この記事では「横になる」について解説する。

端的に言えば横になるの意味は「寝て休むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたから雑学にも詳しい。一緒に「横になる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で現代日本語学を専攻。「たまには布団で横になりたい」と言えるほどの売れっ子ライターになるのを目標にしている。なお、連続稼働時間は24時間が限界。もう若くはない。

「横になる」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「横になる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「横になる」の意味は?

「横になる」には、次のような意味があります。誰もが知っている言葉ですが、改めて確認しましょう。

体を横たえる。寝て休む。横たわる。 「少し-・ったらすっきりした」

出典:大辞林 第三版(三省堂)「横にな・る」

自分の体を横の体勢にして休む、という意味です。体勢を変えることはもちろん、体を休めることにも意味が込められています。

横になりたいときは柔らかい場所、できればベッドや布団の上、少なくともソファーや畳の上がいいですよね。最近では、デスクワーク中心のオフィスでも、仮眠室などを設けて「横になる」ことができる所もあります。パソコンの画面を長時間見続けて多くの考え事をした後は休息を充分にとり、作業効率を高めようというわけです。

「横になる」の語源は?

次に「横になる」の語源を確認しておきましょう。

当然といえば当然ですが、「体を横にして寝る」が語源となっています。立っていた体の向きを横にするということです。想像通りでおもしろくないでしょうか。

「横になる」が語源の言葉もあります。介護の世界では「臥床」(がしょう)という言葉があり、意味は「(ベッドなどに)寝ること、または寝た状態」です。そして語源ですが、「」は「横になる寝る」、「」は「(ベッドなどの)寝床」を表します。

そして、寝るときの体勢にそれぞれ名前がありますので、こちらも紹介しましょう。あおむけに寝るのが「仰臥位」(ぎょうがい)、うつぶせに寝るのは「腹臥位」(ふくがい)、そして横向きに寝るのは「側臥位」(そくがい)などと言います。

私も少し介護や福祉を学んだことがあり、身体介助の方法などを実践練習しましたが、体の機能が低下した利用者の体の向きを変えるのは意外と大変です。力に多少自信がありますが、足腰に負担がかかり、毎日実際にそれを行っている施設の方はえらいなと感じました。

\次のページで「「横になる」の使い方・例文」を解説!/

「横になる」の使い方・例文

「横になる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.現場から戻った作業員がそそくさと昼食を済ませ、定時が来るまで横になる。
2.洋平くん、具合が悪いようならいったん練習をやめて、そこで横になったほうがいいよ。
3.休日の家族サービスが終わった父はようやく運転席から解放されて、家に帰るやいなや横になった。

3つの例文から想像がつくかと思いますが、しっかり睡眠をとるというよりは、寝転がって休むという状況を表しています。ただ、3で登場したお父さんは、その後すぐに眠ってしまったかもしれません。

それはともかく、「横になる」では休む体勢になることが重要です。横になったその先については問いません。

「横になる」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「横になる」の類義語は「横たわる」「寝転がる」「ごろ寝する」などいろいろと考えられますが、今回は「寝そべる」を取り上げます。

「寝そべる」

\次のページで「「横になる」の対義語は?」を解説!/

ごろっと腹ばいになったり横になったりする。 「 - ・ってテレビを見る」

引用:大辞林 第三版(三省堂)「寝そべ・る」

「寝そべる」を辞書で引いてみると、「横になったり~」と書いてありました。余計にまぎらわしいので、整理して説明します。

「寝そべる」も、寝るときの体勢になるという意味です。しかし、「横になる」がちょっと休むというニュアンスを含むのに比べ、「寝そべる」はそのまま眠ってもいいような状況で使われるという違いがあります。ちょっとした違いですが、「横になる」の方が一時的なものであることに留意しましょう。

ところで、「寝そべる」という言葉ですが、「寝る」と「そべる」を合わせた言葉です。「そべる」にも、同じく「寝る、横になる」という意味があります。「そべる」単独でも1つの動詞ですが、今では「寝る」と合わせた「寝そべる」という複合動詞として使われるようになりました。

「横になる」の対義語は?

