この記事では「言葉を濁す」について解説する。

端的に言えば言葉を濁すの意味は「あいまいに言う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「言葉を濁す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「言葉を濁す」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「言葉を濁す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「言葉を濁す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「言葉を濁す」の意味は?

「言葉を濁す」には、次のような意味があります。

【言葉を濁す】
1. はっきり言わないで、あいまいに言う。口を濁す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「言葉を濁す」

【濁す】
1. 濁るようにする。濁らせる。
2. 言葉などをあいまいにする。ごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「濁す」

「言葉を濁す」(ことばをにごす)の「言葉」(ことば)とは、誰でもが毎日使う、声に出して言ったり、文字にして感情・感覚や考え方を伝える表現方法のことですね。現在では、スマホやパソコンが普及して、電子データにして相手に言葉を伝えることもできますし、また、キーワードを検索するだけで趣味や興味に合うサイトを見つけられるようになりました。また簡単に動画として向こう側にある情報を入手できたり、投稿して自分の言葉を不特定多数に伝えられるようにもなってきましたね。昔に比べてはるかに言葉を伝えること、受け取ることが容易になってきたのが現代です。

一方、「濁す」(にごす)は、国語辞典に記載されているとおり、「透明」(とうめい)の逆の意味を持つことばで濁(にご)っていて、よどみのある状態を指しますが、転じて、「(言葉などを)あいまいにしたり、ごまかす」の意味も有しています。

「言葉を濁す」全体で、「はっきりとは言わず、あいまいに言う」という意味になるのです。

「言葉を濁す」の語源は?

「言葉を濁す」の「言葉」(ことば)という単語は、7、8世紀くらいから使い始められたのではないかと考えられています。その根拠となっているのが、最古の日本語の文献と言われている「古事記」(こじき)万葉集(まんようしゅう)で「言葉」という表現が登場するからですが、登場する回数は少なく、「言葉を濁す」の「言葉」という表現そのものがそれ以前には使われていなかったとする説もあるのです。一方で、「言葉」の「言」(こと)という文字は「話す」に関連する単語に多数登場しており、「言葉」という表現の起源は「言」であったと考えられています。

「濁す」(にごす)他動詞ですが、自動詞である「濁る」(にごる)という現象は古い時代から日常生活の中で人間が目視で確認できる現象であり、早い時期から言語化されていた可能性はありますね。「言葉を濁す」という表現は、7~8世紀以降に誕生したものであると推測できるでしょう。

\次のページで「「言葉を濁す」の使い方・例文」を解説!/

「言葉を濁す」の使い方・例文

「言葉を濁す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 直属の上司である経理部長に「自分はもともと営業職で、早く営業部門に戻して欲しい」と申し出たところ、「気持ちはわかるし、可能性はあるが、あまり期待するな」と言葉を濁されてしまった。

2. 親友の急な死の連絡を受け、死の理由を聞いたところ「運命です」と言われただけで言葉を濁されてしまいそれ以上のことを聞くことができなかった。

「言葉を濁す」のは、話し手がストレートに言ってはいけない、あるいは、ぼかして言う必要があると考えている場合もあるのです。

「言葉を濁す」の類義語は?違いは?

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次に「言葉を濁す」の類義語を見ていきましょう。

「うやむやにする」

「言葉を濁す」と同様に「はっきりさせず、あいまいに話す」という意味を持つことばに「うやむやにする」があります。

「うやむや」は、中国から伝わってきたことばで、漢字では「有耶無耶」(うやむや)と表現されるのです。「有耶無耶」の「耶」(や)は、疑問詞で、この中文の慣用句を文字通り訳すと、「有るのか無いのかどちらなのか?」という意味になります。つまり、「はっきりしていない、曖昧になっている」ということですね。「言葉を濁す」とニュアンス的に異なる点は、「有耶無耶」には、初めから「なにかしらの意図があってあいまいにする」という意味もある点です。

\次のページで「「言葉を濁す」の対義語は?」を解説!/

「言葉を濁す」の対義語は?

次に「言葉を濁す」の反対語を見ていきましょう。

「明言する」

「言葉を濁す」は「はっきりとさせず、曖昧に言う」という意味ですから、反対語は「はっきりと言う」になりますね。「明言する」(めいげんする)がピッタリとくる反対語になるでしょう。「言葉を濁す」も「明言する」にもそれぞれメリット、デメリットがあります。

明言された場合、聞いた方は、「勝手な推測や不信感を抱かずにそのまま受け入れることができます」が逆に話し手が、本音や事実、あるいは結果をストレートに伝えてくるため、「聞いた方は大きなショックを受ける」こともあるでしょう。平成が終わり令和となり、時代が進むにつれ医学が進歩し、今日、「ガン」も治癒(ちゆ)できる病気になりつつありますが、昭和の時代には、「ガンは死の宣告」と同じようなものでした。治療にあたる医師たちの間でも患者に「言葉を濁して伝えた方がよいのか」、あるいは、「はっきりと事実を伝えた方がよいのか」のデリケートな問題であり、医療関係者全体で議論された時代もあったのです。

「言葉を濁す」の英訳は?

