今回は「実像」と「虚像」について解説していきます。

実像と虚像は、光学を学ぶと登場する用語です。とくに、レンズの実験における実像と虚像が有名です。いずれも、中学校や高校の理科の教科書にも掲載されているな。この記事では、実像と虚像の違いを実験方法の紹介を通して徹底解説します。ぜひ、この機会に実像と虚像についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

レンズについて学ぼう!

image by iStockphoto

実像と虚像の違いについて学ぶ前に、レンズについて理解を深めておきましょう。ここでは、レンズとは何かレンズの種類レンズの性質の3点を説明します。これらは光学の基礎的な内容であり、実像と虚像について理解するためには、必要不可欠なものとなりますよ。

多くの用語が登場しますが、丸暗記するのではなく、しくみを理解することが重要です。具体例なども交えて説明するので、光学が苦手だという方も、直感的に理解できるかと思います。それでは、レンズについての解説をはじめていきますね。

レンズとは?

はじめに、そもそもレンズとは何かということを学びましょう。レンズが使用されおり、身近に存在するものには、何があるでしょうか?例えば、カメラ虫眼鏡顕微鏡天体望遠鏡などが挙げられます。これらの共通点は、物体を拡大して見ることができる機能があるということですよ。

ものや風景を、人間の目は光を介して見ています。つまり、光の進み方を何らかの手段で変えることで、ものや風景の見え方は変わるのですね。先ほど挙げた器具において、光の進み方を変える役割を担うのがレンズなのです。ちなみに、多くのレンズは、ガラスプラスチック(合成樹脂)でつくられています。現在、レンズは工業、医療、軍事などの多分野で利用される重要な技術となっていますよ。

レンズの種類

レンズの種類

image by Study-Z編集部

続いて、レンズの種類について解説していきます。レンズの種類は非常に多いので、すべてを紹介することはできません。ですから、ここでは有名な凸レンズ凹レンズ、それらの派生タイプに限定して紹介します。凸レンズは、丸みを帯びた球面が外側にとびだした形をしていますよ。一方、凹レンズは球面部分が内側にへこんだ形をしているのです

凸レンズは、レンズに対して垂直に入射した光を、一か所に集める性質があります。それに対し、凹レンズはレンズに対して垂直に入射した光を拡散させる性質をもちますよ。また、これらのレンズの派生タイプも存在します。例えば、凸レンズの派生タイプであるフレネルレンズは、効率よく光を集めるための工夫がなされたものです

また、レンズの片面を平面にした平凸レンズ平凹レンズなども存在します。これらは用途に応じて使い分けられていますよ。なお、ここから先はメカニズムが最も単純でわかりやすい凸レンズのみを扱って、説明を進めていきます

\次のページで「レンズの性質」を解説!/

レンズの性質

レンズの性質

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ここでは、凸レンズの性質を詳しく解説していきますね。図はレンズを真横から見たものです。凸レンズの性質の1つに、光軸に平行な光が焦点に集まるというものがあります。なお、光軸はレンズの中心(節点)を通り、レンズに垂直な直線のことをさしますよ

そして、レンズの中心から焦点までの距離のことを焦点距離といいます。焦点距離は各レンズに固有な値をとりますよ。焦点距離は、レンズの大きさ曲面の反り具合レンズの材料となる物質の屈折率などで決まります。また、焦点はレンズの左右両側に存在しますよ

その他に、凸レンズの通過前に焦点を通った光は、凸レンズの通過後に光軸と平行に進むという性質もあります。加えて、レンズの中心(節点)を通る光は、レンズの通過前後で向きが変わらないという性質も覚えておきましょう。これら3つの性質は、この後説明する実像と虚像について学ぶ際に、非常に重要となります。

実像と虚像の違いについて学ぼう!

それでは、実像と虚像の違いについて考察していきましょう。凸レンズ・物体(光源など)・スクリーンを使用した実験を通して、これらの違いについて説明していきます。光の道筋を作図することにより、どのような像が生じるのかを考えますね。

凸レンズ・観察対象(光源など)・スクリーンの位置関係に注目しながら、記事を読み進めてみてください。また、先ほど説明した凸レンズがもつ3つの性質も頭に入れておきましょう。これらを踏まえて、実像と虚像の違いが説明できるようになれば、完璧に理解できたと言えますよ。

実像とは?

実像とは?

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まず、実像について考察しましょう。凸レンズを用いた実験を考えますね。図のように、左から順に物体、凸レンズ、スクリーンを配置します。これらの位置を調整すると、スクリーン上に物体と相似関係にある像が映るのです。スクリーン上には、実際に像が映りこむので、このような像を実像といいます。また、像は上下反対に映りこむので、倒立実像と呼ぶこともありますよ。

このとき、光の通り道がどのようになるかを考えてみましょう。図には、物体の先端を通ったあと、光軸に平行に進む光・レンズの中心(節点)を通る光・焦点を通る光の3つを描いていますよこれらの光が集合する位置に像ができます

虚像とは?

虚像とは?

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次に、虚像について考察しましょう。この実験も凸レンズを用いることにしますね。図のように、左から順に物体、凸レンズ、スクリーンを配置します物体が焦点よりも、レンズに近い側に存在するとき、スクリーン上には、像が映りこみません

このとき、光の通り道がどのようになるかを考えてみましょう。図には、物体の先端を通ったあと、光軸に平行に進む光・レンズの中心(節点)を通る光の2つを描いていますよこれらの光は拡散するように進みます。ですが、スクリーンを置いた側からレンズをのぞき込むと、点線で描いたような像が存在しているかのようにみえるのです光の道筋を逆向きに延長すると理解しやすいかと思います。

このような像を、正立虚像といいますよ。虚像と呼ばれるのは、像は実際には存在していないにも関わらず、あたかも存在しているかのように見えるからです

\次のページで「実像と虚像の違いを理解しよう!」を解説!/

実像と虚像の違いを理解しよう!

凸レンズを用いて実像と虚像を作り出す実験は、非常に有名な実験です。中学校や高校の理科の教科書にも、掲載されています。初歩的で有名な実験でありながら、メカニズムを理解するためには、やや難しい光の道筋の作図が必要です。

今回は、実験方法の紹介を通して、作図などの方法も詳しく説明しました。ぜひ、この記事を読んで、実像と虚像について学んでみてください。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

3分で簡単実像と虚像の違い!凸レンズの性質・実験も理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は「実像」と「虚像」について解説していきます。

実像と虚像は、光学を学ぶと登場する用語です。とくに、レンズの実験における実像と虚像が有名です。いずれも、中学校や高校の理科の教科書にも掲載されているな。この記事では、実像と虚像の違いを実験方法の紹介を通して徹底解説します。ぜひ、この機会に実像と虚像についての理解を深めてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

レンズについて学ぼう!

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実像と虚像の違いについて学ぶ前に、レンズについて理解を深めておきましょう。ここでは、レンズとは何かレンズの種類レンズの性質の3点を説明します。これらは光学の基礎的な内容であり、実像と虚像について理解するためには、必要不可欠なものとなりますよ。

多くの用語が登場しますが、丸暗記するのではなく、しくみを理解することが重要です。具体例なども交えて説明するので、光学が苦手だという方も、直感的に理解できるかと思います。それでは、レンズについての解説をはじめていきますね。

レンズとは?

はじめに、そもそもレンズとは何かということを学びましょう。レンズが使用されおり、身近に存在するものには、何があるでしょうか?例えば、カメラ虫眼鏡顕微鏡天体望遠鏡などが挙げられます。これらの共通点は、物体を拡大して見ることができる機能があるということですよ。

ものや風景を、人間の目は光を介して見ています。つまり、光の進み方を何らかの手段で変えることで、ものや風景の見え方は変わるのですね。先ほど挙げた器具において、光の進み方を変える役割を担うのがレンズなのです。ちなみに、多くのレンズは、ガラスプラスチック(合成樹脂)でつくられています。現在、レンズは工業、医療、軍事などの多分野で利用される重要な技術となっていますよ。

レンズの種類

レンズの種類

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続いて、レンズの種類について解説していきます。レンズの種類は非常に多いので、すべてを紹介することはできません。ですから、ここでは有名な凸レンズ凹レンズ、それらの派生タイプに限定して紹介します。凸レンズは、丸みを帯びた球面が外側にとびだした形をしていますよ。一方、凹レンズは球面部分が内側にへこんだ形をしているのです

凸レンズは、レンズに対して垂直に入射した光を、一か所に集める性質があります。それに対し、凹レンズはレンズに対して垂直に入射した光を拡散させる性質をもちますよ。また、これらのレンズの派生タイプも存在します。例えば、凸レンズの派生タイプであるフレネルレンズは、効率よく光を集めるための工夫がなされたものです

また、レンズの片面を平面にした平凸レンズ平凹レンズなども存在します。これらは用途に応じて使い分けられていますよ。なお、ここから先はメカニズムが最も単純でわかりやすい凸レンズのみを扱って、説明を進めていきます

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