
1、予想に反して程度がはなはだしいさま。思いのほか。 「 -(に)手間取る」 「 -簡単だった」
2、普通以上に程度がはなはだしいさま。格別。はなはだ。 「今夜は-(に)寒い」 「 -の御立腹」
出典:大辞林 第三版(三省堂)「殊の外」(副詞)
「殊の外」は「ことのほか」と読みます。「殊」(こと)には「とりわけ、特別な」という意味があり、合わせると「特に思考の範囲外」といった具合です。これが転じて「思いのほか、思っていたのと違う」という意味で使われるようになりました。
「殊の外」は「望外」とは違い、予想以上の「いい」結果に限って使われるわけではありません。「殊の外涼しい」「殊の外調子が出なかった」などと使われることもあります。その点が「望外」との違いです。
さらに、例文3で示したように「望外」はビジネスシーンなど少々お堅い場面で使われることが多く、その点でも「殊の外」とは違いがあります。「望外」という言葉に聞き慣れない印象があるのはそのせいかもしれません。
「望外」の類義語としては、他にも「案外」「意外」「存外」「計算外」「予想外」などが挙げられます。「意外」とたくさんあるものですよね。
「望外」の対義語は?
では、「望外」の対義語を見ていきましょう。「望内」ではありません。
「案の定」
「思いのほか」という意味の「望外」の対義語として考えられるのは、「思った通り」という意味の「案の定」(あんのじょう)という言葉です。
「案」は考えや予想、「定」(じょう)はそうなるに決まっていること、といった意味があります。合わせて「そうなると決まっているという考え」という意味になるのです。
「案の定」に似た意味の言葉、漢字で書くと「矢張(矢張り)」となりますが、イメージできるでしょうか。ひらがなで「やはり」と書いた方が、現代ではしっくりきますよね。語源を調べましたが、そのままにするという意味の「やはら」が有力で、弓矢の矢は関係がないようでした。
「unexpected」「unanticipated」
「unexpected」と「unanticipated」、どちらも「予想外の、望外」という意味の単語です。
頭の「un」は、後に続く言葉を打ち消す意味があります。「unlucky」が「幸運ではない」、つまり「不運」という意味になる、といえばわかりやすいでしょうか。
「expected」と「anticipated」はともに「予期する」という意味の動詞の過去形または過去分詞形です。「予期していた」という意味を打ち消しているわけですから、どちらも「予期していなかった」、つまり「望外」という意味となります。
2語の発音を無理矢理カタカナで表すと、「アンエクスペクティド」「アンアンティシペイティド」と、どちらも舌をかみ切りそうな言葉です。英語の発音って難しいですよね。
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