この記事では「腕を磨く」について解説する。

端的に言えば腕を磨くの意味は「技能が上達するよう訓練すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「腕を磨く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「腕を磨く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腕を磨く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「うでをみがく」です。

「腕を磨く」の意味は?

「腕を磨く」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味を確認してから、詳しい意味合いについてチェックしていきましょう。

1.技能が上達するように訓練する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腕を磨く」

基本的な意味は、何らかの物ごとをするための能力や技術を上達させるために訓練することです。

また、自らの意志で向上心をもっての行動であり、一定の努力を継続するこで上達につながっているというニュアンスを含んでいます。

「腕を磨く」の語源は?

次に「腕を磨く」の語源を確認しておきましょう。

ここでは、「腕」は物ごとをする能力、技能、技量、腕前などのことという意味になります。もともと腕は肩から手首までのことであり、さらに古い時代は肘から手首までを「腕」として、肩から肘までは「かいな」と呼んでいました。そのため、もとは肘から手首までを使うようなことを指していると考えられます。

「磨く」のほうは、努力して上達させるという意味です。もともと「磨く」には、継続的にこすること、念入りに手入れをすること、また、その結果として美しく輝きを与えるものであることから、コツコツと継続して努力するニュアンスが含まれます。

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「腕を磨く」の使い方・例文

「腕を磨く」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼は伝統工芸の昔ながらの手法の腕を磨き、高度なスキルを身につけている。

2.現在、彼女はフリーランスのデザイナーとして仕事を受けて生活をしているが、腕を磨き続けた下積みの大変な時代があった。

3.料理のレパートリーが増えたのは、すべては調理器具の性能が上がり機能が増加したおかげであり、自分の腕を磨いたわけではない。

例文の1.と2.は、技能の向上のために努力を続けてきた結果、実を結んだということが書かれています。いずれも、仕事としての技能レベルが上っていることを表していますが、技能を上げるには自己と向き合いながら仕事に対する考え方も形成されていくものかもしれませんね。

例文の3.の場合は、自分の技能ではなく使用する機器そのものの能力があがったという文です。現代においては、機械化や自動化がすすんでいるので、さらに人の技術が必要とされる場面が少なくなっていくことが予想されます。

「腕を磨く」の類義語は?違いは?

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それでは、「腕を磨く」の類義語についての説明です。よく似た意味合いの慣用句などについて、一緒に詳しく見ていきましょう。

「精進を重ねる」

「腕を磨く」の類義語には、「精進を重ねる(しょうじんをかさねる)」があります。意味は、一つのことに精神を集中して励み続けることです。

「精進」はもともと「雑念を払って勤めること」ということであり、仏道修行に専心すること、一定の期間行いを慎み身を清めて信心に励むことなどの意味があります。こういったことから、仕事や学業、芸事などに集中して励むことという意味につながっていますよ。

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「研鑽を積む」

もう一つの類義語には、「研鑽を積む(けんさんをつむ)」があります。学問などを深く究め続けることという意味です。

「研」は研ぐことや究めること、「鑽」には穴をあけることということを表しており、これらから深く究めることという意味につながっています。さらに、「積む」という積み重ねたり継続したりする意味合いが付け加えられていますよ。

「腕を磨く」の対義語は?

次に、「腕を磨く」の対義語についての説明です。上達するように訓練するという意味の反対にあたる表現について、一緒に見ていきましょう。

「現を抜かす」

「腕を磨く」の対義語には、「現を抜かす(うつつをぬかす)」があります。意味は、あることに夢中になって心を奪われることです。「現」とは「夢」や「幻」と対称となる言葉であり、現実や正気であることという意味があります。それを抜かすということなので、現実を自覚していなかったり、正気ではないという意味合いになりますよ。

こういった意味から、他のことに気を取られていて本来すべきことに集中できていないということになり、上達するよう訓練するという「腕を磨く」とは対義語と言えます。

「胡座をかく」

もう一つの対義語には、「胡座をかく(あぐらをかく)」があります。現状に満足して、何の努力もしないことという意味です。「胡座をかく」ということは、とにかく座っていて何かをしているわけではないことから、のんきに構えて何もしないという意味につながっています。

現在では、胡座というと正座に対して足を崩している印象を持つのが一般的ですが、もともと日本では正座の文化はありませんでした。正座が茶道の正しい座り方として定着したのは、江戸時代の中期ごろと言われています。確かに、時代劇を見ても正座はしていませんよね。

「腕を磨く」の英訳は?

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最後に、「腕を磨く」の英訳についての説明です。日本語との違いはありますが、関連する英単語を使って同じような意味の英語表現について見ていきましょう。

「improve one's ability」

「腕を磨く」の英訳には、「improve one's ability」があります。直訳すると「人の能力を進歩させる」です。「improve」は「改善する、進歩させる、上達する、価値を高める」という意味があります。

その他、「improve one's … ability」のように具体的な能力を含めた表現もできますよ。例えば「That improved your English ability.」とすると「そのことがあなたの英語能力を高めた」となります。

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「腕を磨く」を使いこなそう

今回の記事では「腕を磨く」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「腕を磨く」の基本の意味は、技能が上達するように訓練することです。上達するために努力するときに使う表現ですが、どちらかというと一定のレベルに達している人がさらに上達を目指す場合で使われることが多くなっています。初心者も熟達者も関係なくよく使われる表現としては、類義語で紹介した「精進を重ねる」がありますよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「腕を磨く」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「腕を磨く」について解説する。

端的に言えば腕を磨くの意味は「技能が上達するよう訓練すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「腕を磨く」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「腕を磨く」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「腕を磨く」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「うでをみがく」です。

「腕を磨く」の意味は?

「腕を磨く」には、次のような意味があります。まずは辞書の意味を確認してから、詳しい意味合いについてチェックしていきましょう。

1.技能が上達するように訓練する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「腕を磨く」

基本的な意味は、何らかの物ごとをするための能力や技術を上達させるために訓練することです。

また、自らの意志で向上心をもっての行動であり、一定の努力を継続するこで上達につながっているというニュアンスを含んでいます。

「腕を磨く」の語源は?

次に「腕を磨く」の語源を確認しておきましょう。

ここでは、「腕」は物ごとをする能力、技能、技量、腕前などのことという意味になります。もともと腕は肩から手首までのことであり、さらに古い時代は肘から手首までを「腕」として、肩から肘までは「かいな」と呼んでいました。そのため、もとは肘から手首までを使うようなことを指していると考えられます。

「磨く」のほうは、努力して上達させるという意味です。もともと「磨く」には、継続的にこすること、念入りに手入れをすること、また、その結果として美しく輝きを与えるものであることから、コツコツと継続して努力するニュアンスが含まれます。

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