この記事では「金に飽かす」について解説する。

端的に言えば金に飽かすの意味は「たっぷりある金銭を惜しまず使う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「金に飽かす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「金に飽かす」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「金に飽かす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「金に飽かす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「金に飽かす」の意味は?

「金に飽かす」には、次のような意味があります。

1. たくさんある金銭を惜しまず使って事をする。費用をたっぷり使う。

出典:日本国語大辞典(精選版)

「金に飽かす」(かねにあかす)の「金」(かね)は「金銭」、「富」、「経済力」のことで、「飽かす」(あかす)は、「飽きさせる」という意味の他に「満足するまで十分に費やし使う」という意味があります。ですから、国語辞典で示されている通り「金に飽かす」は「所有する大量のお金を惜しまずに使う」という意味になるのです。

「金に飽かす」の語源は?

次に「金に飽かす」の語源を確認しておきましょう。
「お金」というと普段の生活の中でいつも使っているのが日本円、いわゆる通貨ですよね。商品の値段を見て「高い」とか「予算に合う」とか「次の給料が入ったら買おう」とか、私たちは頭の中で商品の値段と品質を見比べながら日々、消費生活をおくっているのです。

しかし、お金の発行される以前の時代は日常の生活エリアの中で、猟師や漁師、農民たちが自分の力で収集できる食糧を少し多めに手に入れ、余った分を互いに交換する「物々交換」(ぶつぶつこうかん)を行い必要なものを手にいれていきました。しかし、生鮮食料品は鮮度が落ちますし、長く保存できるわけではありません。その後、人々は、保存の効くもの、価値の下がりにくいもの、例えば、「砂金」、「布」、「塩」、「貝」などを交換する物品の対象にするようになっていきました。

紀元前670年ころとなると現在のトルコで硬貨が登場し流通が開始され、10世紀中国の北宋(ほくそう)の時代には、世界最初の紙幣(しへい)が登場しました。人々が通貨を媒体とする交換手段を普及させると一日の生活費用を超える大量の物品を製造しても売れる相手、買い手が増加していきました。これに伴い人々は通貨を資産として貯めることが可能となり、中には「飽きるほど」「使い切れないほど」のお金を所有する人たちが登場していったのです。

「金に飽かす」の使い方・例文

「金に飽かす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 隣の家は運がよかったんだね。農場を売った多額の利益で金に飽かせてあんな豪華な豪邸も建てて。家の中にも一億円を超える高価な美術品、調度品などをそろえているらしいよ。

2. 僕の友人に彼の祖父が書いた書籍(しょせき)や出版物の著作権収入で金に飽かした生活をしているのがいるが、今はじいさんにちなんだ遊園地や記念館の建設の計画で忙しいようだ。

世の中には「金に飽かして」お金を使える恵まれた人がたまにいるのです。

「金に飽かす」の類義語は?違いは?

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次に「金に飽かす」の類義語を見ていきましょう。

\次のページで「「金に糸目をつけない」」を解説!/

「金に糸目をつけない」

「金に飽かす」が持つ「金銭を惜しまず、たっぷり使う」と同じ意味を持つ慣用句に「金に糸目をつけない」(かねにいとめをつけない)があります。「糸目」(いとめ)とは、本来、凧(たこ)をあげるときの凧についている数本の糸の結び目のことです。「糸目」があるからこそ、凧の上がり具合やバランスを調整できる構造になっています。しかし、「糸目」がないと、どこへ飛んでいくのか、どのくらい上昇していくのかもコントロールできません。「金に糸目をつけない」とは、いくら値段が高くても購入することを決めており、払う金額に上限(じょうげんがない)なく惜しみなく費やすことを意味する言葉なのです。

「大枚をはたく」

「金に飽かす」が持つ「大量のお金を使用する」という意味で使われる言葉のひとつに「大枚をはたく」(たいまいをはたく)があります。「大枚」(たいまい)とは昔中国で使われていた餅型(もちがた)の銀貨のことで一枚で多額な価値があったことから大量のお金の象徴です。「はたく」は、「手や道具を使って何度も打つ」という意味で使われる場合の多い言葉ですが、財布をひっくり返して財布の底をたたいたときのように「すっかり使いきる」という意味でも使われます。「大枚をはたく」で「多額のお金を使っても購入する」という意味となり、「金に飽かす」の類義語のひとつになるのです。

「金に飽かす」の対義語は?

次に「金に飽かす」の反対語を見ていきましょう。

「火の車」

「金に飽かす」は「たくさんの金銭を有し惜しまずお金を使うさま」を表すのに対して、反対語とは、「経済的に貧して日々の生活もままならないさま」のことになります。そんな状態を連想させるワードのひとつに「火の車」(ひのくるま)がありますね。「火の車」とは、火が燃えている「火車」(かしゃ)を訓読みした単語で、昔は生前、悪行を行ってきた者は地獄(じごく)に落ちて、地獄では「火車」に乗せられて攻め立てられると考えられていました。そこから転じて、日常生活においても借金取りの追い立てられ、生活のやりくりに苦しむような状態に対して「火の車」と表現するようになったのです。

「金に飽かす」の英訳は?

