の意味は?
「イタチの最後っ屁」には、次のような意味があります。
〔イタチは敵に追い詰められると悪臭を放って逃げることから〕
出典:大辞林 第三版(三省堂)「鼬の最後っ屁」
「イタチの最後っ屁」(いたちのさいごっぺ)とは、追い込まれたものが最終手段に訴えるという意味です。とっておきというよりは切羽詰まった時や苦し紛れに行うことで、嫌がらせという意味合いもあります。
「鼠」(ねずみ)と「由」を組み合わせて「鼬」。これで「いたち」という漢字です。なぜこの漢字になったのか調べましたが、由来などは不明でした。
実は鼠へんの漢字は案外多く、「鼠」+「吾」は「むささび」、「鼠」+「召」で「てん」などがあります。しかし、鼠へんの漢字を日常で見かけることはなく、PCやスマホでの漢字変換は容易ではありません。よって、イタチを「鼬」という漢字で表記することは、現代ではほぼなくなりました。以下、この記事でも「イタチ」で統一します。
「イタチの最後っ屁」の語源は?
次に「イタチの最後っ屁」の語源を確認しておきましょう。由来はズバリ、イタチの生態からきています。
イタチはネコ目イタチ科の動物です。大きさは30センチ、しっぽまで合わせると50センチほど。日本では沖縄を除く全国に、二ホンイタチとチョウセンイタチの2種類が生息しています。イタチはペットとして飼われるほどかわいいので、おとなしい動物だと考えてる人もいるのではないでしょうか。しかし、肉食の傾向が強い雑食性で、見た目と違い性格は凶暴です。
夜行性のため、深夜に屋根裏などに侵入して睡眠を妨げます。また、排泄物や生ごみを食い散らかすことによる衛生環境の悪化、ノミやダニの発生なども深刻な問題です。農作物や家畜の食害も報告され、準絶滅危惧種なのに駆除の対象にもなっているとはとてもやっかいですよね。
そして、イタチといえば、クサい臭いを出すことでも知られます。肛門の横には肛門腺と呼ばれる器官が左右2つあり、イタチやスカンクはそこから悪臭を放ち、敵がひるんだスキに逃げるのです。その行為を「イタチの最後っ屁」と呼ぶようになりました。
\次のページで「「イタチの最後っ屁」の使い方・例文」を解説!/