この記事では「起きて半畳、寝て一畳」について解説する。
端的に言えば「起きて半畳、寝て一畳」の意味は「富貴を望まず、満足を知ることが大切」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。読書好き現役看護師のT.Minamotoを呼んです。一緒に「起きて半畳、寝て一畳」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/T.MINAMOTO

現役看護師として働きながら趣味の読書にて知識を蓄えている。そのため漢字や慣用句の出典などの知識を有する。

「起きて半畳、寝て一畳」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 44141943

それでは早速「起きて半畳、寝て一畳」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

[起きて半畳 寝て一畳」の意味は?

「起きて半畳 寝て一畳」には、次のような意味があります。

人間一人が必要な広さは、半畳か一畳である。富貴を望まず満足を知ることが大切であるということ。

出典:大辞林 第四版(三省堂)「起きて半畳、寝て一畳」

畳一畳のサイズは3尺×6尺(910㎜×1820㎜)が基本です。人間一人が起きているときは半畳なので3尺×3尺(910㎜×910㎜)ですね。現代人は江戸時代と比べて身体のサイズが大きくなっているとおもいますので、起きているときはともかく寝て一畳では少し窮屈かもしれませんね。

この言葉は何も身体のサイズのことだけを言っているのではありません。この言葉の後に続けて「天下とっても二合半」と続く場合もあります。天下を取ったからと言って食べられるごはんの量が増えることはありません。自分が食べられる量を超えた米を得たところで食べられなければ、余った米は捨てることになります。たかだか一個人が持てるものには限りがあるのだから、欲張らずにほどほどにするのが良いと戒められているような印象を受けますね。

「起きて半畳、寝て一畳」の語源は?

次に「起きて半畳、寝て一畳」の語源を確認しておきましょう。

この言葉の由来は諸説ありはっきりしていませんが、諺苑(げんえん)が初出とされています。諺苑は江戸時代の国語辞典であり、俗語や俗諺(ことわざのこと)を集めて意味や出典を載せたものです。これを増補したものを俚言集覧(りげんしゅうらん)と言います。どちらも太田全斎の著であり諺苑は寛政9年(1797年)成立、俚諺集覧は成立年未詳です。

\次のページで「「起きて半畳、寝て一畳」の使い方・例文」を解説!/

「起きて半畳、寝て一畳」の使い方・例文

image by PIXTA / 62676970

「起きて半畳、寝て一畳」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.豪邸に一度は住んでみたいと思うけれど、起きて半畳寝て一畳っていうし、それは夢のままにしておこう。
2.人間なんて起きて半畳寝て一畳で十分なんだから、そんなに大きな子供部屋なんかいらないよ。
3.起きて半畳寝て一畳、天下とっても二合半っていうんだから、食べ放題なのをいいことに食いすぎるなよ。

例題はいずれも現状ではなんの問題もないのです。例題1の「住んでみたい」という夢は、夢のままでは何の問題にもなりません。これがもし「豪邸に住みたいから消費者金融からもお金借りて買っちゃおう」なんてことになったらどうなるか、想像は難しくないと思います。

例題2も同じようなものです。子供も成長しますので、それに合わせて部屋がどんどん狭くなっていくと感じるかもしれません。でも子供のうちは最低限必要なのは勉強机と棚、寝るスペースくらいのものです。寝て一畳、勉強机と棚でもう一畳、通路とタンスで一畳と単純に考えて三畳もあれば十分。

少し毛色が違うのが例題3です。食べ放題なのですから、好きなだけ食べられます。どんどん注文できますが、全てを同じように美味しく食べれるわけではありませんね。最初のうちは楽しくおいしく食べられると思います。しかしだんだん満腹に近づくと最初程の楽しみはありません。それでも最初と同じペースで注文を続けるとどうなうでしょうか。満腹になれば運ばれた料理は食べられないですし、それは破棄しないといけません。

そうなると楽しくもないですし、注文しすぎて余った料理を見てもおいしそうとは思わないでしょう。よく言われる腹八分目でやめていれば、お腹も満たされておいしく食事を終われたことでしょう。そういう意味でも足るを知ることは大切なのです。

「起きて半畳、寝て一畳」の類義語は?