「横になる」の対義語として「おっ立つ」を説明していきます。ところで「おっ」とは何か気になりませんか?一緒に注目していきましょう。

「おっ立つ」

「横になる」の対義語は、「起き上がる」「立ち上がる」「おっ立つ」「起立」「立っち」などがあります。このうち「立っち」が「立つ」の幼児語なのは想像つきますよね。では、「おっ立つ」の「おっ」とは何でしょうか。

「おっ立つ」を検索すると、「おっ」単独で辞書に登録されていました。以下紹介します。

( 接頭 )

〔動詞「押す」の連用形「押し」の転〕

主として動詞に付いて、語調・意味を強める。勢いよく…する、いきなり…する、などの意を表す。 「 -ぱじめる」 「 -ぴろげる」

出典:大辞林 第三版(三省堂)「おっ」

「おっ立つ」は、「押っ立つ」とも表記できます。「おっ」は動詞の前に付いて意味を強調させる接頭語です。つまり、「スッと立つ」というよりは、「さあ立ち上がるぞ」という意味合いに変化します。

\次のページで「「横になる」の英訳は?」を解説!/

「横になる」の英訳は?

image by iStockphoto

さらに、「横になる」の英訳も見ていきましょう。

「lie」「lie down」

lie」1語でも、「横になる」という意味の単語です。「lie down」は、横になったことをさらに強調しています。前述した「寝そべる」と同じ仕組みとなり、日本語と英語が似ているのはおもしろいですよね。

「lie down」と単語を2つ並べる理由は他にもあります。それは、「lie」という動詞は「横になる」という意味のものだけではありません。「嘘をつく」という意味の動詞も「lie」なのです。

「横になる」の「lie」も、「噓をつく」の「lie」も、発音はカタカナで表すと同じ「ライ」で、発音記号で書いても同じ。音で聞いただけでは判別できません。紛らわしさを解消するために、「横になる」の方を「lie down」としているのです。

では、2つの単語は同じものかといえば、そうではありません。「横になる」の「lie」は過去形が「lay」で過去分詞形が「lain」、「噓をつく」の「lie」は過去形と過去分詞形が同じ「lied」と違います。ややこしいですよね。

ちなみに「lie」には、「嘘」という名詞形があります。「tell a lie」で「噓をつく」と表現することができ、今ではこちらの方を目にすることが多くなりました。

「横になる」を使いこなそう

この記事では「横になる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「横になる」とは、寝転がってひと時休むという意味です。人生は長いですから、少しはそんなことがあってもいいですよね。

ただし、毎日の充分な睡眠は欠かせません。あなた様には毎日の「グッドスリープ」を心掛けて、「ぐっすり」と眠っていただきたいものです。

" /> 【慣用句】「横になる」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説! – ページ 2 – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「横になる」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

「横になる」の使い方・例文

「横になる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.現場から戻った作業員がそそくさと昼食を済ませ、定時が来るまで横になる。
2.洋平くん、具合が悪いようならいったん練習をやめて、そこで横になったほうがいいよ。
3.休日の家族サービスが終わった父はようやく運転席から解放されて、家に帰るやいなや横になった。

3つの例文から想像がつくかと思いますが、しっかり睡眠をとるというよりは、寝転がって休むという状況を表しています。ただ、3で登場したお父さんは、その後すぐに眠ってしまったかもしれません。

それはともかく、「横になる」では休む体勢になることが重要です。横になったその先については問いません。

「横になる」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「横になる」の類義語は「横たわる」「寝転がる」「ごろ寝する」などいろいろと考えられますが、今回は「寝そべる」を取り上げます。

\次のページで「「横になる」の対義語は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: