端的に言えば望外の意味は「望んでいた以上のこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたから雑学にも詳しい。一緒に「望外」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/タケル
某国立大で現代日本語学を専攻していた。趣味は将棋や麻雀などボードゲーム全般。だが将棋は指すとヘボ将棋なので、最近は「見る将」になった。
「望外」の意味は?
「望外」には、次のような意味があります。あの天才棋士は、よくぞこの言葉を中学生のときに知っていたものですよね。
望んでいた以上にいい・こと(さま)。 「 -の喜び」 「 -な成果を得る」
出典:大辞林 第三版(三省堂)「望外」
「望外」(ぼうがい)とは、漢字から見当が付くとは思いますが、「望んでいたこととは想像外のこと」を表します。「望外」そのものは名詞です。「望外」+「~な」や「望外」+「~だ」で形容動詞となります。
ところで、「望外」という言葉を、将棋の藤井聡太さんで知ったという方も多いのではないでしょうか。プロデビューしてからの連勝記録を更新した際のインタビューで、「自分の実力からすれば望外の結果」であると述べました。当時中学3年生の藤井さんの語彙力に、私は驚かされたものです。
その後、藤井さんはさまざまな最年少記録を更新し、17歳で初タイトルを獲得しました。それから間もなくして、18歳で2冠同時保持も最年少記録を達成。対局後のインタビューでも「(7番勝負で)4連勝という結果は望外」だったと、以前も用いた「望外」という言葉でタイトル戦を振り返りました。
「望外」の語源は?
次に「望外」の語源を確認しておきましょう。
室町時代の僧侶たちによる講義録である「史記抄」(しきしょう)が語源であるという説が有力です。その中で、「かかる思いもよらぬ、望外となることじゃとて」(このような思いもよらない望外なことであるといって)という一文が由来とされます。
書物の題名にある「~抄」というのは、古典書などの難解な語句を抜き出して注釈をつけたものです。日本では、特に室町時代から江戸時代にかけて、僧侶や学者の手により漢文作品の注釈書が作られました。「史記抄」は、中国の歴史書である史記を注釈したものです。
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