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次に「金に飽かす」の英訳を見ていきましょう。

「regardless of expense」

「金に飽かす」は、言い換えると、潤沢(じゅんたく)なお金や資金を既に取得しているため「お金や費用のことは気にすることなく使う」という意味です。「気にせずに」や「構わずに」あるいは「関係なく」を表現したいときに使える慣用句に形容詞、「regardless」(rʌˈgɑrdlʌs)を使った「regardless of」がありますね。

「費用のことを気にせずに」と表現したい場合には、「regardless of expense」となります。

例えば、「彼は非常に裕福な家庭の出であるため金に飽かして何でも買うことができた」は「He was able to buy anything regardless of expense, because he was from a very rich family」

\次のページで「「金に飽かす」を使いこなそう」を解説!/

「金に飽かす」を使いこなそう

この記事では、「金に飽かす」の意味や使い方を見てきました。「金に飽かす」は「たくさんあるお金を惜しまずに使う」という意味でしたね。今の社会では、必ずしも自分の興味のあることや好きなことを勉強できて、好きな仕事に就けて、休みたいときに休めるわけではありません。「大なり小なり我慢を強いられる」人が多いのではないでしょうか?少なくとも「金に飽かす」ほどのお金があれば、好きなことに費やせる「時間」と「お金」が自由になるのです。うらやましいですよね。しかし、「身の丈に合った」生活をしないとすぐに破滅してしまいます。私たちができることは、今できること、今日できることに最善を尽くして取り組むことくらいなのではないでしょうか?

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【慣用句】「金に飽かす」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「金に飽かす」について解説する。

端的に言えば金に飽かすの意味は「たっぷりある金銭を惜しまず使う」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

語学好きで歴史好き、名古屋出身で5年間のライター経験を持つeastflowerを呼んです。一緒に「金に飽かす」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/eastflower

今回の記事を担当するのは語学好きで英語、中国語が得意な5年目のライター、eastflower。「金に飽かす」の言葉の起源やどんな場面で使えるのかをわかりやすく解説していく。

「金に飽かす」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「金に飽かす」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「金に飽かす」の意味は?

「金に飽かす」には、次のような意味があります。

1. たくさんある金銭を惜しまず使って事をする。費用をたっぷり使う。

出典:日本国語大辞典(精選版)

「金に飽かす」(かねにあかす)の「金」(かね)は「金銭」、「富」、「経済力」のことで、「飽かす」(あかす)は、「飽きさせる」という意味の他に「満足するまで十分に費やし使う」という意味があります。ですから、国語辞典で示されている通り「金に飽かす」は「所有する大量のお金を惜しまずに使う」という意味になるのです。

「金に飽かす」の語源は?

次に「金に飽かす」の語源を確認しておきましょう。
「お金」というと普段の生活の中でいつも使っているのが日本円、いわゆる通貨ですよね。商品の値段を見て「高い」とか「予算に合う」とか「次の給料が入ったら買おう」とか、私たちは頭の中で商品の値段と品質を見比べながら日々、消費生活をおくっているのです。

しかし、お金の発行される以前の時代は日常の生活エリアの中で、猟師や漁師、農民たちが自分の力で収集できる食糧を少し多めに手に入れ、余った分を互いに交換する「物々交換」(ぶつぶつこうかん)を行い必要なものを手にいれていきました。しかし、生鮮食料品は鮮度が落ちますし、長く保存できるわけではありません。その後、人々は、保存の効くもの、価値の下がりにくいもの、例えば、「砂金」、「布」、「塩」、「貝」などを交換する物品の対象にするようになっていきました。

紀元前670年ころとなると現在のトルコで硬貨が登場し流通が開始され、10世紀中国の北宋(ほくそう)の時代には、世界最初の紙幣(しへい)が登場しました。人々が通貨を媒体とする交換手段を普及させると一日の生活費用を超える大量の物品を製造しても売れる相手、買い手が増加していきました。これに伴い人々は通貨を資産として貯めることが可能となり、中には「飽きるほど」「使い切れないほど」のお金を所有する人たちが登場していったのです。

「金に飽かす」の使い方・例文

「金に飽かす」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1. 隣の家は運がよかったんだね。農場を売った多額の利益で金に飽かせてあんな豪華な豪邸も建てて。家の中にも一億円を超える高価な美術品、調度品などをそろえているらしいよ。

2. 僕の友人に彼の祖父が書いた書籍(しょせき)や出版物の著作権収入で金に飽かした生活をしているのがいるが、今はじいさんにちなんだ遊園地や記念館の建設の計画で忙しいようだ。

世の中には「金に飽かして」お金を使える恵まれた人がたまにいるのです。

「金に飽かす」の類義語は?違いは?

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次に「金に飽かす」の類義語を見ていきましょう。

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