端的に言えば、如何に、の意味は「どのように」「どれほど」です。現代文ではあまり見かけないかもしれないが、英語の「how」のようにいろいろな使い方がある。万葉集の頃にはすでに使われていた古語ですが、意味をきちんと理解すれば使いこなせるようになるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「如何に」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「如何に」の意味・使い方
image by iStockphoto
「如何に」は少し古風な表現で、あまりなじみがない言葉ですね。意味や使い方といわれてもあまりピンとこないかもしれませんが、英語の「how」をイメージするとわかりやすいですよ。
「如何に」の意味
まず、国語辞典で「如何に」の意味をチェックしましょう。意外にたくさんの意味がありますよ。ちなみに「how」には「どのように」「どのような」「どれほど」「どうして」などの意味がありますので比べてみてください。
[副]
1 状態などについての疑問を表す。どのように。どんなふうに。
2 程度などについて推量する気持ちを表す。どれほど。どんなに。
3 (あとに「ても」などの語を伴って)逆接の意味を強める。どんなに。
4 原因・理由などについての疑問を表す。なぜ。どうして。
5 反語を表す。どうして…か。
[感]人に呼びかけるときに用いる語。おい。もしもし。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「如何に」
1は物事の状態や様子についての疑問を問いかけること。「彼の運命や如何に」というように「どのように」「どんなふうに」という意味で使います。2は程度などを推し量ること。「如何に大きな打撃をうけたか」というように「どれほど」「どんなに」という意味で使います。
3は「如何に~ても」という語形で逆説の意味を強めていますよ。「如何に辛くても耐え忍ぶ」というように「どんなに~でも」という意味で使います。4は原因や理由についての疑問。「なぜ」「どうして」という詰問ですね。5は「どうして~か」という反語の表現です。
また「おい」「もしもし」のように、呼びかけの言葉としても使われます。「how」が方法、状態、程度、理由を質問する言葉であるように、「如何に」も状態をたずねたり、程度を推量したりするときに使う言葉ですよ。
「如何に」の使い方
次は例文で「如何に」の使い方を見ていきましょう。「如何に」は形容動詞「いかなり」の連用形を副詞的に用いています。ここでは「如何に」と漢字で表記していますが、通常はひながなで「いかに」と表記したほうがよいでしょう。
1.ノーベル賞のパロディであるイグノーベル賞では、毎年さまざまな分野の研究が選ばれているが、授賞式の講演では如何に聴衆から笑いを取るかが重要だ。
2.物理の基礎研究は、すぐに結果が出ない。財政状態の厳しい大学で、教授が如何に予算獲得に苦戦しているか、わかる気がする。
\次のページで「『万葉集』のなかの「如何に」」を解説!/