この記事では「習うより慣れよ」について解説する。

端的に言えば「習うより慣れよ」の意味は「教えてもらうよりも自ら体験したほうが身につく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「習うより慣れよ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでもわかりやすい説明で慣用句を解説していく。

「習うより慣れよ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「習うより慣れよ」の意味・使い方を見ていきましょう。

「習うより慣れよ」の意味は?

「習うより慣れよ」には、次のような意味があります。

人に教えられるよりも、自分で経験を重ねたほうが身につく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「習うより慣れよ」

「習うより慣れよ」は、自発的に物事に取り組むためには、忘れてはいけない心構えといえるのではないでしょうか。「慣れる」ということは、当たり前になるまで何度も経験しているということになります。もちろん、基礎をしっかり学ぶことも大切ですが、技術やスキルを高めていくためには「慣れ」は欠かせません。「習う」ことに執着し、いつまでも指示を待っているようでは、自身で考えて行動することができなくなるでしょう。

わかりやすい例でいえば「職人」といわれる仕事は、大抵が「習うより慣れよ」といっても過言ではありません。道具の使い方や作り方を教わったうえで、さらに良い作品を作るためには「慣れ」しかないのではないでしょうか。繰り返し行っていくことで技術力が向上し、自身で改善点に気づくことができます。体験こそが技術習得の近道といえますね。

「習うより慣れよ」の使い方・例文

「習うより慣れよ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「習うより慣れよ」の類義語は?」を解説!/

1.早く仕事を覚えたいのなら、習うより慣れろだよ。

2.プロ選手を目指すなら、習うより慣れよの精神で繰り返し毎日練習することが大切だ。

3.運転を上達させるためには、習うより慣れよが欠かせない。

「習うより慣れよ」は、アドバイスとして使いやすい慣用句です。ただし、大前提として、本人に学ぶ姿勢がなければ話になりません。真摯に取り組んでいるからこそ、経験を通して多くのことが身につけられるといってよいでしょう。初めての仕事は容易ではなく、失敗しやすいものです。しかし、繰り返し行っていくことで体が自然と覚えて、気づけば早く仕事を終わらすことができるようになりますよね。それこそが「習うより慣れよ」を実践した成果といえます。

また「習うより慣れよ」は、「決して人に教わるな」といっているわけではありません。基礎を教わったらまず実践。そして、作業をしていて分からなければ先輩や上司に質問する。経験を通して、自ら疑問点や不明点に気づくことが大切なのです。「気づき」は「習う」で得られるものではありません。部下や後輩がいるならば、教訓として「習うより慣れよ」を使ってみてください。

「習うより慣れよ」の類義語は?

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では、「習うより慣れよ」の類義語をみていきましょう。

「亀の甲より年の劫」

「年の劫(こう)」は「年の功」と書いても問題ありません。意味は、長い間に身につけた経験や知恵は貴重であるということ。「年の劫」は「長年の経験」という意味。「亀の甲」は、語呂合わせとして使っているだけなので、言葉自体に意味はありません。

たとえば、職場にどのような質問をしても答えられるような頼もしい先輩がいたとしましょう。先輩に任せておけば安心です。そのような時に「亀の甲より年の劫だよ、今回の案件は彼に任せておこう」と使うことができます。ベテランをリスペクトしていることわざといえますね。

「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」

「馬には乗ってみよ、人には添うてみよ」の意味は、何事も経験してみることが大事だということ。乗馬経験者なら想像しやすいかもしれませんが、同じ種類の馬であったとしても、性格によって調教は変わります。つまり、実際に乗ってみないことには、どのような癖を持った馬なのかわかりません。人も同じですよね。見た目だけで性格を判断できるものではありません。一緒に暮らす、もしくは一緒に仕事をすることで、初めて性格を知れるのではないでしょうか。

馬には乗ってみる、人には寄り添うことで気づくことがあるのと同様に、経験したからこそ気づくことがあるものです。話を聞いて満足せず、「まずは経験してみよう」と伝えたい時に「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」を使ってみてください。

\次のページで「「習うより慣れよ」の対義語は?」を解説!/

「習うより慣れよ」の対義語は?