ここでは「起きて半畳、寝て一畳」の類義語を紹介します。ちなみに「起きて三尺、寝て六尺」という言葉もあるのですが、畳のサイズを「畳」ではなく「尺」に言い換えているだけなので省きました。

「千畳敷に寝ても畳一枚」

「せんじょうじきにねてもたたみいちまい」と読みます。千畳もの広さの場所に寝ても、人は結局のところ一枚の畳しか必要としないということから、人ひとりが必要とするものには限りがあるから、無駄に欲をかくべきではないという意味です。

\次のページで「「千石万石も米五合」」を解説!/

「千石万石も米五合」

「せんごくまんごくもこめごごう」と読みます。千石や万石の俸禄をもらっている人でも一日に食べる米の量は五合だということから、必要な時に必要なものがあればいいということです。 俸禄は給与のことで、千石や万石は給与の額になります。石「こく」は米の量のことで、米は当時給与として支払われていました。調べてみると江戸時代の間でも米の価格には変動があるようで一概に何円とは言えませんが、大まかに言って千石=数千万円となるようです。

「起きて半畳、寝て一畳」の対義語は?

image by PIXTA / 58206376

さて、この言葉の対義語は何でしょうか。

実は辞書などを調べてもらえばわかるかと思いますが、対義語は出てきません。そこで参考までに「起きて半畳、寝て一畳」の意味から、私が対義語だと思うものを紹介し説明したいと思います。

「贅を尽くす」

「起きて半畳、寝て一畳」が富貴を望まない、満足を知るということは、贅沢(ぜいたく)をしないということだとも解釈できます。富貴を望み、満足をしないから贅沢するし無駄遣いをするのでしょう。そう考えると、この言葉は妥当だと言えそうです。「贅沢の限りをつくす」「贅沢を極める」もこの言葉と同様と考えてもらっても構いません。

「起きて半畳、寝て一畳」を使いこなそう

この記事では「起きて半畳、寝て一畳」の意味・使い方・類語などを説明しました。

老子には「足(た)るを知れば辱められず」「足るを知る者は富む」という言葉があります。足るを知るとは、満足することを知るということです。満足を知らないと、「あれもこれも欲しい」と自分の欲を抑えられなくなり、際限なく追求しなくてはなりません。満足することを知ればたとえ金銭的には恵まれなくても欲は満たされるのです。

ここまで読まれた方は、満足を知ることの大切さを知ることができたのではないかと思います。普段の生活でも必要不要を意識すると少しはこころが満たされるかもしれませんね。

" /> 「起きて半畳、寝て一畳」の意味や使い方は?例文や類語を読書好き現役看護師がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「起きて半畳、寝て一畳」の意味や使い方は?例文や類語を読書好き現役看護師がわかりやすく解説!

この記事では「起きて半畳、寝て一畳」について解説する。
端的に言えば「起きて半畳、寝て一畳」の意味は「富貴を望まず、満足を知ることが大切」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。読書好き現役看護師のT.Minamotoを呼んです。一緒に「起きて半畳、寝て一畳」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/T.MINAMOTO

現役看護師として働きながら趣味の読書にて知識を蓄えている。そのため漢字や慣用句の出典などの知識を有する。

「起きて半畳、寝て一畳」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 44141943

それでは早速「起きて半畳、寝て一畳」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

[起きて半畳 寝て一畳」の意味は?

「起きて半畳 寝て一畳」には、次のような意味があります。

人間一人が必要な広さは、半畳か一畳である。富貴を望まず満足を知ることが大切であるということ。

出典:大辞林 第四版(三省堂)「起きて半畳、寝て一畳」

畳一畳のサイズは3尺×6尺(910㎜×1820㎜)が基本です。人間一人が起きているときは半畳なので3尺×3尺(910㎜×910㎜)ですね。現代人は江戸時代と比べて身体のサイズが大きくなっているとおもいますので、起きているときはともかく寝て一畳では少し窮屈かもしれませんね。

この言葉は何も身体のサイズのことだけを言っているのではありません。この言葉の後に続けて「天下とっても二合半」と続く場合もあります。天下を取ったからと言って食べられるごはんの量が増えることはありません。自分が食べられる量を超えた米を得たところで食べられなければ、余った米は捨てることになります。たかだか一個人が持てるものには限りがあるのだから、欲張らずにほどほどにするのが良いと戒められているような印象を受けますね。

「起きて半畳、寝て一畳」の語源は?

次に「起きて半畳、寝て一畳」の語源を確認しておきましょう。

この言葉の由来は諸説ありはっきりしていませんが、諺苑(げんえん)が初出とされています。諺苑は江戸時代の国語辞典であり、俗語や俗諺(ことわざのこと)を集めて意味や出典を載せたものです。これを増補したものを俚言集覧(りげんしゅうらん)と言います。どちらも太田全斎の著であり諺苑は寛政9年(1797年)成立、俚諺集覧は成立年未詳です。

\次のページで「「起きて半畳、寝て一畳」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: