この記事では「笛吹けども踊らず」について解説する。

端的に言えば「笛吹けども踊らず」の意味は「手を尽くして働きかけても人がそれに応じてくれないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

豊富な読書経験を持ち、詩人としても活動するくぼっちを呼んです。一緒に「笛吹けども踊らず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くぼっち

児童文学から精神世界、育児書まで幅広い読書経験を持ち、詩人としても活動中。その豊富な経験を生かし、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「笛吹けども踊らず」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 69165790

それでは早速「笛吹けども踊らず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ふえふけどもおどらず」です。

「笛吹けども踊らず」の意味は?

「笛吹けども踊らず」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味をご確認いただき、そこからさらに詳しく見ていきましょう。

《新約聖書「マタイ伝」11章から》手を尽くして働きかけても、人がそれに応じて動き出さないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「笛吹けども踊らず」

「笛吹けども」は、「手を尽くすこと、段取りを整えること、準備すること」などを例えています。「踊らず」は「相手が応じない、動かないこと」を例えた表現です。

ですから「笛吹けども踊らず」とは、手を尽くして働きかけても、人がそれに応じて動き出さないことのたとえという意味になります。

しかしこの言葉は、慣用句というより人気歌手の米津玄師さんの楽曲としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

米津玄師さんメジャー第1弾シングル「サンタマリア」に、米津さん作詞作曲の「笛吹けども踊らず」という楽曲が収録されています。米津玄師さんといえば代表曲「Lemon」のミュージックビデオが5.8億回再生と、圧倒的な再生回数を誇ることで有名な人気歌手。その米津玄師さんが曲名に使用されているわけですから、この慣用句は比較的馴染みのある言葉と言えるかもしれませんね。

「笛吹けども踊らず」の語源は?

image by PIXTA / 34517440

次に「笛吹けども踊らず」の語源を確認しておきましょう。辞書には《新約聖書「マタイ伝」11章から》とありますね。

新約聖書とは、紀元1世紀から2世紀にかけてキリスト教徒によって書かれたキリスト教の正典ですが、その中にイエス・キリストの誕生から処刑までの生涯、言葉や行い、復活に至る伝記が記された「福音書」が収められています。

「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」「ルカによる福音書」「ヨハネによる福音書」と4つの福音書があり、この中の「マタイによる福音書」が「マタイ伝」と呼ばれるものです。

そしてこの「マタイ伝」の11章に「僕たちは君たちのために笛を吹いたのに踊ってくれなかった。葬式の歌を歌ったのに、悲しんでくれなかった。」という記述があり、この言葉が「笛吹けども踊らず」の語源となっています。

ちなみに米津玄師さんの楽曲「笛吹けども踊らず」の歌詞の中に、聖書の言葉で賛美を意味する「ハレルヤ」という言葉が出てきますので、米津さんは「笛吹けども踊らず」の語源まで調べたうえで、歌詞に使われているのかもしれませんね。

\次のページで「「笛吹けども踊らず」の使い方・例文」を解説!/

「笛吹けども踊らず」の使い方・例文

「笛吹けども踊らず」の実際の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女と二人で初めての旅行。お気に入りのブルーのカバンに荷物を詰め込む。彼女の好きなアルバムとイヤホンを購入し完璧に準備完了。しかし旅行前日にそっぽを向いて去ってしまった。こんなひどい対応されるとは、まさに笛吹けども踊らずだ。

2.少年は、何か好きな子の気をひく方法はないかと、日々そんな思索に時間を費やしている。今日はソフトクリームとシャーベットを買って「きみはどっちがいい?」と話しかけて見たが、彼女はヘッドフォンをしたまま見向きもせず、あくびをしていた。笛吹けども踊らずとはこういう場合を言うのかと、少年は恋の終了を悟った。

1.2共に、相手のためにあれこれ手を尽くして準備を整えたのに、相手が応じてくれないという場面で使われています。

さんざん手を尽くして段取りしたのに、相手が応じてくれないというのは辛いものがありますね。

「笛吹けども踊らず」の類義語は?違いは?

次に「笛吹けども踊らず」の類義語を見ていきましょう。

「忘恩の徒」

「笛吹けども踊らず」の類義語には「忘恩の徒」があげられます。読み方は「ぼうおんのと」です。

「忘恩」とは「恩を忘れること」、「徒」とは「人、仲間」という意味ですから、「忘恩の徒」とは「お世話になった人に感謝もせず、恩を踏みにじるような人」を表します。

「笛吹けども踊らず」と似たような意味になりますが、「笛吹けども踊らず」が手を尽くした側の立場からの言葉であるのに対し、「忘恩の徒」は手を尽くしてもらった側の立場の言葉であるという違いがありますので注意が必要です。

\次のページで「「笛吹けども踊らず」の対義語は?」を解説!/

先輩から充分すぎる情報提供を受けていたにもかかわらず、全く商品開発に生かさず、逆に先輩を陥れるような言動をとるなんて忘恩の徒としか言いようがない。

「笛吹けども踊らず」の対義語は?

