
端的に言えば指をくわえるの意味は「うらやましがること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
今回は日本語学を中心とし、文学・語学を専門的に学んでいるライターのイオリを呼んです。一緒に「指をくわえる」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/イオリ
日本語学を専門に学び、趣味は読書と小説執筆という日本語漬けの毎日を送るライター。日本語オタクとして言葉の意味や内容、その面白さを丁寧に解説していく。
「指をくわえる」の意味は?
「指をくわえる」には、次のような意味があります。
1.うらやましがりながら、手を出せずにいる。
2.きまり悪そうにする。恥ずかしそうにする。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「指をくわえる」
日常生活で実際に指をくわえる機会はあまりないですが、アニメや漫画などで登場人物がそうしているシーンなら見たことがある人もいるかもしれませんね。この「指をくわえる」には、二つの意味があります。
まず一つ目は「うらやましいものの手を出せずにいること」。アニメや漫画なども含め、よく目にするのはこちらの意味の方でしょう。小さい子がそばにあるおもちゃを買ってほしそうに「指をくわえて」見つめている……そんなシーンが思い浮かぶ人もいるでしょうか。
そして二つ目は「きまり悪そうにする」という意味。こちらはあまり使われない用法であり、現代では特に「指をくわえる」と言えば一つ目の意味を指すことがほとんどです。とはいえこちらも覚えておいて損はないので、押さえておくようにしましょう。
「指をくわえる」の語源は?
次に「指をくわえる」の語源を確認しておきましょう。
ここで言う「指」とは、人差し指のことだと考えてください。正確に決まりがあるわけではないですが、広く認識されているのは人差し指の先をくわえているようなイメージです。
そして気になるのは、なぜ「指をくわえる」という言葉で「うらましいものの手が出せない」という意味を表すようになったのか、という点ですね。これは人が何かを食べているのを見てうらやましく思うものの、自分は何も持っていないため代わりに自分の指をくわえるというような行為が語源だとされています。もちろんそれで指を食べてしまえるわけではないですが、それで口さみしさを紛らわせたいという意思はわかりますよね。赤ちゃんがおしゃぶりの代わりに自分の指をくわえたり吸ったりすることとも、関連性があるかもしれません。
現代ではお腹がすいていても実際に指をくわえる機会はありませんが、そういった行為が言葉の意味そのものとなり、「うらやましいものの手は出せない」という状態を表す慣用句として広く知られるようになったのですね。
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