「習うより慣れよ」は「教えられるよりも、実際に経験したほうが身につく」という意味でした。反対の意味となると「経験よりも教えによって身につく」となりますが、そのような慣用句は存在しません。そこで今回は、学びが「身についていない」や「活かされない」といった意味合いで「習うより慣れよ」の対義語をみていきましょう。

「記問の学」

「記問の学」の読み方は「きもんのがく」になります。意味は消化されずに、会得できていない学問のこと。全て学びきれていないというよりは、実生活に活用できていない学問や知識だと考えるとよいでしょう。「記問」の意味は、古書を読んで暗記しただけで、知識を活用できていないこと。すなわち、深い意味を理解できておらず、応用できていないといえるでしょう。

覚えた知識は実践し、生活や仕事に役立てることで本当に身についたといえます。ところが、暗記をしただけで試さないならば、宝の持ち腐れといえるのではないでしょうか。周囲から「記問の学」と言われるならば、それは「独創性がない」ということ。覚えた知識に自身の経験を加えることで、オリジナリティーが増すはずです。「記問の学」と言われないように注意したいところですね。

「机上の空論」

「机上(きじょう)の空論」の意味は、机の上で考えただけで、実際には役には立たない考えのこと。「空論」とは、現実とはかけ離れた、役に立たない議論や論理を差しています。つまり「机上の空論」は「現実離れした意見」のことだと思ってください。しっかりと考えて計画を立てることも大切ですが、現実離れした考えでは同じ職場の人に迷惑をかけてしまいますよね。

理屈上は上手くいく計画であったとしても、大抵の物事は多くの人が関わるため一筋縄ではいきません。だからこそ、自身の経験や周囲の意見を参考に、最善の方法を考えるのが得策ではないでしょうか。もしも、周りから「机上の空論」と反論されたならば、自身の考え方を改めたほうが良いといえるでしょう。

「習うより慣れよ」の英訳は?

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では、「習うより慣れよ」を英語訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「Custom makes all things easy」

Custom makes all things easy」は英語のことわざになります。直訳すると「慣れればいかなることも簡単にできる」となり、「習うより慣れよ」として使うことができるでしょう。「custom」という単語は「習慣」という意味。「all things easy」は「なんでも簡単にできる」という意味になります。ことわざを知らなくても、伝わりやすい表現といえますね。

「Practice makes perfect」

「習うより慣れよ」に一番近い表現は「Practice makes perfect」ではないでしょうか。「Practice」は「練習」という意味。「perfect」は「完璧」や「完全」という意味になります。

Practice makes perfect」は直訳すると「練習が完璧をつくる」となり、「習うより慣れよ」として使うことができるでしょう。

\次のページで「「習うより慣れよ」を使いこなそう」を解説!/

「習うより慣れよ」を使いこなそう

この記事では「習うより慣れよ」の意味・使い方・類語などを説明しました。「習うより慣れよ」は、経験することの大切さを訴えた慣用句です。やはり、人は話を聞くだけでは知識や技術を習得することはできません。問題集を繰り返し解くことで、自然と知識が身につくのと同様に、技術や仕事も同じことだといえるでしょう。さらに、慣れてしまえば心のゆとりも生まれるため、ミスが減って完成度も高くなっていきます。こうした経験は、あなたにとっての貴重な財産となり、人生にも大きく影響してくのではないでしょうか。

試すことで新たな発見もあるはずです。習得したい知識や技術があるならば、ぜひ「習うより慣れよ」を思い出してみてください。繰り返していくうちに、成長した自分に出会えるはずですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「習うより慣れよ」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「習うより慣れよ」について解説する。

端的に言えば「習うより慣れよ」の意味は「教えてもらうよりも自ら体験したほうが身につく」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「習うより慣れよ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでもわかりやすい説明で慣用句を解説していく。

「習うより慣れよ」の意味・使い方まとめ

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それでは早速「習うより慣れよ」の意味・使い方を見ていきましょう。

「習うより慣れよ」の意味は?

「習うより慣れよ」には、次のような意味があります。

人に教えられるよりも、自分で経験を重ねたほうが身につく。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「習うより慣れよ」

「習うより慣れよ」は、自発的に物事に取り組むためには、忘れてはいけない心構えといえるのではないでしょうか。「慣れる」ということは、当たり前になるまで何度も経験しているということになります。もちろん、基礎をしっかり学ぶことも大切ですが、技術やスキルを高めていくためには「慣れ」は欠かせません。「習う」ことに執着し、いつまでも指示を待っているようでは、自身で考えて行動することができなくなるでしょう。

わかりやすい例でいえば「職人」といわれる仕事は、大抵が「習うより慣れよ」といっても過言ではありません。道具の使い方や作り方を教わったうえで、さらに良い作品を作るためには「慣れ」しかないのではないでしょうか。繰り返し行っていくことで技術力が向上し、自身で改善点に気づくことができます。体験こそが技術習得の近道といえますね。

「習うより慣れよ」の使い方・例文

「習うより慣れよ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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