この記事では「体を張る」について解説する。

端的に言えば体を張るの意味は「命がけで行動すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「体を張る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「体を張る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「体を張る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「からだをはる」です。

「体を張る」の意味は?

「体を張る」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典にかかれている内容を確認してから、詳しい意味までチェックしていきましょう。

1.命懸けで事に当たる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「体を張る」

辞書の意味にあったように、一身をなげうってでもという想いで行動するという意味です。「たった一つしかない自分の身に何があっても構わない」という決意やこだわりなどの存在が原動力になっています。

また、その決意やこだわりは自分一人のためというよりも、別の人のためであったり、チームなど自分を含む複数のためであったりということもありますよ。自分以外の人のために命懸けになるということにより、表現としては強調されます。

「体を張る」の語源は?

次に「体を張る」の語源を確認しておきましょう。

「体を張る」の由来は、「張る」の意味合いと深く関連します。「張る」の物理的な意味に「大きく広がる」「はちきれそうになる」「突き出している」などがありますが、この場合は精神的な意味としての「張る」がポイントです。

精神的な意味合いの「張る」には、「決意する」「覚悟する」「一度決めたら貫き通す」といったニュアンスが含まれています。何物にも代えがたい自らの肉体を投げ出してでも、決意したことをやり遂げたいということにつながっていますよ。

\次のページで「「体を張る」の使い方・例文」を解説!/

「体を張る」の使い方・例文

「体を張る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.産業が衰退しないよう、体を張って開発をすすめ重点品目の増加にこぎつけた。

2.現在の状態で四半期の収支が前年以上の増益となるはずはないので、不正が表出する前に体を張ってでも止めなければならない。

3.この事業で国際規格を満たす商品を製造できれば数百万台の売り上げ増加が見込まれるので、会社の危機を救うためにも体を張り続けるつもりだ。

いずれの例文も、実際に命の危険や身体的に傷を負うわけではありませんが、自己の利益ではなく集団の一員として覚悟を決めて行動するようすが書かれています。

例文の1.や3.では、本来の業務以上の仕事量となることがわかっていながらも、苦労をいとわないようなニュアンスが伝わりますね。例文2.のほうは、真実を見出すという目的から他の社員との摩擦も想定されるので、嫌われ役となる可能性もある場面です。そのため、業務量よりも精神的な苦労を覚悟の上で取り組もうという決意が感じられます。

「体を張る」の類義語は?違いは?

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それでは、「体を張る」の類義語についての説明です。命懸けで行動をするという意味合いに近い表現について、一緒に見ていきましょう。

「骨身を惜しまず」

「体を張る」の類義語には、「骨身を惜しまず(ほねみをおしまず)」があります。意味は、苦労や面倒を嫌がらず行動することです。「骨身」とは、体そのもののことを表すほか、体を使った言動や心身をこめた働きのことも表します。

「体を張る」には何らかの目的のために決意を伴うニュアンスがありますが、「骨身を惜しまず」のほうは決意の有無に関係なく苦労することや面倒なことにも向き合って取り組むというニュアンスがありますよ。

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「矢面に立つ」

もう一つの類義語には、「矢面に立つ(やおもてにたつ)」があります。質問や非難、攻撃などが集中する立場に身をおくという意味です。「矢面」とは、戦において矢が飛んでくる正面のことで、大変危険であり大変なポジションであるということを表しています。

「体を張る」が自らが考えたことを実行する場合も含むことと比較すると、「矢面に立つ」のほうは基本的に受け身の状況でのみ使われるところに違いがありますよ。

「体を張る」の対義語は?

次に、「体を張る」の対義語についての説明です。命懸けでの行動に対する意味合いの2つの慣用句について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

「お茶を濁す」

「体を張る」の対義語には、「お茶を濁す(おちゃをにごす)」があります。意味は、表面だけ取り繕ってその場をごまかすということです。この言葉は、お茶のことをよく知らない人が適当にかき混ぜてそれらしく見せようとしたことがもとになっています。

最初から「ごまかそう」「うまく取り繕おう」という気持ちによる行動のことなので、逃げ腰で物ごとにあたる場合によく使われる表現です。

「通り一遍」

もう一つの対義語には、「通り一遍(とおりいっぺん)」があります。うわべだけで誠意が見られないようすという意味です。もとの意味は、ちょっと立ち寄った馴染みではない客のことを表しています。そこから、気持ちがこもらず形式的な対応であることにつながっていますよ。

覚悟や決意がみなぎる「体を張る」に対して、「通り一遍」は気持ちが入らず形式的な言動であるということなので、対義語となりますね。

「体を張る」の英訳は?

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最後に、「体を張る」の英訳についての説明です。言語の違いから日本語の表現とは違いはありますが、キーワードとなる単語を使った似た意味の英語表現を一緒に見ていきましょう。

「risk one's life」

「体を張る」の英訳には、「risk one's life」があります。直訳すると「自分の命を危険にさらす」です。「risk」は名詞もありますが、ここでは動詞として「…を危険にさらす、…の危険を冒す、…を覚悟でやる」といった意味で使っています。

その他、「lay one's life on the line」という表現もあり、直訳すると「(生死の)境界線上に命を預ける」です。また、「体を張って」という副詞的な表現をする場合は、「at the risk of one's own life」という言い方もありますよ。

\次のページで「「体を張る」を使いこなそう」を解説!/

「体を張る」を使いこなそう

今回の記事では「体を張る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「体を張る」の基本の意味は、命懸けで事にあたるということです。この慣用句は、受け身の意味合いとして何かから守る場合にも使いますが、守りの場面でなくとも覚悟してやり遂げる場合にも使うことができます。

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国語言葉の意味

【慣用句】「体を張る」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「体を張る」について解説する。

端的に言えば体を張るの意味は「命がけで行動すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「体を張る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「体を張る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「体を張る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「からだをはる」です。

「体を張る」の意味は?

「体を張る」には、次のような意味があります。まずは、国語辞典にかかれている内容を確認してから、詳しい意味までチェックしていきましょう。

1.命懸けで事に当たる。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「体を張る」

辞書の意味にあったように、一身をなげうってでもという想いで行動するという意味です。「たった一つしかない自分の身に何があっても構わない」という決意やこだわりなどの存在が原動力になっています。

また、その決意やこだわりは自分一人のためというよりも、別の人のためであったり、チームなど自分を含む複数のためであったりということもありますよ。自分以外の人のために命懸けになるということにより、表現としては強調されます。

「体を張る」の語源は?

次に「体を張る」の語源を確認しておきましょう。

「体を張る」の由来は、「張る」の意味合いと深く関連します。「張る」の物理的な意味に「大きく広がる」「はちきれそうになる」「突き出している」などがありますが、この場合は精神的な意味としての「張る」がポイントです。

精神的な意味合いの「張る」には、「決意する」「覚悟する」「一度決めたら貫き通す」といったニュアンスが含まれています。何物にも代えがたい自らの肉体を投げ出してでも、決意したことをやり遂げたいということにつながっていますよ。

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