この記事では「教鞭を執る」について解説する。

端的に言えば教鞭を執るの意味は「教師となり生徒や学生を教えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「教鞭を執る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「教鞭を執る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「教鞭を執る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「きょうべんをとる」です。

「教鞭を執る」の意味は?

「教鞭を執る」には、次のような意味があります。まずは、辞書に記載されている正確な意味を確認してから、詳しい意味もチェックしていきましょう。

1.教師になって学生・生徒を教える。教職に従事する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「教鞭を執る」

「教鞭を執る」は、学校などで生徒や学生に学業を教えたり、学術や技芸を教授することです。また、多くの場合は、仕事や職業として教職を担うことを指します。ですから、個人的に先生と慕われていたとしても、ときどき会う親戚に日本史の話をするぐらいのことでは「教鞭を執る」とは言えませんね。

教える場所については、教師として教えることから基本的には学校または学校に準ずる機関です。教える内容は、学校などで教師が教える全ての内容を含んだものになっています。

「教鞭を執る」の語源は?

次に「教鞭を執る」の語源を確認しておきましょう。

「教鞭を執る」は、「教鞭」と呼ばれる教師がかつて使っていた鞭に由来します。

「教鞭」とは、かつて世界中の学校で、教育用の鞭として黒板を指し示す目的と生徒への体罰の目的で使用されていました。その教鞭を「執る」、つまり教鞭を手に取るということから、教師として指導することにつながっています。もちろん、現在は日本では体罰が問題視されているため、教鞭は使われなくなりました。

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「教鞭を執る」の使い方・例文

「教鞭を執る」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.行政関連の専門家であることから、客員教授として教鞭を執ることになった。
2.教鞭を執りながらも、自分自身で研究をすすめて授業に生かすことも大切なことだ。

いずれの例文も、何らかの学校の先生や教授として、学生や生徒などに指導するようすが書かれています。

例文の1.では、特定の分野の専門家ということから、本職ではないものの教授として指導をすることになったという文です。例文2.のほうは、学校などで指導する一方で、指導のレベルを上げていくためにも自らが研究することを怠らないようにしたいという内容になっています。

「教鞭を執る」の類義語は?違いは?

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それでは、「教鞭を執る」の類義語についての説明です。同じように意味として使うことができる慣用句について、一緒に見ていきましょう。

「教壇に立つ」

「教鞭を執る」の類義語には、「教壇に立つ(きょうだんにたつ)」があります。意味は、教師として学生などを教えるということです。「教壇」とは、教師が教室で授業をする際に立つ壇のことで、壇に乗ったまま話したり板書をしたりします。少しでも高さがあるほうが、先生の顔が見えやすく、黒板もよく見えますね。

このように、教壇に立つということは教員として生徒などに指導することを表しているので、「教職に就く」という意味で使われるようになっていますよ。

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「手塩に掛ける」

もう一つの類義語には、「手塩に掛ける(てしおにかける)」があります。みずからがいろいろと世話をして大切に育てるという意味です。「手塩」とは味加減を自分で整えられるように食卓に添えられた塩のことで、自分で面倒を見ることという意味につながっています。

仕事や職業として教員になるという意味とは違いがありますが、大切に育てるという意味では指導者や保護する立場にあっては同じことですね。

「教鞭を執る」の対義語は?

次に、「教鞭を執る」の対義語についての説明です。教師になるという意味の反対なので、逆の教わるほうの立場を表す慣用句について詳しく見ていきましょう。

「手解きを受ける」

「教鞭を執る」の対義語には、「手解きを受ける(てほどきをうける)」があります。意味は、学問や技芸について教えてもらうことです。「手解き」とは、武道などで手首をとられたときに手を解く技のことで、これを最初に教えてもらうことから広く指導を受けるという意味につながっています。

なお、武道で最初に習う事柄であるため、初心者に対する指導であったり、とくに丁寧な指導をするというニュアンスが含まれていますよ。

「薫陶を受ける」

もう一つの対義語には、「薫陶を受ける(くんとうをうける)」があります。人徳や品位などで感化されて教育を受けることという意味です。「薫陶」とは、香をたいて香りを染み込ませて形を整えながら陶器を作り上げることを表しています。

教え込まれたり訓練を重ねるばかりではなく、香りが染み込むように先生と一緒にいるだけで生徒に自然と伝わり染み込んでいくようなニュアンスがありますよ。

「教鞭を執る」の英訳は?

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最後に、「教鞭を執る」の英訳についての説明です。日本語とは違いはありますが、意味が正確に伝わるような英語表現について見ていきましょう。

「work as a teacher」

「教鞭を執る」の英訳には、「work as a teacher」があります。直訳すると「教師として働く」です。「work」という単語が含まれていることで、仕事であることがわかります。

その他、「engage as a teacher(教師として従事する)」、「work a primary school teacher(小学校教師として働く)」、「work as a teacher of English(英語の先生として働く)」など、さまざまな応用できる表現がありますよ。

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「教鞭を執る」を使いこなそう

今回の記事では「教鞭を執る」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「教鞭を執る」の基本の意味は、教師として学生や生徒を教えることです。他の職業に比べて独特の表現が多くなっているのは、教職は他の職業とは違った意味での責任が伴うことや決意を要することなどがあるからかもしれませんね。昔と今では教師のあり方は変わってきているかもしれませんが、先生に影響を受けた人が大勢いることは間違いのない事実です。

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国語言葉の意味

【慣用句】「教鞭を執る」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「教鞭を執る」について解説する。

端的に言えば教鞭を執るの意味は「教師となり生徒や学生を教えること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「教鞭を執る」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「教鞭を執る」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「教鞭を執る」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「きょうべんをとる」です。

「教鞭を執る」の意味は?

「教鞭を執る」には、次のような意味があります。まずは、辞書に記載されている正確な意味を確認してから、詳しい意味もチェックしていきましょう。

1.教師になって学生・生徒を教える。教職に従事する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「教鞭を執る」

「教鞭を執る」は、学校などで生徒や学生に学業を教えたり、学術や技芸を教授することです。また、多くの場合は、仕事や職業として教職を担うことを指します。ですから、個人的に先生と慕われていたとしても、ときどき会う親戚に日本史の話をするぐらいのことでは「教鞭を執る」とは言えませんね。

教える場所については、教師として教えることから基本的には学校または学校に準ずる機関です。教える内容は、学校などで教師が教える全ての内容を含んだものになっています。

「教鞭を執る」の語源は?

次に「教鞭を執る」の語源を確認しておきましょう。

「教鞭を執る」は、「教鞭」と呼ばれる教師がかつて使っていた鞭に由来します。

「教鞭」とは、かつて世界中の学校で、教育用の鞭として黒板を指し示す目的と生徒への体罰の目的で使用されていました。その教鞭を「執る」、つまり教鞭を手に取るということから、教師として指導することにつながっています。もちろん、現在は日本では体罰が問題視されているため、教鞭は使われなくなりました。

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