「手を染める」の使い方・例文
「手を染める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
・藍染職人として名を馳せていた彼だが、仕事がなく生活に困ったという背景から、犯罪に手を染めてしまった。
・煩悩を捨てるため修行僧として山に籠っていたが、そこで学んだ様々なことを活かすため、俗世間の生活に手を染めることになった。
・仕事柄、研究者として常に運動不足で不健康だったが、空手に手を染めて以来、肌色も良くなり裸足でも生活できるほど健康になった。
「何か物事を始める、着手する」という意味合いが伝わりますでしょうか。例文二番目のような使い方であれば、「関係を持つ、環境が変わる」というニュアンスも表現できるでしょう。
語源の項でも説明したように、この言葉の語源は「初め」が変化したものと考えられています。そのためもともとは「濃い色(悪いこと)に染まって、抜け出せない」という意味はなく、悪事に限定されないことが納得できるでしょう。多くの人が限定された意味で覚えていることがNHKのホームページにも掲載されるなど、よく取り上げられる話題です。試験でも出題される可能性が高いため、しっかり押さえてくださいね。
「手を染める」の類義語は?違いは?
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「手を染める」の類義語は先に述べたように「着手する」「手を付ける」がありますが、ここでは「口火(くちび)を切る」をご紹介します。
「口火を切る」
「口火を切る」は「物事を最初に始める、きっかけを作る」という意味の慣用表現です。「手を染める」も「物事を始める」という意味でしたが、こちらは「最初に」と動作の一番目であることに焦点が合っています。
例文で解説すると、「習い事を始めた(手を染めた)」という動作よりも、「彼が最初に習い始めた(口火を切った)」と、誰が最初にやったのかに注目される文章になるということ。違いを押さえておきましょう。ちなみに「口火」とは火縄銃に着火する火のこと。そのため攻撃的な印象も受ける言葉ですが、慣用句の意味自体には強い弱いのニュアンスは含まれていません。
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