image by PIXTA / 61256322

次に「笛吹けども踊らず」の対義語を見ていきましょう。

「報恩謝徳」

「笛吹けども踊らず」の対義語には「報恩謝徳」はいかかでしょうか。読み方は「ほうおんしゃとく」です。

「報恩」は「めぐみに報いること、恩を返すこと」という意味で、「謝徳」は「めぐみに感謝する」という意味ですから、「報恩謝徳」は「受けた恩やめぐみに対して、感謝して報いること。」ということになります。「笛吹けども踊らず」が「手を尽くしても応じてくれない」に対して、「報恩謝徳」は「感謝して報いる」わけですから正反対の意味だと言えますね。

報恩謝徳の精神を忘れず、人から何かしてもらったら感謝を持って恩に報いよう。

「笛吹けども踊らず」の英訳は?

次に「笛吹けども踊らず」の英訳を見ていきましょう。

「We have piped unto you,and ye have not danced.」

新約聖書マタイ伝11章に「We have piped unto you,and ye have not danced.」とあります。

「私たちが笛を吹いたのに、あなたたちは踊ってくれなかった。」という意味で、「笛吹けども踊らず」の語源になっている記述です。

\次のページで「「笛吹けども踊らず」を使いこなそう」を解説!/

「笛吹けども踊らず」を使いこなそう

この記事では「笛吹けども踊らず」の意味・使い方・類語などを説明しました。米津玄師さんの楽曲として知る人も多い慣用句だと思いますので、手を尽くして働きかけても相手が応じてくれない時は、ぜひこの「笛吹けども踊らず」を使って見てはいかがでしょうか。

" /> 【慣用句】「笛吹けども踊らず」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「笛吹けども踊らず」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「笛吹けども踊らず」について解説する。

端的に言えば「笛吹けども踊らず」の意味は「手を尽くして働きかけても人がそれに応じてくれないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

豊富な読書経験を持ち、詩人としても活動するくぼっちを呼んです。一緒に「笛吹けども踊らず」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/くぼっち

児童文学から精神世界、育児書まで幅広い読書経験を持ち、詩人としても活動中。その豊富な経験を生かし、難解な言葉をわかりやすく解説していく。

「笛吹けども踊らず」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 69165790

それでは早速「笛吹けども踊らず」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「ふえふけどもおどらず」です。

「笛吹けども踊らず」の意味は?

「笛吹けども踊らず」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味をご確認いただき、そこからさらに詳しく見ていきましょう。

《新約聖書「マタイ伝」11章から》手を尽くして働きかけても、人がそれに応じて動き出さないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「笛吹けども踊らず」

「笛吹けども」は、「手を尽くすこと、段取りを整えること、準備すること」などを例えています。「踊らず」は「相手が応じない、動かないこと」を例えた表現です。

ですから「笛吹けども踊らず」とは、手を尽くして働きかけても、人がそれに応じて動き出さないことのたとえという意味になります。

しかしこの言葉は、慣用句というより人気歌手の米津玄師さんの楽曲としてご存知の方も多いのではないでしょうか。

米津玄師さんメジャー第1弾シングル「サンタマリア」に、米津さん作詞作曲の「笛吹けども踊らず」という楽曲が収録されています。米津玄師さんといえば代表曲「Lemon」のミュージックビデオが5.8億回再生と、圧倒的な再生回数を誇ることで有名な人気歌手。その米津玄師さんが曲名に使用されているわけですから、この慣用句は比較的馴染みのある言葉と言えるかもしれませんね。

「笛吹けども踊らず」の語源は?

image by PIXTA / 34517440

次に「笛吹けども踊らず」の語源を確認しておきましょう。辞書には《新約聖書「マタイ伝」11章から》とありますね。

新約聖書とは、紀元1世紀から2世紀にかけてキリスト教徒によって書かれたキリスト教の正典ですが、その中にイエス・キリストの誕生から処刑までの生涯、言葉や行い、復活に至る伝記が記された「福音書」が収められています。

「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」「ルカによる福音書」「ヨハネによる福音書」と4つの福音書があり、この中の「マタイによる福音書」が「マタイ伝」と呼ばれるものです。

そしてこの「マタイ伝」の11章に「僕たちは君たちのために笛を吹いたのに踊ってくれなかった。葬式の歌を歌ったのに、悲しんでくれなかった。」という記述があり、この言葉が「笛吹けども踊らず」の語源となっています。

ちなみに米津玄師さんの楽曲「笛吹けども踊らず」の歌詞の中に、聖書の言葉で賛美を意味する「ハレルヤ」という言葉が出てきますので、米津さんは「笛吹けども踊らず」の語源まで調べたうえで、歌詞に使われているのかもしれませんね。

\次のページで「「笛吹けども踊らず」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: