3分で簡単金属樹!不思議な現象が生じる理由を理系学生ライターが徹底わかりやすく解説!
金属樹ができるメカニズムを考察しよう!
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ここまで、銀樹・銅樹・鉛樹のつくる実験の方法を紹介してきました。ですが、ある金属イオンを含む水溶液に別の金属を挿入するだけで、針状結晶が次々と生じて金属樹が生じるという不思議な現象はなぜ起こるのでしょうか?
この章では、この疑問を化学の視点から、解明していきます。以下を読むと、金属樹が生じるメカニズムを本質的に理解できますよ!
水溶液と挿入する金属の組み合わせ
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先ほど紹介した実験方法に共通しているのは、金属イオンが溶解している水溶液に、別の単体金属を挿入しているという点です。ですが、この条件を満たすだけでは、金属樹はつくることができません。例えば、硫酸銅水溶液に銀板を挿入した場合は、特に反応は起こらないのです。
つまり、水溶液に溶解している金属イオンと挿入する金属の間には、相性のようなものがあるということですね。この相性は、何によって決まるのかを考えると、金属樹が生じるメカニズムが理解できるのです。
イオン化傾向
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水溶液に溶解している金属イオンと挿入する金属の間にある相性のようなものは、イオン化傾向という指標によって決定されます。イオン化傾向は、ある原子のイオン化のしやすさを表していますよ。つまり、イオン化傾向が大きいほどイオンになりやすく、イオン化傾向が小さいほどイオンになりにくいのです。
以上のことから、水溶液に溶解している金属イオンよりもイオン化傾向が大きい金属を挿入すれば、溶解しているイオン化傾向の小さい金属イオンが単体の結晶になって析出することがわかります。これが金属樹が生じる条件なのです。
ちなみに、主要な金属原子のイオン化傾向は、大きい順に「リチウム・カリウム・カルシウム・ナトリウム・マグネシウム・アルミニウム・亜鉛・鉄・ニッケル・スズ・鉛・銅・水銀・銀・白金・金」となっていますよ。
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