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次に「言葉を濁す」の英訳を見ていきましょう。
「言葉を濁す」を一語で表現する場合には、「あいまいな言葉を使う」という意味を持つ「equivocate」(ɪkwívəkèɪt)がもっともピッタリくる動詞のひとつです。形容詞は、「equivocal」(ɪkwívək(ə)l)で、「両方の意味に取れる」や「あいまいな」という意味があります。簡単でわかりやすく相手に伝えたい場合には、下記の表現もオススメですね。

「speak ambiguously」

「speak ambiguously」の「speak」(spíːk)は、「話す」、「ものを言う」という意味自動詞でも他動詞でも両方に使われる動詞です。「ambiguously」は、「あいまいな」や「どちらともとれる」という意味の形容詞「ambiguous」(æmbígjuəs)の副詞になります。「speak ambiguously」で、「あいまいに話す」という意味になり、「言葉を濁す」のもっとも近い英語表現のひとつとしてつかえるでしょう。

「言葉を濁す」を使いこなそう

この記事では、「言葉を濁す」の意味や使い方をみてきました。「言葉を濁す」は、「明快に言わずあいまいに言う」という意味合いの表現でしたね。人の中には、「ズバズバと単刀直入にスキがなく」話しをする性格の人もいますし、逆に「まわりくどい表現で相手を刺激しないように」話をする性格の人もいます。もちろん、相手や自分の状況と立場をわきまえた上で、スイッチを切り替えて「単刀直入に話すべきか」、「ぼかして伝えるべきか」のボタンを押せたらよいのですが、なかなか難しいですね。どのように相手に話すべきかを考えることは死ぬまで続く勉強なのかもしれませんね。

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【慣用句】「言葉を濁す」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「言葉を濁す」について解説する。

端的に言えば言葉を濁すの意味は「あいまいに言う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「言葉を濁す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「言葉を濁す」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「言葉を濁す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「言葉を濁す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「言葉を濁す」の意味は?

「言葉を濁す」には、次のような意味があります。

【言葉を濁す】
1. はっきり言わないで、あいまいに言う。口を濁す。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「言葉を濁す」

【濁す】
1. 濁るようにする。濁らせる。
2. 言葉などをあいまいにする。ごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「濁す」

「言葉を濁す」(ことばをにごす)の「言葉」(ことば)とは、誰でもが毎日使う、声に出して言ったり、文字にして感情・感覚や考え方を伝える表現方法のことですね。現在では、スマホやパソコンが普及して、電子データにして相手に言葉を伝えることもできますし、また、キーワードを検索するだけで趣味や興味に合うサイトを見つけられるようになりました。また簡単に動画として向こう側にある情報を入手できたり、投稿して自分の言葉を不特定多数に伝えられるようにもなってきましたね。昔に比べてはるかに言葉を伝えること、受け取ることが容易になってきたのが現代です。

一方、「濁す」(にごす)は、国語辞典に記載されているとおり、「透明」(とうめい)の逆の意味を持つことばで濁(にご)っていて、よどみのある状態を指しますが、転じて、「(言葉などを)あいまいにしたり、ごまかす」の意味も有しています。

「言葉を濁す」全体で、「はっきりとは言わず、あいまいに言う」という意味になるのです。

「言葉を濁す」の語源は?

「言葉を濁す」の「言葉」(ことば)という単語は、7、8世紀くらいから使い始められたのではないかと考えられています。その根拠となっているのが、最古の日本語の文献と言われている「古事記」(こじき)万葉集(まんようしゅう)で「言葉」という表現が登場するからですが、登場する回数は少なく、「言葉を濁す」の「言葉」という表現そのものがそれ以前には使われていなかったとする説もあるのです。一方で、「言葉」の「言」(こと)という文字は「話す」に関連する単語に多数登場しており、「言葉」という表現の起源は「言」であったと考えられています。

「濁す」(にごす)他動詞ですが、自動詞である「濁る」(にごる)という現象は古い時代から日常生活の中で人間が目視で確認できる現象であり、早い時期から言語化されていた可能性はありますね。「言葉を濁す」という表現は、7~8世紀以降に誕生したものであると推測できるでしょう。

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