
めったに世に現れないほどすぐれていること
出典:デジタル大辞泉(小学館)
この言葉は、漢字それぞれの意味を見ていくと成り立ちが分かりやすいですね。「世」に「出」ることがない(「不」)ほど優秀だ、というのがすぐに見て取れます。
元々の意味は単純に「並ぶ者がいないほど優れている」ことを表していました。これは「絶世の」や「超絶」とも通じるニュアンス。
ただ、最近は優れた才能がありながら世間に認められずに終わった人のことを「不世出の天才」のように表現することもあるようです。誤用と考える立場もあるようですが、卓越した才能があることには変わりはないので一概に断じられないようにも感じます。
これは「出る」を「めったに出てこない」のほうに捉えるか、「出ないまま終わった」と捉えるかの違いといってもいいでしょう。
・レオナルド・ダヴィンチは不世出の画家だ。
・昔から優秀だった同級生は、今では不世出のドクターと異名を取るらしい。
「未曾有」
「未曾有」も「未だ(いまだ)」「曾て(かつて)」「有らず(あらず)」という成り立ちのとおり、めったにない事態を表します。
「みぞう」と読むのが一般的ですが、古くは「みぞうう」という読み方もありました。余談ですがその昔、某有名な政治家が「みぞうゆう」と読んで世間の失笑を買ったことがあるのはご存知でしょうか。筆者は「みぞうう」という古い読み方もどこかで聞いたことがあったので、「この人の読み間違いや失言の中では大したことないレベルかも」と思ったものです。
・今年は未曽有といえる規模の災害が多発した。
・未曽有の事態でパニックになったお客様に、責任を持った対応をして高く評価された。
「後にも先にも」の対義語は?
では、「後にも先にも」の対義語といえる表現を見ていきましょう。
「月並みな」
「後にも先にも」は珍しさを強調する表現なので、対義語といえるのは全く珍しくない様子を表す「月並みな」がいいでしょう。
もちろん「平凡な」、「ありきたり」なども同じように使えますね。もう少し慣用句らしい言葉を使いたい場合は、「十人並み」や「取るに足らない」、さらに「有象無象」という言葉も。ただしこれらの言葉は、単に珍しくないというだけではなく、「ありふれていてつまらない、くだらない」といったニュアンスも含まれます。自分以外の人や物について表現するときは、不必要に過激な悪口とならないように気をつけましょう。